チリの風 その64  04年3月14日―20日

デパートは秋ものの展示を始めましたが、夏も粘って今週30度を越す日がありました。私は今週チリの南部9州、10州に出張しましたが、首都とは10度くらいの温度差があって、さすがに涼しくセーター、ジャンパーを着ました。プエルト・モンの町で、潮風に吹かれながら海岸沿いを走っていたら、風邪を引いてしまいました。出張から戻ってきて、咳、熱、鼻水と最悪の状態でしたが、土曜日同僚とマラソン練習、すっかり風邪は治りました。ホンマやで。


(政治)
1)しかし日本でもそうだが、政治の世界の不可解さはいつになっても不愉快なものを感じてしまう。今回の野党側の醜い争いの後の醜悪な打開策、これでは国民の理解は得られないだろうに。
しかし与党側も、似たようなもので次期大統領選挙の候補として前大統領のフレイ氏が浮上してきた。
これは現大統領がPPDなので、次期はDCからでなければならない。女性で有力とされるバチェレさんはPPD。それでDCで有力なのがフレイ氏とか。国民を馬鹿にしている。彼は任期の間、いったい何をしたのか私の記憶に残っていない。
やっぱり私の言うように無効投票をするのが良いのではないだろうか?
例の女性議員、グスマンさんの議員資格剥奪の裁判所決定は来週月曜日と言うことになったが、それより早く児童虐待、売春事件に関与した国会議員がいたのかいなかったのか、はっきりさせてほしい。
しかしどの政党のどの議員が、他の誰かと夕食を一緒にしたとか報道されますが、誰もが半信半疑で行動しているのでしょうね。

2)チリ陸軍のハイチへの派兵に対し、チリ国内では大きな反対運動は起こっていない。ただ、一部のチリ人の中に反米感情の高いグループがいて、彼らの間では、世界で一番問題を起こしているのはアルカイダではない、ブッシュ大統領だとしてその彼に迎合するのは許せないと言っています。ラテンアメリカアメリカ合衆国嫌いは相当なものがありますが、その中ではチリの反米感情は低いほうです。
(この関連事項ですが、ハイチ派遣の陸軍軍人の最低給料は月1500ドル、一方アメリカの会社に雇用されてイラクで働いている元チリ陸軍軍人の最低給料は3千ドルだそうです)

3)キューバで脳腫瘍の手術と療養をしていた共産党女性党首マリンさんが帰国しました。あいかわらず元気に政府の批判をしています。ちょうどこの週、軍事政権下の秘密警察の長官で数々の殺人事件の指示をしたとして投獄されていた人間が、仮釈放されて出てきました。彼女としては自分たちの仲間の共産党員の殺害犯人ですから、チリの裁判所の決定を疑うとして厳しいコメント発表しています。


(経済)
1)全国各地の州別、職種別給料ランクが発表になりました。地区のトップは第2州で44万ペソ。(7万円。1ドルを100円、600ペソで換算して1円6ペソで表示します)これは第2州にはエスコンディーダやチュキカマタなど大手銅山があり、平均収入を上げているからです。首都圏は第4位。ただし砂漠地帯にある第2州の方が首都圏より物価指数は高くなっています。一番低いのが第7州で3万5千円。
職種では当然トップは鉱山関係で11万円、一番低いのは農業で3万5千円でした。それでも03年は02年より実質約20%アップとなっており、立派なもの。

2)2月の自動車の売上が、対前年30%アップとか、小売店の売上が毎月上昇しているとかいったニュース、さらに銅の平均価格が過去9年間で最高(もしその記録を抜くと史上最高になる)とかチリ経済の基礎が固まってきていることを示す指数がたくさんあります。
ストの数(日数)が毎年のように減少しているのもその一つの現れ。


(一般)
1)しかし今週のニュースで一番笑ってしまったのは教科書問題。日本でも教科書の内容について問題になりますが、それとこれとは次元が違うと思います。チリのお笑いは英語の教科書にのった海軍批判の文章。会話になっていて、「海軍軍人はいまだにピノチェット支持者ばかりだね」「糞くらえだ」と言った調子。
しかし問題は、学校が始まって2週間たってから、ある学校の生徒がこれを疑問視し、それを教師が校長に連絡、教育委員会に入り、文部省が気づいたと言うのですから、まったく開いた口がふさがりません。学校の先生って、学期の始まる前、教科書を見ないのか、それよりさきに文部省と教科書の発行所の間で検閲はしないのか?さらにおかしいのは、文部大臣が、平気な顔で、この業者には10日間の猶予を与えて訂正させることにしました(該当教科書は25万部とか)と発表したこと。
我が愛するチリもこれでは先が思いやられる。学校の教科書で糞ッたれとか習うときの子供の顔が思い浮かびます。教室中でわめき散らすのでしょうね、きっと。

2)最近のチリの新聞に出た日本語の単語として、ゲイシャ、ワギュウ、カミカゼ、サムライがありますが、今週ロウニンがでました。しかし読者は記事を読んでいて理解できるのだろうかと思ってしまうが?


(スポーツ)
1)サッカー
もうアト2週間に迫ったWカップの南米予選のことが話題の中心ですが、最近のチリの国際レベルからして、相手がたとえボリビアでも勝ち目はないでしょう。それでもチリのファンとしては何とかして勝ち目は無いのか考えていますが・・・
前半の早めにサラスの得点があれば、あとは全員が守備回ってボールを外に蹴る出すことに徹しで時間稼ぎをして、恥をしのいで勝利を狙うと言う手もありそうですが、それでも現在のチリは弱すぎる。

2)テニス
元世界1位のリオス選手が話題を呼んでいますが、彼がATPの試合に再登場するというニュースより、奥さんが彼との結婚を取り消したいと裁判所に訴えたことが中心、情けない。

以上