チリの風 その45

2003/10/26 (日) チリの風 その45 2003年10月19日―25日 

天気は少し落ち着き、30度の暑さは一休み。すごしやすいです。今週は第八州に出張に行きましたが、雨に降られて難儀しました。向こうの人と話をしている時、「チリでまがりなりにも四季のあるのは第9州のテムコまでだね、それより南だともうほとんど毎日、雨ばっかりだからね。バルディビアなんて、年中雨だよ。チメネア(暖炉)があるから部屋の中は雨の日でも気持ち良いなんてサンティアゴからきた人間が言うのはほんの最初の一週間だね。そのあとは雨でも負けずに生きていける力がないともう気がめいってしまってネ。」と聞いた。定年後チリの南に住むという私の計画に支障が出るようなコメントですね。

(政治)
1)しかしボリビアの件は、面白かったですね。いや、ほんと。嫌味ではなく。もう大統領がアメリカに逃げちゃって。彼を裁判にかけると言う動きがあります。しかし南米では、ペルーでも、アルゼンチンでも、エクアドルでも、パラグアイでも前大統領を法廷に立たせようとする動きがあり、これは日常茶飯事なのですね。
この逃げた大統領はアメリカ留学の経験もあり、アメリカ政府からの支持があったのですが・・・
軍隊とデモ隊の衝突で合計70人死亡していますが、そのとき、デモ隊が、彼について、(彼はゴニと呼ばれていますが)「ゴニはチリ人、ゴニはアメリカ人、おまけに人殺し」と叫んでいました。
チリ人のボリビアから脱出も映画のようでした。街にチリからスパイが送り込まれていると噂が流れ、(しかしこんな話、戦前の日本にもあったのでしょうね)チリ人の安否が気遣われるようになっても、陸路は無理だし、空路も飛行機便が止まってしまって、どうしようもありません。で、チャーター便を、それもチリの飛行機会社でなく、ボリビアの飛行機を使って救出することになりました。ところが飛行場への道が閉鎖されて車では無理。ラ・パスのある地区にチリ人を集めさせ、ヘリコプターを使ってピストン輸送。全員が乗った段階で飛行機を飛ばす作戦。国境を越えて、アリカについたときは生きて帰えれた実感があふれたそうです。ペルーとボリビアとの国境も一時閉鎖になって、チチカカ湖の観光客が激減したと言うニュースが出ていました。

でも大統領が逃げて、道路の封鎖が解かれた現在、ランチリ航空はボリビア行きの便を再開しているし、ボリビア・チリ間の鉄道も運行再開、ラ・パスの生活も通常に戻ったらしい。

今週チリの南に出張に行くため、飛行場についたら、横のカウンターでボリビア行き便の搭乗手続きをしていましたが、先週、このままではチリ人が殺されてしまうとか、騒いでいたのが嘘のようで、出張会社員が楽しそうに会話を楽しんでいました。世界ってそんなものなのですね。

ごめん、チリの風が、ボリビアの風になってしまった。

2)ラゴス大統領はAPECの総会に参加するためバンコック他アジア訪問中。しかし彼の人気のなさはどうだろう。この外遊でも、アメリカのブッシュ大統領、ペルーのトレド大統領と会談したことくらいしか報道されないが。

3)例の児童虐待(売春)事件は一層の困惑を見せている。どこまで知らせようかと言う政府(もしくは政治側)と、どこまで本気に調べようかという検察の両サイドにやる気が見られないので、じゃ、この辺で幕引きにしようという事になるのは目に見えている。

麻薬パーティ関連で、死亡(殺人?)した子供も出ているとか、やっぱり国会議員が関連しているとか噂は再度出ますけれど・・・・

そう言えば、昔キューバに行って、現地の人と話していた時、「ここには報道の自由がないから、皆さんはこの国のことも外国のことも、何が起こっているのかわからない。かわいそうに」とコメントしたら「君はチリからきている日本人かい?かわいそうだね。君は知らないんだよ。チリでも日本でも報道の自由はないんだよ。政府がここまで知らせても良いと思う分だけニュースになるんだ。私たちはここには報道の自由はないとわかっているけど、君たちはそれもわかっていないんだから、かわいそうなのは君たちだよ」

彼の言っていたことがあたっている?

(経済)しかし国の将来は経済にかかっているのだが、私のチリの風の4項目の中で一番力が入ってないのがここだ。何故かな?と考えるが、書く項目がないと言うことはないのだが・・・

1)ペソが強い。 何と1ドル635ペソまで戻ってきた。しかし1ドル800ペソまで行くだろうと全員思っていたのは、ほんの少し前のことですが。

(一般)
1)上記の国会議員事件にやや関連していますが、7年前、一人の陸軍の下級兵士の死体が発見されました。この事件は十分な調査もされず放置?されていたのですが世間が騒いで、調べた結果、同僚の三人の下級兵士の手による殺人事件ということになりました。事件は一件落着のようですが、そのあと、三人の兵士が自分たちは無罪だと主張して、 結局、今週、発表された裁判所の最終結論は殺人ではなく、自殺だということになってその三人は釈放されました。しかし殺人事件として三人を逮捕するとき、調査をしないわけがなく、それを全く無視して今回事件の結末がが自殺になるのは、どうも。

テレビの番組で、これに関して視聴者の75%は殺人、25%は自殺と思うと答えていました。これも実際は、この三人以外の大物が関与していて、その影響でこんな結果になったと言えないこともありません。例えば、軍隊内で麻薬の売買が行われており、それを知った一人の兵隊が騒ぎ出し、やむなく上官の命令で彼を殺してしまったなんて・・・。

2)イラクへ旧チリ軍人派遣?
イラクアメリカ兵の死亡事故が続発していることから、アメリカ兵を引き上げて民間外国人を警備見張りなどに使おうとする動きがありますが、それに関連して、チリで、元軍人を求むという求人広告がでています。一ヶ月の給料が2500ドルと国内ではとてももらえない高給なので、就職希望者が列をしています。

(スポーツ)
先週の日曜日、スペイン大会の決勝まで行ったマス選手は、惜しくも負けてしまいましたが、それでも現在世界ランキング13位まで上昇しています。すごい。

サッカーは試合に関しては11月のWカップ予選再開まで、ニュースはないでしょうが、例のサモラーノ引退試合(12月23日)に世界選抜のようなレアル・マドリッドがチリにきそうです。

何とあのベッカムも来るらしい。

以上