チリの風  その808  2018年11月5日―11日  

     
急に季節が変わり、今週のサンティアゴは最高気温が30度を超え一気に真夏になりました。木陰に入ると気持ちよいです。
そして雨も降らないのでトレッキングをして山に入ると、もう下草が枯れ始めています。
土曜日の教室は30名の参加者で楽しく実施しました。中学生より小さな子供が多かったです。
日曜日のマラソン練習は4名で実施。楽しく走りました。
そしてマチュピチュ同好会を我家で実施。今回も峰村さんと二人でチリの歴史を仲間に熱意を持って発表し、喜んでもらえました。
夜、ベッドに入ると、「今日も無事に終った。幸せだな」と感じます。

(政治)

 1)ピニェラ動向
世論調査で彼の人気が急に下がりました。3月就任以降最悪の数字です。支持するは43%、不支持は44%。下落の原因として政府内の混乱、経済の伸びが無いことなどが上げられています。確かに専門家の意見では2019年のチリ経済は成長率が落ちることと不確定要素が増大すると縁起の悪いことが上げられています。
2)刑務官のスト
    月曜日に始まり、金曜日に決着。しかし刑務所内外で問題が溢れ、臨時に警官が職務につくと、刑務官がそれと対決する雰囲気も出て騒然。一部でハンガーストもおこなわれ、大混乱でした。何とか解決した模様。
3)軍隊の改革
元陸軍長官のチェイレが人権問題で有罪になりました。1973年の「死の行進」に関連したとされたもの。軍事政権時の左翼の弾劾の一つがそれですが、陸軍トップが有罪になったのは初めてです。
トップの不正事件も問題が明白になり、少尉が7千万ペソの不正支出していたことで起訴されました。
これらを受けてピニェラは陸軍の大改革を実施。陸軍は大将格の45名の内、何と21名を入れ替えることにしました。約半数をその責務から外したのですが、ピニェラも思い切って手を打ちましたね。
似たようなことかもしれませんが、検察内での疑問・疑惑も取りざたされて、先日、検察トップが野党議員から訴えられました。政府の具合の良いように調査すると言うクレームですね。
それは却下されましたが、今回はソキミチ鉱山不正事件を調べていた検察官が辞職しました。同事件で与党UDIの有力議員を取り調べたのが嫌がられたようですが、彼は自分のしてきた仕事には誇りを持っているとコメント。彼が将来、裁判官になれば迫力あると思うけどどうかな。どの国でも正義と言いながら後ろめたいこともありますね。
3)外交
フランス政府は犯罪者パルマの送還を拒否したことに対するチリの抗議に対し、その裁判は軍事政権のピノチェットの影響で実施されているので公正と思えないと拒否の理由を説明。チリ政府は、事件があったのは1990年代で既に民主化された後とフランス政府へのクレームを継続しています。
そのパルマとチリの新左翼の議員ボリッチが面談したことが話題になっています。フランス政府に政治亡命を申請することを話あったとか。何それ??
新左翼とフランス政府は似たような考えをするのですね。 与党UDIの議員は人権問題を理解できないボリッチを議員追放処分にしようと画策しているようですが、当の本人は「UDIの言い分は笑えてしまう、ピノチェットが人権問題でロンドンで拘留された時、彼を援護する動きをしたではないか、人権問題を理解できないのは彼らだ」
そして投資詐欺で国際手配になっているチャングは地中海のマルタにいますが、同国はチリから要請されている彼の強制送還を拒否しました。彼はニッコリ笑ってこれでゆっくり寝れるとコメント。国によって色んな考え方がありますね。
今週、ハイチへの帰国希望者を乗せた空軍機が飛びましたが、ベネスエラに200名のチリ人が帰国したくてもできないと泣いているとか。運の悪い人はどこにもいるわけですね。
4)カトリック教会  
    もういつもと同じですが、現在、検察から捜査が行われているのは、神父が105名、司教が8名。そうそう大司教が1名。
245名が神父に性的暴行を受けていたとクレームしています。

(経済)

1) 9月の成長率は2.3%、これで第3四半期は2.9%。今年の最も低い数字。これで2018年の年間4%を超えるのは難しいとなってきました。
2) 物価上昇率(IPC)
10月のIPCは0.4%、これは予想された以上の数字でした。果物、ガソリンの上昇が影響したとか。過去12月では2.9%でした。
3) 銅価格と為替
銅はポンド2.76ドルと先週と変わらず低め安定。しかし為替は1ドル681ペソとペソが強くなりました。
原油価格が60ドルと急に下がってきましたが、アメリカとイランの争いで価格は上昇と思われていたのに意外。これで来週はチリのガソリン価格が下がります。

(一般)

1) 高校生の暴力事件 
インバ高校に警察が入り高校生を4名逮捕。モロトフ爆弾などを押収しました。新法案で、これらの4名はどんな処分を受けるのかな。4名は自宅監禁処分を受けています。
2) 停電からメトロが運行停止
水曜日の夕がた、地下鉄が止まりました。停電が理由とか。ホームに乗客があふれ、駅への入場が禁止になり、しかたなくバスに乗ろうとする客が道路にあふれ、おまけに停電で信号機が消え、街中大混乱になりました。1時間半して正常化しましたが、電気系統の故障はサンティァゴの日常生活を破壊する力があります。
3) 山火事の危険
高温になってきたので、山火事の危険が大きくなってきました。この冬は通常より雨量が少量だったのも影響します。先年みたいな大火事にならなければ良いのですが。
今週、アメリカのキャルフォルニアで大火事、死者も多く出ているようですね。

(スポーツ)

1) サッカー
今週は国内リーグ戦は休みです。もう一つのカップ戦のチリカップの決勝戦が行われパレスチーナがアウダックス・イタリアーノを破り優勝しました。
来週、コスタリカホンジュラススとの国際親善試合が用意されています。
2) テニス  
チリのトップのジャリ―はATPの世界38位。100番に入れるかと心配されたガリンが87位まで上昇。二人とも好調です。


以上