チリの風   その147     05年10月17日―23日

チリの風   その147     05年10月17日―23日

日本(東京、大阪)とサンティアゴの気温が同じくらいになりました。20度と25度くらいの間。気持ちの良い毎日です。
いつもマラソン練習の話しか書いていませんが、たまには違った話題・・・
チリ大の劇場でモーツァルトフィガロの結婚が演奏されると聞いて、モーツァルトファンの私として早速いきました。来年彼の生誕250年記念を迎えるオーストリアでは大変なブームだそうで、モーツァルト弁当、モーツァルト饅頭など売れているのでしょうね(?)数年前に彼の生誕の街を歩いたのが懐かしく思い出されます。


(政治)
1)もちろんトップは四人の大統領候補のテレビ討論会でしょうね。どういうわけかスペイン語CNNが中心となって討論会の中継をしていました。つまりチリだけでなく全世界(まぁ実質は北米から南米までのネットワーク)で中継されたわけです。私はCNNの中継を見ていました(内容はチリのテレビと同じだけれど、途中に入る宣伝が違う)
参加者は右翼が二人、現政権の中央、左翼系が一人、共産党を含む人間党系が一人でした。
その4人の中でもっともリラックスして討論会を楽しんでいたのは選挙に勝てそうに無い人間党のヒルチェで、アメリカのブッシュ大統領を危険なテロリストと発言するなど、言いたい放題。見ているほうも楽しめました。与党のバチェレットは緊張していて楽しい発言はなし。前回惜しくも破れたラビンは現政権に八つ当たりで、それを継承するバチェレットも同じ失敗をするに違いないと厳しく迫ったが、世論の共感を得ず。ピニエラはそつなく押さえたが大ヒットもなし。私の評価では今回の討論会に関しては1位ヒルチェ、2位ピニエラ、3位バチェレット、4位ラビンでした。新聞ではバチェレットが一番良い評価を得たように書いてありましたが、それは私に見る目が無いのか、新聞は実際のことを書けないのかのどちらかです。
しかし週末の新聞に、ヒルチェの人気が上がり、「一回目の選挙でバチェレットが50%を抑えて勝利する」のケースは薄れ、上位2者による決選投票にもつれこむだろうとのこと。その方が楽しみが増します。

2)汚職度ランキング
なんとチリと日本が並びました。日本は前年24位から上がって21位に。チリは20位から一つ落ちて21位。同率です。世界159か国中ですから、まぁ上位にあるのは確実なようです。しかしどうやって公正な評価を出すのだろうかといつも疑問です。
でも汚職度(汚職清潔度)で日本とチリが同じと言うのは喜ぶべきことなのか、悲しむべきことなのでしょうか。日本も汚職はどうしても無くせないし、チリもやっぱり南米の中ではマシだと言っても、やっぱりあるのですね。 私のチリ25年の経験で何回かそういう場面に遭遇しました。何とか、私は賄賂をたのんでの製品の売込みをしませんでした。(私より上の立場の人間がそれをしなかったかは断言できませんが)それでもチリは南米では清潔度第1位です。

3)ラゴス大統領が昔、暗殺リストに載っていた!
軍事政権時、反対勢力(政党、労働者組合など)の有力者を暗殺していましたが、ラゴスもそれに載っていたと元秘密部隊のCNIメンバーが告白。しかし彼も危ない時期があったのですね。これを聞いたとき、ラゴスの顔から血の気が引いていったでことでしょう。

4)新しい州の出現。
チリは北から第1州、一番南が第12州、それに首都圏が加わって合計13州で成り立っていますが、これを15州にすることになりました。おかしいことに第1州を分割して、一番北のペルーとの国境の町アリカを新しい第15州に、また首黒白鳥の死亡事故で有名になった第10州のバルディビアを分割して第14州にすることになりました。

せっかく北から順番で来ている州の番号をここで変更するのは違和感がありますが、全部の州の番号を換えるより、この方が州新設によるコスト増をおさえることが出来るらしい。もちろん新設の2州で国会議員の数も増えます。


(経済)
1)大手企業が商売を独占
2003年の数字として今週発表されたのですが、なんとチリでその年発行された領収書の金額の80%は、たった1%の大手企業によるものだった。中小企業の苦しい姿が浮かび上がってきますね。中小企業は販売しても正規の領収書を切らないと言うわけではありません。南米の近隣諸国では税金を納める必要がないように領収書を顧客に渡さないことが良くありますが・・・

2)銅の価格がまた記録
毎週のように記録を更新していると、銅の価格って底なしに上がっていくように思えますが、なぜそんなことになるのでしょう。1ポンドあたり183セントでした。一方、ペソの安定と原油の値下がりのため、来週から1リットル(97オクタン)で33ペソ下がって、 620ペソ(125円)となるそうです。

3)ピスコ問題
ピスコはペルー原産の酒ですが, 量としてはチリ産がペルーをしのいでいます。で、ペルーが自国産でないものをピスコと呼ぶのは禁止してほしいと国際的に訴え出ていた件で、アメリカが自由貿易協定のあるチリで産出されたピスコをその協定に含まれるものと認定したことから、ペルーの訴えが間接的に却下されたことになりました。まぁ名前だけでなく、実質(品質)で勝負をしなければならないということですね。

4)中国との自由貿易協定の第5回準備会議が来週から北京で始まりますがこれが最終会議になるだろうと予想されています。で、06年06月からの実施は先ず間違いなさそうです。中国はこの9月も約10%の経済成長、まだ影も見せません。どこまで続くこの好景気でしょうね。
しかし果物(例えばリンゴ)の輸出で世界1位が中国、2位がチリなんて聞くとどこかの市場でもろに中国産とチリ産が競合しているのですね。
気の毒にニュージーランドはその影響をもろに受けて最近の5年間で果実産業が15%減少したらしい 。


(一般)
1)新都市交通計画
いよいよ新計画が実施になりました。大改革はまだ先の2006年からの話ですが、土曜日から新型バスが路線に投入され一応営業開始。
旧型バスが消えないうちに新型バスが投入されれば、交通渋滞はさらに増加するのではないかと心配されています。 
 その裏話みたいですが、既存交通グループのあるバス会社が苦戦しています。その理由は運転手の半数近くがとられてしまったというのです。しかしどこまで本当か分かりませんが、そのやり方が手が込んでいます。給料を大幅アップで仕事を乙波, しかし契約期間はわずか1ヶ月。で、その1ヶ月が終了したところで、君は明日からもう要らないと言い渡す。運転手は失業したくないので給料が下がってもここに残りたいとするはず。で、そのとき世間並みの給料なら契約出来るとすれば、運転手の確保と経費の軽減が図れるというもの。あまりにも小説みたいだけど・・・,ホンマかな?
 で、その引き抜き側の会社に、これは私の仕事ですが、訪問しましたが、社員が非常に少ないように見えたので、これで1000台ものバスのメンテが出来るのか聞くと、講習中ですとか。最後の最後までバス会社の技術講習会があったわけです。
 ところでこの新交通システムに反対するバス労働者組合のストが実施されました。2002年のストの時は一部の過激派バス会社がバスを道路に放置して、つまり道路を閉鎖して、全サンティアゴの交通を麻痺させましたが(一部の社長は刑務所に)、今回は一部のバス会社のみで大きな混乱は無し。

2)新交通システムも市民に大きく影響する出来事ですが、今週チリで一般市民の間でもっとも話題になったのはエクアドル人医師が整形手術に失敗の件でした。女性患者は昏睡状態のままです。脂肪のついた腹部を軽くするのが目的だったみたいですが、麻酔量を間違えたのか昏睡に。
で、彼が外国人医師だったことから外国人が医者としてチリで働くことの出来る許可をどう与えるか、また安易な整形手術の是非など論議を呼んだものです。その医者は逃亡しましたが、しばらくして逮捕され、裁判にかかることになります。

3)テレビのニュースに登場したボリュームなら、ウルタード神父がバチカンから聖人として認証された件も格別に多かったようです。チリ人として二人目の聖人が登場で、その認定式を見んものとチリから大勢の観光客がローマを訪問しました。その数6000人と言われています。

4)ロビンソン・クルーソ島で見つかったと言われる宝物はどうなったのかな?ニュースから消えてしまいましたが・・。チリらしい終わり方。


(スポーツ)
1)サッカー もうナショナルチームのWカップの話は消えましたが、今週はその責任問題の件が話題に。前監督のオルモスが今回の敗退は自分に責任があると涙しながらテレビでコメント。満員の競技場で、彼を叱責していた観衆は一転して、彼は男らしい、責任はその上のサッカー協会幹部だと攻める方向を転換。どうなるのかな?
クラブチームの南米大会でまだ生き残っているカトリカは準々決勝をブラジルでフルミネンセと戦い、2対1で敗れました。と言うことは来週サンティアゴで1対0で勝つと準決勝進出が出来ます。(敵地でのゴールは2倍に換算)、その試合を見に行こうかなと息子と話し合っています。

2)テニス
二人いるチリのトッププレーヤーのゴンサレスとマスの二人はマドリッドATPツァーに参加。マスは最悪で1回戦敗退。しかしゴンサレスは準々決勝でアルゼンチンのコリア(7位)と対戦。これを見事に破って準決勝に。でもそこで敗れて決勝進出は出来ず。残念。


以上