チリの風  その189  06年8月28日-9月3日

チリの風  その189  06年8月28日-9月3日

2週間前に「もう夏ですよ」と書きました。先週は「ちょっと戻って初春です」になりました。で、今週はその順番どおり「冬ですね」。なにしろ最低気温がマイナス近い日がありましたから!来週は?
木曜日、夜に公園をいつものように走っていると雨になりました。先月、訪日の前後に滞在した豪州で、雨の日に公園を走っているオージーを見てここには物好きな人間がずいぶんいるものだと感心しましたが、何のことはない私も彼らの仲間だったわけです。
さて金曜日と土曜日、サンティアゴ郊外のコリーナ温泉で会社の研修会がありました、私も管理職として参加、プレゼンテーションをしましたが、順番が4番目でもうセールスマンは疲れていました。それを見て、マイクを握ると先ずビートルズを歌いだし・・・もちろんプレはばっちり上手くいきました。
日曜日は太陽も出て穏やかな休日になりました。


(政治)
1) いったいどこまで落ちるのだろうと思わされるほど、バチェレット政権の人気は下降傾向が止まりません。その原因の中でも教育は顕著な例で、今週も全国の注目を浴びました。幾つかのサンティアゴの学校が父兄、生徒によって占拠されたのですが、何とそれらの学校では教師の給料が滞っている、水道電気など基本的な設備が機能していないとか。
水道代を払わないので、水が止まっているとかでトイレが使えない。しかしそんな状態にもかかわらず、それをチェックする政府機関が無い。現在のチリの仕組みでは個人が(例えば私が)学校設立を申請して受理されると国から補助を受けることが出来ますが、その後のチェックが十分でないため、補助金だけを経営者が懐に入れて逃げているような状態が起こるわけです。問題になっている学校は、これから授業が続けられなければ今年度を終了できませんが、じゃ全員留年するのか、それとも何とか終了できるのか、また大学受験はどうかとか大変です。授業料を年内一杯払ってしまった親なんか渋い顔を通り越して半泣きです。
で、そういう仕組みをやめて元の仕組み(全部政府が管理する方法)に戻した方が良いのか議論されています。まだまだ揉めそうですね。

2) 既にお知らせした元大統領フレイの死因についてまだまだ紆余曲折がありそうです。彼を担当していた医者の中にもおかしいと表明するものと、手術後に問題が出たもので死因に疑問はないとするものもいます。TVNの特別番組でその死の謎を探る番組が組まれましたが、その中で元大臣が死因に疑問はないとコメントしたところ、そのフレイ大統領の息子で元大統領のフレイが噛み付き、疑問が出ているから問題になっているのに特別な資料もなしに問題なしで片付けようとするのは理解できないと新聞に投書しています。仲間内の争いですが。

3) 隣国との関係
   アルゼンチンとはまた揉めています。最近アルゼンチンで出された地図で南氷原地区のチリ領土をアルゼンチン側に変えているのが見つかりました。早速政府は抗議をしましたが、回答はなかったみたい。しかしアルゼンチンもいろいろ手を打ちますね。しかもいつも先手を打つのは向こう側でチリが守勢にまわっています。向こうが領土を拡大した地図など準備して国際機関に提出し、最後はじゃ中をとって半分だけでもと言う手ですが、最近もありました。向こうには策士がいるのでしょうね。
   それから天然ガスの供給ですが、現在は工場向けだけが削減され、一般家庭向けは通常供給になっています。それを来年から全部が削減の対象になるだろうと向こうの新聞に発表されました。チリの与党の中から原子力発電を検討するよう政府に具申する動きがあり問題になっています。先の大統領選挙のとき、バチェレットは公約で原子力の使用は私の政権では行わないと明確にコメントしているからです。
もう一方のボリビアは、アルゼンチンとは全く違って、チリに対する戦略は百年一日の作戦ですが、今回、領土と天然ガスの交換作戦を破棄し、チリに無条件で天然ガスの販売を認めるやの大統領発言が出ました。しかしそれが正式化する前に、国内のどこからか厳しい批難が出て、ボツになったようです。


(経済)
1) エスコンディーダ鉱山ストが終了しました。
このためアントファガスタでは高級車がドンドン売れそうとか。
何しろスト解決ボーナスが手取り9百万ペソ(約2百万円)ですよ。その他に毎月の給料も上がって。とにかくチリの銅鉱山で働く労働者の給料は同業者の中でも世界のトップクラスといわれ、チリの一般労働者とは桁違いの収入を得ています。他との差があまりに顕著なので社会不満の原因になっていることは間違いありません。
この先すぐに始まるコデルコの労働者との戦いもここと同じようにストに入って、大揉めするでしょうね。流血事件もおこるのは避けられない?

2) 失業率の低下
最近の失業率が10%から8.8%に下がったと発表されれば、そうかそれは良かったと誰もが思うでしょうが、新聞を良く見ると前回までとは統計の取り方がやや異なっているとあります。私らをだましたらあかんでおばちゃんと言うことでしょうか。

3) 中国製の乗用車が到着しました。さて売れ行きはどうかな?


(一般)
1) マプチェとの戦い
   チリの原住民マプチェと政府の戦いが継続と先週書きましたが、今週はなんとそれが警察官による殺人事件にまで発展。家畜が盗まれた事件で、容疑者を捜して警察がある家を訪ねたところ銃撃戦になり、その家の男性が、警察の発砲で死亡しました。警察は先方から仕掛けられた銃撃戦としていますが、その家族によると深夜突然警官が家宅侵入してきて、家畜泥棒の捜査なんて言い訳は通らない。最初から殺害目的で撃ってきたのだとしています。
   それにしても反マプチェの側によると彼等と問題があっても警察は何もしない。マプチェ問題には被害者の救助をしないで傍観するだけと厳しく批判しています。確かに機動隊の列にマプチェが投石を繰り返しても、じっと耐え忍んでいるのがテレビのニュースに良くでますから、それがいつかこのような形で発散されるのでしょうか?

2) ラス・コンデス区長と国の争い
ラス・コンデスといえば、チリを代表する高級住宅街ですが、そこの一部の地区に街娼男娼が集まり、商売を繰り広げるので住民に迷惑をかけるとクレームがでました。区長は該当地区の住民に投票を求め、60%の住民が賛成したので、該当地区に入る車を深夜に制限することにしました。住民にはカードを渡し通行に支障のないようにし、その他の車は道路の入り口にガードマンを置いてシャットアウトの作戦です。商売が上がったりになったら彼女たちもこの地区から離れるだろうとの読み。しかしこれに政府が噛み付き、道路の通行を制限できる権利は政府だけが持っており、一区役所がそれを規制することは憲法上認められないとか。
その他売春も立派な職業で、肉体労働者という意味では土方などの建設労働者と同じ、従い彼女たちを規制するのは間違いとする意見も出ています。それをすすめるとドイツやオランダのように赤線地区を作ればよいと早くも商売を見つけた喜び丸出しの人間まで出てこの先まだまだ論議を呼びそうです。
週末、同地区には大量の?警察官が張り付いて警戒中。他の犯罪の警戒をしたほうが良さそうですが・・・。
そうそう先週捕まったブチック強盗の犯人の女性は、そのエレガントな装いで話題を集めています。3流新聞のトップページに一面写真でチリで一番エレガントな強盗と見出しがつきました。グループが襲った高級ブチックに事件の前に様子を見るため彼女も客として中に入っていますが、誰も疑わなかったほどのいでたちだったとか。日常も貧民街には場違いな高級な服、化粧品、バッグで着飾っていたとか。その費用を稼ぐために強盗しているのなら本末転倒?ですよね。その女性、犯罪歴の固まりのようなのに刑務所に入っていないのが不思議。どうなっているのかな?

3) 本土とチロエ島を結ぶ橋の建設は中止になりましたが、今回政府はそのチロエ島とさらにその先のキンチャオ島の間にかける橋の建設計画を発表しました。でも島民はその橋がかかると橋の渡河費用を払う必要があると聞いて拒否反応とか。その小島は私の大好きな島ですが(このブログのチロエ旅行記の項を参照のこと)渡航が便利になるのと、観光客が増えて俗化するのとどっちのほうが問題でしょうか?

4) タバコの話
禁煙法案が通りましたが、デパートなどの公共施設で禁煙は守られていないとか。テレビ局の人間がわざとタバコを吸いながら館内に入っていくと警備員がそれを見ても注意をしにきません。文部省などの官庁で同じような実験をしたら、警備員の何人かに一人くらい、タバコは外ですってくださいと言うらしい。まぁボチボチですね。

5) 今年に入って始めて国際線の登場客が減少。7月の乗客は前年対比
2.6%減少とか、ただし1−7月の合計は5.1%のアップですが。


(スポーツ)
1) サッカー
   チームによる南米カップの1回戦チリ国内チームの対戦でコロコロガ勝ち2回戦に駒を進めました。次はアルゼンチンのチームとの対戦。
   例の八百長事件は選手の何人かが裁判所に呼ばれ証言しました。黒い噂の中心ロボはまだ出頭していません。さてどうなるのか?
   リーグ戦ではコロコロはまた勝って2位に浮上。負けつづけていたラー・ウーは先週に続いて2連勝。今週の勝利を決めたベテランのサラスはチリ代表に戻っても良いとのコメント。やめたほうが良いと思いますが。

2) テニス
   ATPのニューヨーク大会が開催中で、チリのホープ世界ランキング10位のゴンサレスは昨年と同じく3回戦まで勝ち進みましたが、そこまででした。


以上