(政治)

1) 大統領選挙
政界にも地震がありました。かなりの揺れでした。
キリスト教民主党DCが与党内の予備選挙に参加せず11月の大統領選挙に直接出馬すると党大会で決定しました。
他の与党は、この決定は与党連合に大きな影響を与える間違った選択だとし、国会議員選挙の際に与党内で各党に適切な議席が得られるような公認候補の 話し合いにDCを加えないような雰囲気。
表向きは中道左派として過去長い間、政界を牛耳ってきた与党連合の最終局面に見えます。
今まで政府に入れなかった共産党を第2次バチェレット政権で参加させたことがこの局面をもたらしたものとされます。
しかし野党側のUDIの議員は「お笑いものだぜ、このショーは。どうせ11月の大統領選挙が近づく8月か9月にDCの候補者の党首ゴイッチが私は大統領選挙には出馬しませんから、議員の数をあと数名増やすように公認候補者を認めてほしいと言い出すんだよ」
ここで感じるのですが、あのチリの上昇気流、一体感を共有し、チリ人すべてが自分たちの国は良くなっていると感じ、それをもっと高めようとした時代がどこに行ってしまったのでしょうか。
今ではチリ人は、多くのチリ人は、政治家も企業家も信用せず、チリの将来は明るいと思わなくなってきています。短期間のうちに大きな変化があったわけです。
いつも繰り返していますが、政治家は右も左も同じです。チリは南米では数少ない汚職の少ない国でしたが、風が変わってきています。そして企業が話し合って価格を上げた談合も薬局・鶏肉・トイレットぺ−パ−等幾つも出ています。短期間では、騙されても国民はちゃんと見る目があります。
ベネスエラが話題になっています。今週、米州機構から離脱しました。そこの外務大臣が「他国の内政に口を挟むのが目的のような組織に加盟する必要はない」とコメント。わずか10数年前、一人当たりの国民所得が南米で最も高かった国が現在では貧民国に下落。政治の重要さがよくわかります。 チリが間違えた道に入らないでほしいもの。     
2) バチェレットの選挙資金問題 
元内務大臣、資金運営代表の二人が問題になっています。
さて検察庁の会議にバチェレットが招待され出席しましたが、その席でアボット検察長官はバチェレットに面と向かってSII税務署関連で企業が議員の選挙資金を不正に供給したことについて検察の自由な調査を認めてほしいと依頼。どうなるか。バチェレットは自分に直接関係することになりますね。ブラジルから選挙資金が入ったとされ、彼女の選挙資金代表だったマルテリはこの件に関し今週また検察に出頭しました。
税務署トップは自分たちは検察のために働いているのでは無いとコメントしています。
企業は領収書をもらうとそれに見合った金額を支払いますが、その領収書が、してもいない仕事の見返りで、企業は支払った分は利益が下がり、税金を払わなくても良いわけで、公に選挙資金の不正供給をしているわけです。
さて警察軍の不正問題ですが、警察軍創設90年記念の行事で長官は「公金横領の行為で国民の信頼を失った。国民にお詫びしたい。またほとんどすべての警察官にもお詫びしたい。なぜなら彼らは自身の人生をチリのためにささげてきたのだから」としました。そして組織変更案として、経理・監察を行う組織に警察官でない一般人を加入させるとしています。 
もっとも逮捕された警察軍の幹部は犯罪者だとしながら、彼らの援護は警察軍の弁護士が行っています。何それと言う感じですね。
すでに40名以上の警察幹部が逮捕され公金横領の額は190億ペソになっています。
検察側は警察軍は犯罪組織と考えるとコメントし徹底追及の構え。素晴らしい情熱ですね。勿論、この後、陸海空の3軍にも似たような問題が出るでしょうね。
陸軍の件では、元プロビデンシア区長のラべは拘留されたまま、そして元陸軍長官のチェイレが左翼逮捕・粛清が起きた「死の行進」問題で拘留されました。40年たってもまだ動きがあるのは不思議な気がします。
先の警察問題と同じく、軍事政権の人権問題も最後まで調べると言う情熱が何処かに残っているわけですね。
ところでこの人権問題で逮捕され有罪になった元軍人が留置されている特別刑務所を右翼の議員は良く訪問しますが、それらの元軍人で年齢・病気などから死期が近い犯罪者を刑務所から出し自宅拘留にできないかと言う声が出ています。バチェレットの父は空軍長官でしたが、反ピノチェットとして殺害されました。その犯人の一人に関し、バチェレットの母親は、殺されたバチェレット将軍の妻ですが、私は彼が自宅に戻るのを反対しませんとコメントしています。
それから、カバル事件で調べられていたバチェレットの息子はこの件に関し無罪と言うことになりました。もっとも彼の嫁さんが危ない状況ですが。
最後になりますがバチェレットの側近と言えるサンティアゴ区長トアは先の選挙で野党のアレッサンドリに敗れましたが、彼はトアの負の遺産で5月の公立学校の教員の給料が払えないと裁判所に訴え出ました。巨額の金が何処かに消えているわけです。
一つの区だけでなく政権でも同じでしょうが、時々、野党と与党を替えないとこういう事態が起こるのでしょうか。悲しい実態。
こうした実態を私はマスコミ・ネットを使って探すわけですが、今週発表のマスコミの自由度調査でいつものように北欧の国がトップになりました。ウルグアイが8位、日本は12位、チリは18位でした。チリがあの怪しいマスコミの日本より下と言うのは素人の私には理解できませんが、世界のランクの上位にチリが入ると言うのはうれしいことです。