(政治)

1)5月21日 
この日はイキケ海戦の日です。チリがペルー・ボリビアと戦った太平洋戦争のことですが、現在では現職大統領が過去1年を振り返り、そして次の1年をどう運営していきたいかを発表する大統領教書の発表日になっています。 
バチェレットはバルパライソの国会議事堂でその発表を行いました。4年の任期の第3回目の発表です。その前日から、教書で何を発表するか噂されていました。バラ色の夢をどう描くかと言う課題です。もっともほらは吹いても嘘はつけません。 
彼女はその教書の中で教育制度の改正、選挙制度の改善、憲法改正準備と大きな方針は全て進行中と胸をはりました。教育に関しては大学だけでなく技術者養成の各種学校にもこれから幅を広げる、さらに30万台のパソコンを学生に供給するなど夢を語りました。また生産性の向上と雇用促進のため新らしく科学技術省を設立すると発表。さらに厚生問題、家族問題(特に年少児)などに注力する。防衛省の公明正大化を図る。最後に民主主義を守るため、汚職を絶滅するよう手段・方法を検討するとしました。
昨年の教書の成功失敗については触れていません。
教育大臣は無償化について今までの政府はこの方針を明確にしてこなかったが、唯一今回のバチェレット政権がそれを掲げ、それに向かって進んでいるのはチリ国にとって素晴らしい知らせだとコメント。今年のその無償化援助を受けた学生の数は政府の示唆したものと大きく異なっていたのは事実で、「夢だけ大きくしかし実現は極小」が来年も続けば、国民はそれを許さないでしょうね。 
労働法案はこの教書の中心課題になるはずでしたが、そうでもありませんでした。それは政府内で意見の一致がないからでしょうか。経営者連合からは、今の状態では将来がどうなるか見通せず、経営者は投資をするのを恐れているとコメントしています。
教書とは直接の関係はありませんが、教書が発表された国会に空席がかなり目立ちました。招待された人間が、例えば国会議員、欠席すると言うことは反バチェレットを表明しているのか、それより家族とどこかに遊びに行きたいと言うことなのでしょうか。
バチェレットの家族もいつもは何人も出席していましたが、今年は息子夫妻の不正問題もあって、出席したのは老齢の母親だけでした。
2)汚職
ブラジル、アルゼンチンで汚職が政治の最大の問題になっています。2015年の世界167か国の汚職度テストによるとラテンアメリカで最悪のはベネスエラとハイチ。一番少ないのはウルグアイにチリでした。しかしチリもこの問題が急増していますから、大統領教書の中でもこの問題が取り上げられました。他国に比べるとマシなのですが。
3)PPD党の苦渋 
与党の中で中心になるのはキリスト教民主党DC、社会党PS、それにそこから分離した左翼系の民主主義のための党PPDです。
現在のサンティアゴ区長はそのPPDの元党首のトアです。今年末の地方選挙でトアは再選を目指して立候補するがつもりですが、ここに来て、彼女が党首をしているときにソキミチ鉱山から怪しい選挙資金を受け取っていることが明らかになってきました。彼女は私は全くその件に関係ないとしらを切りましたが、そうではないことが少しづつ明らかになってきて、与党グループの中の元学生運動代表だった議員がトアが出れば、サンティアゴ区長は野党に持って行かれるとコメント。大騒ぎです。与党内で嫌がらせを言うなと言うわけです。
ブラジルの国会議員は60%がこの種の怪しい資金問題を抱えていると言われますが、チリもそこまで行かなくても、もらえるものは誰からでも戴くと言うことなんでしょうね。次の選挙でそう言うおかしな候補者を片っ端から落とせば、政治家も考えを変えるかもしれませんね。少なくとも私はその観点から投票する人を選びます。
4)赤潮問題 
3週間近くももめていた赤潮問題は、最後に残ったアンクッド地区が18日目に国と合意に達し、道路封鎖が終了しました。2週間も過ぎるとただダラダラしているだけで、盛り上がりにも欠け、他地区が合意に達してどうしてそこだけがもめるのか、何の条件を変えて今回合意に達したのか詳しいことが分かりません。しかし道路封鎖で仕事に行けなかった工員・職員さんはその分、給料が貰えませんから、生活に困るでしょうね。
5)TVN 
TVNと言うのはチリ国営テレビのことです。2013年まではちゃんと利益を出していたのですが、2014年、2015年と赤字になり(特に15年は260億ペソの大赤字)経営が困難になりました。バチェレットは7千万ドルをつぎ込み、沈む船を助けようとしました。 その理由がスポンサーに頼らず、文化活動を続け、子供・青年・大人の教育教養に役立つ場組を作成してほしいとコメント。自分の部下を首にしないでもうしばらく幹部に残すためでしょうね。さてどうなるかな?もちろん反対勢力は大きな声を上げています。