チリの風  その146 05年10月10日―16日

10日の月曜日はコロンブスアメリカ発見の日で祝日でした。近くの山に高校生たちと登ってきました。自然の中で汗を流すのは気持ちの良いものです。それから16日の日曜日はレースがあって7Kを走りました。いやスポーツだけではありません。15日の土曜日、日本人会で敬老会が行われ、日系人の75歳以上のお年寄りを招待しました。私は焼き鳥の係りでしたが、他に日本人学校の先生と唱歌の合唱をしました。お年寄りに喜んでもらえるっていいですね。


(政治)  
1)大統領選挙
 全く盛り上がりを欠いたまま中盤戦にかかっています。来週は4人の候補者で公開討論会が開催されるらしい。少しはスリルのある番組になるだろうか。
ところで、犯罪の増加が社会問題になっていますが,これに関し、候補者の一人ラビンは刑務所の変わりに島流し刑をすればどうかと提案。犯罪者を一つの島にと言うもの。他の候補者からは馬鹿にされています。それから少年法が改正になって今まで18歳以上から刑法の適応を受けることになっていたのを14歳以上に下がりましたが、選挙の大勢には全く影響無し。
まぁそういうことで、近年に選挙が行われるラテンアメリカの国の中で、もっとも選挙の影響が少ない国になるだろうと言う評価です。
JPモルガンの発表ですが、選挙が国の運営にやや影響するがアルゼンチン,ブラジル,メキシコとペルー。大きく影響するがベネスエラ,コロンビア,エクアドル,ボリビアでした。まぁ毎日、新聞を読んでいるとこれくらいの推定は私にも出来るようになっています。

2)ラゴス大統領の奥さんの親戚があやしいと言うのはもう何度も出たニュースですが、それが前回の大統領選挙に関連(彼の容疑は官庁の金を使って99年の大統領選挙運動を行ったと言うもの)しているのですから、上記1)に直接影響するはずです。しかし現実はそうでもありません。内務大臣が,その時の対立候補ラビン(今回も出ています)はもっと選挙資金を使っているから選挙資金が勝敗に影響したことはないと全く理由にならない弁明をして反省もなし。外遊中のラゴス大統領も電話で、そんなことについて話もしたくないとコメントしています。
まぁ野党側のラビンに人気が無いため、こんなチャンスもつかめないのですが, 任期の最後になって問題が表面化してきたラゴスに誠意が無いことを証明しています。しかしラゴスはもっとましな大統領と私は見ていたのですが・・・

3)ボリビアとチリの問題
ラゴス大統領はイベロアメリカ会議に出席のためスペインに行きましたが、その席でボリビア大統領と会談。雪解けの雰囲気も見える両国間ですが、最大懸案のボリビアの海問題, 断絶したままの国交回復問題のほかに、シララ川の水源問題があります。ボリビア川はこの川はボリビア側に流れるものだが、それを人工的に流れを変えチリ側が利用しているとクレームしています。チリ側はクレームの一部は認めリーゾナブルな額なら水の使用料を払うとしています。もともと1908年にイギリスの会社がこの工事を行い,チリ側の会社に水を売ったのが問題の発端らしい。現在チリ側はコデルコを始め多くの鉱山会社がこの水源を利用している。

4)陸軍のキンタナ司令官が解任になりましたが、その理由は先日元軍人の要請で2時間ほど陸軍保管の武器弾薬を使用させたと言うもの。その元軍人が関係する会社が防弾チョッキの製作をしておりその有効性を調べるためだったらしい。チェイレ司令長官は、理由は理解できるとしても陸軍軍人の本質を離れているとしてこれを解任。しかし2時間ほど貸したのはすぐに結論が出たのに、武器を盗んで他国(クロアシア)に売ってしまった方はなかなか結論が出ませんね。


(経済)
1)チリの通貨ペソは米ドルに対し世界で3番目に強いとなっています。
今年に入って対米ドルでもっとも切り上がったのはブラジルレアルで15%、ついでウルグアイペソ, 3番目にチリペソらしい。オーストラリアとカナダのドルがそれに続いている。切り下がったのはスエーデンのコロナで18%、日本円も弱く11%の切り下げ。

2)チリ銀行の罰則
ピノチェットの不正預金問題からアメリカ政府と、その不正オペレーションに対する罰金について交渉してきたチリ銀行は当初に見込まれていた金額よりはるかに少ない3百万ドルで合意に達し、既にその支払いは完了した由。不正預金が銀行に与るメリットとデメリットのはっきりした事件でした。

3)ルクシックの反撃
とうとうペルー国をインターアメリ人権委員会に訴えました。ところで上記2のチリ銀行のオーナーもルクシック・グループで,アメリカを舞台に攻めと守りの戦いを繰り広げる(繰り広げた)わけです。どうなるかな?

4)新車の販売
9月の新車の販売が19600台で過去最高を記録,前年対比なんと27%アップ。もう止まらない勢いですね。GMとトヨタがトップ争いをしています。


(一般)
1)今週の話題は交通関係から
まず話題の新交通計画が来月から開始になりますが、最近ピカピカの新型バスを街頭でよく見るようになりました。これは運転手の訓練のためで、まだ乗客を乗せて走っているわけでありません。しかし最初のころは混乱するでしょうね。今までのバス路線が一気に変わってしまうのですから。
今なら山登りのときは638番のバスでしたが、来月からどのバスに乗ればよいのか分かりません。
(週末からテレビのニュースにこの種の情報が出始め、当初は料金もルートも変わらないらしい。バス代も同じ,支払い方法も旧来のように現金払いで地下鉄のように回数パスを買ってそれで乗るのは将来計画とか、また当初、新型バスと旧型バスが同じルートで競合するらしい???)
それからこの新交通システムに反対する既存のバスによる反対ストが来週水曜日に予定されており、通勤通学に大きく影響しそうです。
何しろ,何百社のバス会社があったのに、11月からたった14社になり、それらが8千台のバスを扱うことになるのですから。

それからサンティアゴから第10州の州都プエルト・モントまでの直行列車が11月から開始されます。日本なら新幹線があるから、当然鉄道のほうが早いのですが、チリではバスのほうが早く着きます。約1000キロの距離ですが、バスで13時間,鉄道で15時間とか。運賃はどちらも安いクラスでは3千円くらいです。

最後に道路交通法の改正です。新法案が国会で成立し、大統領の承認で発効しますが、その中には運転手が従来の携帯電話を使用することを禁止しています。(手を使わない方式のものは許可)日本ではどうですか?

また外国人は当該国の免許証があればそれを使用できるらしい。酒酔い運転に対する罰則の強化とか色々盛り込まれています。

2)安い肉の輸入がストップ
チリに入ってくる肉の半分以上がブラジルから来ますが、その肉の輸入が禁止されました。理由はブラジルに狂牛病の問題が出ているからです。
政府は現在、チリ屋内で販売しているものに関しては全く問題ないとしていますが、大丈夫かな?
世界的問題の鶏インフルエンザもいつチリに飛び火してくるか分からないし、この先大変です。

3)チリにも最新鋭の競技場が登場しそうです。何と50年前に工事にかかったオヒギンス競技場がいよいよ来年1月完成とか。屋根がついていて空調つきですからね。チリでは初めての施設。12000人収容となる由。ここでデービスカップのテニスとか開催されるのでしょうか?

4)人間のクローンを禁止
国会で複製人間を禁止する法案が可決されました。国会議員がテレビの番組で、自分の子供を背の高いタイプにしたいなどは国として認められない。ただ問題を抱える内臓を複製しそれを同一人物が使用するのは人道的な立場から許可されるとしています


(スポーツ)
1)サッカー
先週はもしかしたらWカップの出場権が手に入るかもしれないとワクワクしていました。試合の前に、アルゼンチンとウルグアイの間で不正があって、既に本大会決定が決まっているアルゼンチンはわざとウルグアイに負けるのではないだろうかとチリ中に噂が流れました。それを馬鹿にしたマラドーナをチリのサッカー協会会長が麻薬中毒者の言うことなんか聞けないと批難したら、先方からもっと嫌味が返って来て・・・
さてその水曜日、テレビの前で固唾を飲んで見ていました。
試合前の私の予想は、「チリは他の人が言うようにエクアドルに楽勝は出来ない(苦しみながらやっと勝つ)しかし競争相手のウルグアイやコロンビアも勝って、最終的にチリはWカップに行けない」でした。
試合の開始までの間、国立競技場に観戦に行った息子と携帯電話で連絡しながら、向こうの雰囲気を楽しんでいました。
さて私の予想はぴたりと当たって、前半、チリが押してはいるものの得点が入りません、そのうち同時に試合をしているコロンビアの得点が聞こえてきて、これは拙い。
最後はなんとチリと競合していた相手の2国(ウルグアイとコロンビア)とも勝利を収め、チリだけ引き分け。最悪の試合結果でした。
で、誰が悪いのか, 敗戦の責任を取るのは誰かとサッカー協会、監督、選手の間で争っています。サモラーノとサラスが活躍していたときはWカップに行っても恥をかかないだけの力量をチリは持っていましたが,今なら行ったところで全くどこにも勝てるわけがなく、いけなくて良かったねと言う感じ。
勝てない理由はゴールが少ないことで、全試合のゴール数が南米予選参加10か国中9位にいるようでは勝てるわけがありません。で、
チリのFIFA世界ランキング76位なんて悲しすぎると思います。


以上