チリの風 その65 04年3月21日−27日

もう3月も終わりに近づきましたね。日本では高校やプロの野球が始まり、桜も咲き始めて、春爛漫というところでしょうか?

チリはまだ夏が居残って、秋の気配があまりしません。それでも早朝は15度前後まで下がるので、通勤時それにあわせた服を着ている人と、昼には30度までなるので、それにあわせて半そでで我慢している人と2種類に分かれます。毎年のことですが面白い光景です。来週から気温も下がり雨も降り出すと天気予報で言っていますが。

私は4月のマラソンを目指して最後の練習中です。土曜日(27日)日本人、チリ人の友だちと32kを走って、死んでしまいました。


(政治)
1)今週はアルゼンチンの話題で始めてみましょう。
その1)元アルゼンチン大統領メンネムが滞在中のチリで政治亡命を打診しましたが、チリ政府に断られました。彼もけっこう貧しい暮らしから初めて自家用飛行機を使うところまで行きましたが、やっぱり政治の裏でそんな金を造ったのでしょうね。スイスの隠し口座とか見つかって、このままアルゼンチンに戻ると監獄行きは間違いないと見ての決断でしょう。金さえあればなんでも出来ると思っていた人間の見本みたいですが、さぁどうなるのか。彼は奥さんがチリ人ですから、チリの永住ヴィザの申請もしているようです。
さて今週、チリの新聞に裏金作りの世界元大統領のランキングがでていましたが、1位はインドネシアスハルトでダントツの150億ドル。
ラテンアメリカではトップの10位に3人入ったが、なんと日本人のフジモリ(やっぱり彼はペルー人でしょうか)が健闘して7位に食込み6億ドルを隠したらしい。

その2)チリは最近、アルゼンチンから天然ガスを輸入して発電や家庭用に使用していますが、ここにきてアルゼンチンが自国内の消費が増加したのでチリ向け輸出をストップしたいと言われています。ボリビア天然ガスの埋蔵は無尽蔵?と言われますが、アルゼンチンが必要なら供給してやってもよいと発表。ただし、それをチリに回すのは断るとしています。
しかし熱源をこのアルゼンチンからの天然ガスに切り替えるときチリ政府はどんなことがあっても将来的に供給不足、ストップなどの事態は起こりませんと説明し、首都圏なんか大工事をして家庭用ガス器具を天然ガス向けに変更したのですが・・・
じゃ、私のアパートのセントラル・ヒーティングも止まってしまう事態が起こりうるのかな?

2)右翼(野党)の混迷は左翼(与党)のエラーを全部隠してしまったようです。ちょうど一年前、政府関係者、国会議員の汚職が次々に出て、このままでは政府の崩壊かと思わせたほどでしたが、今ではそんな醜聞がまるで無かったかのようです。さらに高級官吏の給料上乗せ問題も、ラゴス大統領に火の子のかかるところまで行きながら、持ちこたえています??
さて今週の最大の話題になるはずだった、グスマン議員の国会議員資格剥奪の裁判所決定は、その必要なしでした。
この件で、新聞に投書がありました。それは「これでチリでは誰が何を言っても罰せられることがないということが分かったわけだ」とされていました。もっとも国民の過半数は、グスマン議員は本当のことを言ったと考えていますから、こんな嫌味の意見が出ても説得力がありません。
さてこの結果を受けて、彼女を訴えていたUDIは、RNが次の選挙で彼女を立候補させなければ、この問題は解決したことにしようと発言していますが、さてどうなるかな?
その影響を受けて、電話を使った投票予想の結果で、右翼側から次期大統領選に立候補予定のサンティアゴ区長ラビンと他の与党候補との対戦は、すべての与党側候補がラビンを破ると出ています。
風が一気に与党側に吹き始めたということでしょう。もっともアルゼンチンの天然ガス問題から、その風が逆に吹き始めることも想像できますが。

(経済)
1)ペソがだんだん弱くなってきています。3月初め585ペソだったのに今週は1ドル617ペソになっています。このままペソが弱くなるのなら、私が会社で責任者になっているリキャップタイヤの商内の割引率を考えないといけないかな?

2)03年国別個人の購買力が発表になりましたが、チリはラテンアメリカではトップの16000ドルでした。これはアメリカ36600ドルの約半分ですが、メキシコ9500ドル、ブラジルの7700ドルを軽く抜いています。チリ経済が堅調であると言う証拠になるでしょう。(注 国民所得ではありません)

3)既にチリの風で、お知らせしたことがありますが、今までチリからの輸出と言えば銅と決まっていた時代がありました。ところが03年のアメリカ向け輸出で銅は、鮭、木材についで3位を占めたことになっています。4位のぶどうとあまり差が無いので。来年は4位に転落するかもしれません。チリ経済の多角経営の成功例です。
もっともその銅ですが、銅価格が一年前は1ポンド当たり76セントだったのが現在140セントまであがっているので、利益率ではダントツでしょう。大手消費国の中国などでまだ輸入量の停滞もしくは減少が見られないことから、銅価格はさらに上昇すると見られています。

(一般)
1)女子大生がバスから落ちて、頭を打ち死亡するという事故がありました。サンティアゴの市内バスは通常、前のドアをあけたまま運行しているので、当初そのための事故と考えられました。彼女の家族は死体から臓器を摘出して、病人に提供し、5人の患者への移植手術がおこなわれました。事故死の後の美談と言うわけです。
ところがその後、証人が出て彼女がバスから落ちたのはバスに乗ってきた強盗に襲われたからと発言。安全問題がクローズアップされていています。チリは他の南米諸国に比べると今でも比較的安全と言われていますが、このように日常生活に頻繁に強盗、殺人事件が起こっていることが分かります。悲しい。

2)ホテル調査
03年の調査でチリには466のホテルがあり、客室合計は17210室。
客室単価が一番高いのは首都のサンティアゴで平均42ドル。一番安いのはアリカで19ドルだそうです。一番客室利用率が高かったのはコンセプシオンで41%。そう言えば、私も毎月そこへ出張しています。

(スポーツ)
1)サッカー
来週、火曜日Wカップの地区予選が行われます。日本はシンガポールで試合をするそうですが、チリはボリビアで試合が予定されています。
ボリビアは政治情勢が不安でサッカーどころではないという感じですが、チリでは、もしかしたらアルゼンチンリーグで絶好調のサラスが活躍して勝てるかもしれないと雰囲気が盛り上がってきました。私の会社の同僚は全員チリの勝ちといっています。負けるといっているのは私だけ? 試合は午後4時からなので、その時間仕事をしている人は少ないでしょうね!!

2)テニス
ここで勝てばATPランキングのトップテンに入れると言うところでマス選手は惨めな敗退。大事なところで勝てないと言うのがチリ選手らしい。来週がんばれば・・

以上