(一般)

1) 1973年はチリにとって永遠に忘れられない年です。アジェンデ政権が軍事革命で突然、消滅した年です。そのころ共産党などに関係していた多数の人間が軍事政権により拉致され行方不明になっています。民政移管後、それらの行方不明者を確認する作業、また行方不明者の家族への援助も行われています。ところで今週、その行方不明者の一人が隣国アルゼンチンのメンドーサで30数年生存し、なんとそこのチリ領事館で数年前チリのカルネ(身分証明書)を取得していることが発覚しました。彼は今週チリで捕まったのですが、彼の家族は彼の生存を知りながら不正に政府援助を得ていたのではないかとの疑問も出ています。07年に亡くなった奥さんはずっと生活補助を受けていたし、子供も1000万ペソの補助金を受け取ったりしているそうです。
しかし彼は行方不明者のリストに載っており、墓地に彼の骨?が埋められています。その彼がカルネを申請したら、その段階ですぐに異常を発見すべきなのですが、政府もお粗末ですね。
このニュースはチリ人に取っては大問題で、右翼は当然ながら左翼の人間は恥知らずと言い出すだろうし、受身に回った政府は彼のほかに同様な例はないか疑心暗鬼でしょう。社会全体に与える影響は大きい。

2) 先週、チリの若い富豪ファルカスが金を撒き散らし、国民に人気を得ていると書きましたが、彼と共同で会社経営をしている人間が、彼は会社の金を不適切に使用していると裁判所に訴えでました。自分の金ならともかく会社の金をテレトンなどの寄付に使うのは容認できないということですが、当然でしょうね。
彼は組織を利用せず個人で大統領選挙に出る可能性があることを示唆しています。最近の次期大統領人気調査で、もちろんトップはいつもと替わらずピニェラでしたが、そのファルカスも1%ながら初めて候補者リストに顔を出しました。

3) 旅行会社の危機
ペソは強いし、経済は安定していると、今年前半はチリ人が海外旅行をするのは当たり前のようでした。従って09年の夏休みには、もうすぐですが、大量のチリ人観光客が見込まれると、旅行代理店は飛行機便の予約を大量に入れています、ところがペソ安と先行き不安から、その大量に抑えた座席が大量に売れ残るという見方が出てきました。つまり表向き満席になっている便が、実はガラガラで飛ぶことになるかもしれないということです。彼らも困る、航空会社も困る・・・・倒産する会社、クビになる社員と、来年の観光産業は厳しそうです。