(政治)

1) ピニェラの外遊
OECDの会議のためフランスへ。各国首脳とどんな会談をしたのかな?詳しい議題は新聞に掲載されませんでしたが。
その後、1週間ほどイタリアで家族と休暇を取るらしい。

2) アイセン発電ダム
しかしこの問題はチリを揺るがす大問題です。今週も大規模なダム反対デモがありました。
そのデモに関し、政府は当初、実施の許可を出しません。デモの最後にいつも警察との大規模な衝突が起こり、公共施設、商店などに被害が出るというのが理由でした。一般市民の声を聞かないのかとする批判を受けると、オヒギンス公園での集会を許可。ダム反対グループは首都圏知事と公園でアサードをするのはやぶさかではないが、ダム反対は公園ではなくサンティアゴ大通りを歩き大統領宮殿の前で集会をさせるべきとしました。最終的に政府は譲歩しそれを受け、デモを許可。しかし要求の金曜日の夜ではなく土曜日の午後に実施されました。
注目されるのは野党側がこのダム計画に大反対をしています。既にチリの風に書いたように、チリ国民の大多数が反対しているこの計画を潰すことで国民の人気を得ようとする筋書きです。これに対する政府側の戦略は、バチェレット政権の時代にこのアイセンダムは実施寸前まで行ったではないか、当時の大臣レベルで多くの人間が「このダムは必要」としていたとしました。野党側は返答に困り、何と「それは政府レベルの発言ではなく大臣個人の見解だった」としました。中にはまともな人間もいて、PPD党の党首トアはバチェレット政権時はダム建設反対の意見に対峙できず、最終結論を先き延ばすことにしてしまったと自己批判。バチェレットは沈黙を守っています。ピニェラはこのダムの建設がなければ電力不足は免れず、停電騒ぎが続発することになるだろうとイタリアからコメントしています。
私の個人的見解は水力発電のほうが火力や原子力より有効(自然に友好)と思うが、ダムはどうしてもアイセンのその場所しかないということでもない。つまり他の場所でもよいが、どの計画でも環境グループからの反対が予想されるのが問題。
先にカスティジョ火力発電所計画が一度正式承認を受けながら、市民運動により最後にピニェラが取り消しを宣言した例があるから、このアイセン計画もどうなるか分からない。
現在計画中の案件は40もあり、その合計発電量は13000MWと言われるから、アイセン計画が中止になってもすぐに影響は出ない。しかし40あるそれらの計画のすべてが中止になったら、10年後に影響が出てくるのは免れないだろう。
その時は(需要供給の問題で)急激な電気代の値上げが実施されることが予想され、社会問題になるはずだ。
発電所の設置場所より私が疑問なのは、どうしてチリの発電業務を一会社に独占させるのかと言うこと。競争がなければ進歩はないとみるが、どうだろう。何かきな臭い。アイセンのダム建設は新規の発電事業としてエンデサ以外の会社の手に渡すべきと思う。

3) 生き埋め鉱山労働者を全員救出した頃、絶頂だった人気が最近がた落ちですが、ピニェラを評価する人は拒否する人より遥かに少ない。現在の政治家で評価する市民の数がもっとも高いのは前大統領のバチェレットです。
しかし興味のあるのは、与党の人気はいまいちですが、野党のほうがずっとひどい成績で、チリ国民は右も左も政治家を信用しないことをはっきり表明しています。
このままの状態では野党はバチェレットの個人人気に頼るしか次回の選挙に勝てる方法はありません。

4) アジェンデ元大統領の遺体が墓地から出され、検視病院で死因について遺体チェックが開始されました。本当に自殺したのか、軍隊に殺されたのかは3ヵ月後に分かるらしい。もうあれから随分時間が立ちましたね。(1973年のことです)