チリの風  その227  07年6月11日―17日

 チリの風  その227  07年6月11日―17日
サンティアゴに火曜日から木曜日まで雨が降ったようです。と他人事のように言うのはその期間、私は北部のラ・セレーナに出張にでていて、木曜日の夜、飛行機で戻ってくるともう雨は上がっていました。テレビのニュースで水害騒ぎを見ましたが、僅か40ミリの降雨量だったにもかかわらず・・。しかし首都サンティアゴの惨めな様子は例年どおりで進歩が見えず悲しいです。
さて土曜日の午後、サッカーの前期リーグ最終戦が行われ、同時の試合だったので、ラヂオで両試合を聞いていたら、2位のカトリカは早くから勝っていて、首位のコロコロは後半に入っても引き分け。それでひょっとするとカトリカの逆転優勝かなと思ったが、終了間際ゴールが決まってコロコロの勝ち。ファンが町に繰り出していつものように騒いでいました。カトリカファンの私は悔しくて。
日曜日はチリでも父の日。私のところでも子供が料理を作ってくれました。
ところで昨年10月サンティアゴ日本人学校リュージュの紹介をした小林・気境のお二人は南米・中米の旅を終え、このたび無事帰国されました。おめでとう!これからの人生もしっかり楽しんでください


(政治)
1) 今週もバチェレットは外遊の計画が入っていましたが、娘の急病入院で急遽それを中止。脳内出血とかで重態。娘が少しよくなった段階でボリビアに飛び、アンデス共同体連合の総会に出席し各国首脳と面談。同じ日に戻ってきました。
会議の行われたのはボリビアのタリハと言う場所で、ここはボリビアにしては珍しいチリへ親近感を持っている地区です。そう言えば昔、出張でそこへ行きましたが、代理店の人もお客さんも感じよかった思い出があります。多分、ここの人はボリビアの90%の埋蔵量をもつ天然ガスをチリに売って州のレベルアップを考えているからでしょう。
確かに元大統領のパスもボリビアは近いうちにチリへ天然ガスを売るだろうとコメントしています。
   この日、バチェレットはボリビア大統領と面談の後、ペルーのガルシア大統領と面談しました。最近また復活している両国間の海岸線の国境問題について話し合ったらしい。ただし先方がその問題をテーブルに出し、チリ側がペンディング事項はないと回答するのはいつものとおり。会談の内容はその他にフジモリ問題も含まれており、彼の処遇は両国の注目の的。チリの新聞では国民の声として大半が彼をペルーに引き渡すのが最良としている。世論調査結果で75%がペルーに16%が日本に移送させるべしとしている。
またペルーで再燃している反チリ運動についてチリ側はどう対処すべきか新聞に記事が掲載されるようになりました。黙ってほっておくのが一番ですよね。

 2)しかしトランサンティゴはどこまで尾を引きずるのでしょう。先週、下院で承認された2億9千万ドルの追加投資が上院で可決されるか疑問視されています。それは与党側の議員で、あからさまに反対するのがいて、足並みを乱しているからです。その二人は元大統領のフレイと日系議員のオミナミです。この他にも反対票を投じそうな議員もいて混乱。大統領はテレビのニュースで国民のためにやっているこの提案に反対する議員の気持ちがわからないとしていますが、底なし沼にお金を捨てている現状を反省していないのでしょうね。そんな3億ドルもの金で他の事業が出来るということを彼女は理解していませんね。2月10日にこれを始めたときはそんな巨額の追加をしないと新交通計画が機能しないとは彼女も思っていなかったですからね。
   与党内の足並みさえそろわせることの出来ない大統領なら辞任すべきという声も野党から出ています。  

2) 軍事政権時の左翼系運動員の誘拐殺人で起訴され有罪判決の決まった元将軍が、逃げました。国外逃亡も考えられています。彼はこの裁判は不正、不法だとし、有罪は認めないと発言。彼の逃亡に軍隊が絡んでいるとの見方もあり、何人もの退役将軍が彼の側に立った発言をしています。彼のほかに現在3人の退役将軍と20人の旧軍高官が同罪で起訴されており有罪判決を待つところ。
こうして有罪になる元軍人は、自分たちはピノチェットの指示で動いており、彼が刑務所に送られなかったのに何故自分(たち)は刑務所に行かなければと思うわけだろう。
政府は、彼は刑務所に行かなければならないが、それとこれは別として行方不明の彼への年金は支払いつづけるらしい。

3) 汚職問題
汚職か横領か、横流しかわかりませんが、国鉄不正経理がまた問題になっています。1億3千万ドル近い領収書に疑問が出ています。
前も書いた事件ですが、いい加減にペンディングにせず、一度すっきりしてほしいもの。ところでこの職(国鉄総裁)は伝統的にDC(キリスト教民主党)が抑えており、今回のスキャンダルの発端は同じ与党ながらDCと上手くいかない社会党から出ています。
ある政党がその職を抑え、自分たちの仲間の内でたらい回しするそういう仕組みを変えなければ汚職はなくなりません。違うかな?
先週お知らせしたバルパライソの市長が刑務所にと言うニュースはその支払い期限が1週間伸びたので結論はまだ出ていません。


(経済)
1) 世界の金融の中心というとまぁロンドンですね。ついでニューヨーク。そして第3位に東京が入りますが、なんとラテンアメリカのトップはサンティアゴと発表されました。これはマスターカードの調査ですが、世界の39位ながらラ米のトップで、メキシコやサンパウロより上です。意外な気もしますが、チリが地道に力をつけている証拠でしょう。

2) チリ経済の発展は今年に入って予想以上の速度で進んでいるため、これを若干修正するため金利が5.25%にアップされます。

物価上昇率もジリジリ上がっているし。まぁジリ貧よりマシかもしれませんが、派手に行くのは考えた方がいいですね。インフレの被害は世界中で証明されていますから。

3) エネルギー源
従来の方式、すなわち水力発電と物質(石油石炭など)を燃焼してエネルギーを得る方式のほかに太陽光、風力、波力などによる発電もあります。チリでは通常方式以外の発電は0.3%しかなくほとんどゼロです。これをなんとか2010年には15%まで持っていきたいと政府は考えています。また燃焼方式でも森林や家庭から出るごみの燃焼による発電が考えられています。チリは鉱山資源は豊富ですが、石油がほとんど出ませんから(消費量の4%が国産)エネルギー源の確保は大きな命題。
アルゼンチンから天然ガスを輸入することにした1995年は発電の大半は水力発電だったので天然ガスの導入によってエネルギーの供給は安定化したと考えられたが、残念アルゼンチンは契約を遵守しなかった。

4) 紙パルプの生産はサーモンやワインなどとともに鉱山業に続くチリの重要産業です。しかしそこで再び、生産過程の問題から海岸で大量の魚が死にました。工場廃水に有害物質が含まれていたからと見られています。そんな簡単なエラー処理でいいのかなと思わされますが、その会社は管理責任として3名の幹部を退職させました。しかし会社の刑事責任はまだはっきりしていません。

5) ガソリンの価格
   新聞報道ではチリのガソリン価格は東京やマドリッドより高いとか。原油の値段は世界共通だから、小売値が高いのは税金のためだろう。しかし東京より高いことで、国民は怒らないのかな?


(一般)
1) 犯罪の増加
   これに対抗する近代兵器が安全カメラで、市内中央部の要所に設置され、犯罪の瞬間を記録しています。テレビの番組にでましたが、セントロの通りで引ったくりの常習犯がこれで逮捕されました。しかしサンティアゴ区長が怒っていますが、裁判所の人にもう少しまじめに仕事をしてもらいたい。せっかく犯人を警察が逮捕しても、罪状が低い、証拠が少ないとすぐに釈放してしまう。これではいつまでたっても良くなるわけはない。言えてる。
   私の働くリキャップ工場の工場長は今週風邪で寝込んでしまいましたが、その家に泥棒が入り、コンピューターなどを盗まれたとか。ベッドの中にいたのに怪しい物音は聞かなかったと言っています。
   ところで今年の2月に他人のマンションに入った元防衛大臣の息子は窃盗容疑に対する判決ではなくエラーに対する償いとして1年間社会奉仕をせよとする軽い判決が出ました。夜中に「間違って他人の家に入る」エラーなんて考えられませんけどね。

2) ピュ―マ
   チリの南部では、例えば、第9州の州都テムコなんか街の中心部までピュ―マが出て来ることがありますが、サンティアゴではそんな話はありませんでした。ところが最近、サンカルロス・デ・アポキンド周辺で寒さと餌の不足から山を降りてきた何頭かのピュ―マが報告されています。私がマラソン練習をしている地域の近くです。なんだか、札幌に熊が出ると言う話に似ていますネ。

3) ワールドプレス写真展
   今週から始まった写真展にさっそく行ってきました。毎年行われる催し物ですが、あいかわらず血なまぐさい写真が大半です。パレスチナイラクの写真は見ているだけで現地の人が気の毒になります。そこにいるだけで不幸になる可能性が高いなんて、まさに不運ですね。このチリだって30数年前はそんな不幸な国の一つだったのですからね。
   日本関連が二つあって、一つは日本人の写真家が1等を取っていました。またもう一つは日本が撮影の対象で題材は「サラリーマン」となっており、解説にこの言葉は日本製英語とありました。写真は飲みすぎて木にもたれるサラリーマン、マスクをして電車に乗るサラリーマン、サラリーマンが公園のベンチに捨てたエロ本などが撮影されていました。外人の目から見た日本ですね。


(スポーツ)
1) サッカー 
前期リーグはコロコロの優勝で終わりました。これでコロコロの優勝回数は26、ついでチリ大学が12回、3位はカトリカ大学で9回です。さてあと2週間もすれば、二つの大きな選手権が始まります。一つはナショナルチームアメリカ杯。もう一つは20歳以下の世界選手権。最初のはベネスエラで、最後のはカナダで行われます。私の目にはアメリカ・カップは1次予選で敗退。世界選手権の方は1次予選突破と見えますがどうかな?
   そうそうFIFAの高地での国際試合禁止に反対するボリビアのモラレス大統領は同国最高峰の山に登り、その6000Mの高さでサッカーをしました。しかしかなり太ってはいるものの彼の元気は素晴らしい。

2) スキー 
今週降った雨のお陰で、アンデス山脈は真っ白。スキー場もオープンです。土曜日には1000台以上の車が首都近郊のスキー場に向ったとか。週末のリフト代金は大人25000ペソ、子供16000ペソです。1ペソ5円とすると大人5000円。結構高いですね。 


以上