(政治)

1) 政府の動き
今週も先週と同じくバチェレットの息子夫婦の件が話題の中心かと思いましたが、他の二つの話題がそれよりずっと目立ちました。
最初はビジャリカ火山の噴火です。チリ南部の有名な保養地プコンの前にそびえる活火山ですが、それが派手に爆発し、回り10キロ圏が警戒地区になりました。政府は警戒警報をだし、近くの住民に避難勧告。山に近づく道の封鎖も行われました。夏休みの最後の観光客はこれで自宅への帰還を余儀なくされましたが、逆に噴火を見るため新しい観光客も来ているとか。チリには2千の火山があり、そのうち5百が活動しているとか。
バチェレットは息子夫妻の疑惑から逃げるため首都を外れ、特別視察として現地入りしました。空軍機に乗って山を上から視察しています。地域住民から熱狂的に歓迎されていました。週末になって火山活動はかなり 鎮まってきました。今回の噴火では死傷者はでていません。
もう一つは昨年から継続のペンタ銀行事件が正式に裁判に入りました。検察側は裁判所に主要な容疑者を判決がでるまで刑務所に仮入獄させるよう要請。
検察は「ペンタ銀行は課税を避ける仕事を実行する機械のようだ」と告発すると弁護士が我々が支払った税金のわずか3%が問題になっているわけで、検察側発言はまるでお笑いだと切り返す。これが通れば被告側が有利になりますが、検察側もよく勉強していて、ペンタ銀行グループの年金運用会社、医療保険会社などは正規に税金を払っているが、ペンタ銀行は過去数年税金を払っていないとし、それは偽の領収書を経費として計上し利益がないからだと発表しました。
訴えられている中で、一番ひどいのはピニェラの時の鉱業省次官で、銀行から金をもらい、そのオーナーの一人をコデルコ銅公社のディレクターに任命しようとしていました。ばっちり賄賂ですね。現在、裁判になっているのは銀行関係者(オーナー二人を含む)、税務署関係者の10名です。国会議員などの裁判は来週開始の予定とか。
検察の要求通り、収容命令が出て容疑者6名が仮入獄を命令されました。彼らにとって罰金刑は考えていたでしょうが、刑務所入りは大ショックでしょうね。
大統領選挙の候補者だったUDI党のマテイは「私は検察も裁判官も信用しない。彼らはUDIを壊そうとしているだけだ」とコメント。もめています。もっともこの発言について「前大統領候補者とは思えないレベルの低いもの、このコメントはUDIを助けようとする意図のためだが、少しは世間を勉強してほしい」という声もあります。  
日本も安倍首相など選挙資金問題を抱えていますが、どこでも同じですね。日本の場合はあまりマスコミが報道しないけど、チリはばっちり知らせます(例外もあるけど)
もちろん来週はバチェレット息子夫婦問題が戻ってきます。この事件のおかげでバチェレットの人気は下落し、彼女を信任するは就任以来最低の39%、拒否率は52%と発表されました。何しろ70%のチリ人は先週の彼女のコメント(マスコミに報道されるまで事件を全く知らなかった)は嘘だとしています。と言うことはまだ30%の人は彼女を信じているわけですね。私は最初から嘘だと思っています。
与党側からもこの事件でバチェレットのリーダーシップが疑われているのは間違いないとの声が出てきて、彼女も作戦を変更し「疑いのある人間は誰にせよ法律で裁かれるべき。私の基本方針は変わりません」としました。彼女の息子も裁判所に出頭させられることがあるというわけです。風が変わりました。
ところでその息子の父親が(バチェレットの別れた夫)「何故私の息子がこれほどいじめられるのか。ピニェラの息子も、ペンタ銀行のオーナーの息子も同じようなことをしているのに」
バチェレットはイメージ回復のため、この世界女性デーを利用して、女性省の設立を約束し、国を挙げて女性の地位向上に当たるとしています。
2) ペルーのスパイ事件
チリ政府は「いかなるスパイもチリは認めないし、実行するつもりもない」というような回答をペルーに送った模様。もちろんペルー側はもっと親身のある回答をお願いしたいとそれを拒否。ペル−側の発表では、チリ軍隊がペルーの海軍軍人に金を渡し内部情報を抜こうとしたと言われます。そのチリ側の名前も明らかになっていますが、チリ政府は動揺していません。この件はマスコミにはあまり大きく報道されていません。ペルーはチリ大使を抗議のため本国に召還するとか。