(政治)

1) バチェレット政権の評価
  今週の調査でバチェレット政権を評価するが下がって42%に、評価しないが上がって46%に。落ち目の政権を良く現しています。
  さらに現政権にはショックなことは、与党グループを評価する数が野党側を評価するという人数より少なくなりました。これは初めての現象で、次回選挙に赤信号です。もちろんこの調査では次期大統領になるだろうと見られる人間のトップはピニェラでした。

2) トランサンティアゴ問題
  現在進行中の該当問題は前政権が作ったベースにあると批判されたラゴス前大統領は、今週、「私の作ったプランは世界的に評価されました。その運営は現政権が行っているわけですから、責任を計画作成者の私に回すのはいかがなものでしょう」と、責任転嫁の爆弾発言。師匠のラゴスに後ろから突き飛ばされたバチェレットはこれについて反論せず耐えています。しかし彼女の状況が日に日に苦しくなっていることは誰の目にも明らか。
  その市民の不満感と並んで根本的な点は経済問題で、赤字が続き政府はバス会社に約束した金額を払えません。国会にそれを持ち込んでも追加予算案を否決されるのが見えている状態で、最終的問題解決策として、今回政府は憲法で認められている「予算の2%までは政府の判断でどのような案件にも使用することができる」という条項を利用することになったようです。普通これは災害などの非常事態に備えられたものですが、それをバス会社に払うため使うわけです。
何故毎月そんなに赤字なのかという質問に関しては支出と収入がバランスが取れていないからで、バス会社に払う金額が多すぎるのか、今の380ペソのバス代が安すぎるかのどちらかでしょう。チリでもサンティアゴ以外の都市のバス代はもう500ペソになっている所もあり、世界的に見てもサンティアゴ市内でバス・地下鉄を乗り継いでもたったの380ペソ(80円程度)というのは異常に安いのではないでしょうか。これは現政府が運賃を正常料金に戻す力がなく、低料金で乗客の不満を軽減しているとしかいえません。だらしないですね。
  政府が2%条項と言う奥の手を使えば、資金は一気に潤沢になり少し前に国際銀行から借り入れた借金を期日より早めに完済できるとか。確かにこの手が使えればもう国会対策なんて不要ですね。
  カトリカ大学グループの調査ではバスの待ち時間は10分以上の待ちが1年前(6月)に21%だったのが今年(7月)は8%、20分以上の待ちは昨年が4%、今年は1%と減少しています。少しは改善しているのが数字に出ています。
  野党側は余裕を見せて、政府にこの件について話しあいをしても良いですとコメントしています。

3)地方選挙が近いですが、その代表格は首都サンティアゴの中心サンティアゴ区の区長選挙です。今週バチェレットはその区の与党側候補のラビネットを官邸に呼び激励しましたが、野党側の候補者が私も招待してほしいと訴えでました。何と首都圏の他の区の候補者も合わせ、数名の野党側候補者が大統領官邸のモネダ宮殿前でデモ。しかし笑ってしまいますね、子供じみた抗議行動。
野党のUDIの前大統領候補ラビンは貧困層に人気のある政治家ですが、前回の敗戦以降、政治活動からやや足を洗っていました。その彼を党が再活用することを決めたようです。彼の最初のアピールとして、昨今のインフレからチリの貧困層が増大していることをメディアに訴えました、彼によると07年14%だった貧困層が今年は17%に増加しているとか。多分そうでしょうね。