(政治)

1) 今週、仕事で第8州に行きましたが、異常でした。コンセプシオンからロス・アンヘレスに木材街道と呼ばれる道路を使って往復しましたが、一台のトラックにも出会いませんでした。ストのためです。しかしトラック業者の結束が固いと言うより、トラックを傷つけられるのを嫌がって大手のトラック屋も車を道路に出さなかったのでしょう。
これでガソリンを運ぶトラックも止まるわけで、各地のガソリンスタンドからガソリンが消えるとか、病院で酸素ボンベなどがなくなって手術が出来なくなるとか、スーパーマーケットから品物が消えて物価上昇という現象につながるわけです。
で、政府はストをどう処理するのか注目が集まりました。最初10億ドルを提示したところトラック組合はそれを受けずスト継続になりましたが、追加処理に政府は5200万ドル用意したらしい。組合が賛否両論で二つに分かれたらしいが、最後は合意に到達。しかし新聞・テレビのニュースを見ていても最後の合意事項の詳細ははっきりしません。
何しろガソリン税で33億ドルの税収があるのだから、少しくらいの金は政府にとっては痛くも痒くもないのでしょうね。
07年ではトラックが使用するディーゼル・オイルからの税金がガソリン類全体のそれの何と70%ほども占めています。今年、その価格が62%も上がったので、トラック業界には死活問題になっていますが、国庫には神風のようなもの。税収が増えて笑いが止まらないところだったわけです。
その増収分の一部をトラック屋さんに戻して落とし前をつけようとした政府にトラック屋がそれでごまかされるわけには行かないと態度を硬化し、問題が深刻化したもの。
トラック屋の実力行使に政府が負けたかっこうですが、この影響は次にどこに出てくるでしょう。
しかし2006年に60ドルだった原油価格が現在は135ドルまで上がっていますからね。今週もチリではガソリン関連製品の価格が上がり、政府が補助を出して製品価格を下げると約束しても、焼け石に水です。

2) 今秋の地方選挙に関しバチェレットは前、元大統領を招待し面談した結果、一致団結して統一候補リストの作成をしようと合意しました。にもかかわらず、各政党は統一候補を決めきれません。で、二つのグループに分かれて戦うことになりそうです。これは終わりの始まりでしょうね。
しかしバチェレットは統率力がありません。
次回の大統領選挙の予測ですが、野党のピニェラが34%と圧倒的に強く2位は前大統領のラゴスで15%、3位は与党のインスンサ8%ですから、政権交代は今のところ間違いありません。

3) 学生紛争も一向に終焉を迎えることが出来ず、問題拡大。一般教育法に反対する学生の運動に教師も加わって全国各地でデモが起きました。
今週、私の娘も大学に泊り込みに行ったり、デモに参加したりしています。
教育大臣は学生・教師側にデモではなく対話と呼びかけていますが、それに関し野党は昨年の合意事項を尊重せずまた新たな合意を目指して話し合いを呼びかけて何の意味があるのかと厳しい。

4) と、国内では冴えないバチェレットですが、外に目を向けると、次の北米外遊で、いろんな計画を立てています。例えば、キャルフォル二アではシュワルツネッガー知事と組んで大学院生やプロフェッショナルの留学交流を始めとする総合計画の調印を目指しています。
それから領海線問題で国際法廷において争っている宿敵ペルーから援助が出ました。ガルシア大統領は同国の政敵からチリとの通商について「チリを助けることになる天然ガスの販売はするべきでない」とコメントが出されたのに対し、(ボリビアはその政策をとっています)「チリとことを構えるのはペルーにとって得策ではない。チリとの貿易はペルーにとって大幅黒字で輸出が輸入を上回っている。また10万人を超えるペルー人がチリで正規にまたは不正に就業している。またペルーからの輸出は商品が何にせよ売ることによりペルー国に利益をもたらす。したがって相手国がどこであろうと、どの品目であろうと制限を設けるべきではない」としました。これが直ちに効力を発するとは考えられませんが、長期的にペルーから天然ガスが入ることになれば、従来のアルゼンチン頼みから自由になるわけで、エネルギー問題がネックのチリに取って最良のニュースです。
ボリビアで先日、サンタクルス州自治権拡大の住民投票を実施しましたが、それに続いてベニ州、パンド州でも同様の投票が行われ80%以上の住民が賛成票を投じました。ラ・パスのモラレス大統領には苦しい展開です。ボリビアの国内問題は間接的にチリに影響します。