チリの風 その1023 2022年12月19日ー25日

サンティアゴは毎日30度くらいの気温の日が続いています。雨は全く降りません。
今週はクラシックの演奏会があり、聞きに行きました。
それからスポーツはいつもと同じですが、山歩きはプロビンシア山系ではなく、久しぶりに近郊のマイポ渓谷を歩きました。
そこまで地下鉄とバスを乗り継いで片道2時間です。たまには違う風を感じたいですから。
ラソン練習もいつものように週日10キロを走りました。日曜日は誰も来なかったので一人で走りました。

さてクリスマスになりましたが、昔と雰囲気は全く違います。私がチリに入った40年以上前のころは、ほとんどの人がカトリックで、クリスマスは宗教的な感じでした。テレビのニュースに教会のミサが出ましたし、キリスト関係の映画が放映されました。
今はクリスマスプレゼントの宣伝ばかりです。土曜日に夕方、公園に散歩に行くと催し物の準備をしていました。質問すると夜にミサがあるとか。椅子の数は1000個以上でした。でも物見半分でも参加する気にはなりませんでした。
こうして毎日、楽しい生活を送っています。幸せです。

もう夏至が過ぎたので、これから少しづつ日照時間が短くなりますね。

(政治)

1)ボリッチ動向
 国家賞の授与
 今年度の国家賞授与式にボリッチは科学・文化関係の5分野で特に際立った活躍をした5名を選出し、表彰式を実施しました。
 外交
 パレスチナにチリ大使館を設置し大使を派遣することにしました。イスラエルが激怒でしょうね。先日、イスラエル大使の認証でももめました。
 山火事
 ビーニャの火事現場に行って消防関係者を励まし、被害者を慰めました。最初、現場に大臣を何人か送り出したのですが、火事が大きくなったので自分も行ってみようと思ったのでしょう。
2)国会
 サンティアゴ区の区長から出された要請が国会で認められました。同区は首都の中心にある区ですが犯罪の増加、露天商問題、それに高校生デ モから教育問題と通常の生活が困難になっています。そこで区長がボリッチに介入を求め、区ではなく国として問題軽減を図ってほしいとしたわけです。野党側と与党の中の中道左派が賛成しました。
と言うことは新左翼などの与党側は反対したわけですね。ところでその区長は共産党員です。彼女は同党からどんな叱責を受けるのかな?
警察や軍隊の助けを求めるとは何事かと言われるのでしょうか。3年前の社会騒乱の前にはチリにはそんな状況は無かったのですが。新左翼グループが社会を変えたわけです。それを押さえようとピニェラは警察の動きを強化しましたが、新左翼は政府は暴力で正しい市民の要求を抑えようとするとクレームしました。同じことを現在は自分たちがしているわけです。
地方選挙がそのうちありますが、野党側は同区長の席を取り戻したいと候補者選びを始めています。
検察長官
ボリッチが推したチリ大学卒の弁護士マルタ・エレラは議会で否決されました。2回連続で政府の敗北です。ユーチュブにこれに関する議会のビデオが掲載されたので見ました。国会で法務大臣がどうして政府はその候補者を推すのか説明し、その後、議員が各自の見解を発表していました。
しかし政府が自分の基盤である与党を統一できないと言うのが情けないですね。その件に関しボリッチは最高裁判所の首脳と電話連絡とったとか。どうすればよいのか相談したのですか?
新聞に政府は議会とネゴする能力はないのかと厳しい批判が書かれています。

憲法委員会
各党が合意に達し、一歩前進となりましたが、今週の世論調査はそれと全く違う雰囲気です。
社会騒乱の後、新憲法を作るかどうかの投票で約8割が賛成票でしたが、現在はそれが半数を割りました。いくつかの世論調査でほとんど全部の結果が新憲法を必要としないと言うのが過半数でした。つまりこの国会でいろんな委員を選び(国会議員・識者・一般市民)
それが議論して新憲法の下地を作っても、市民は反対に向かうだろうとするわけです。共産党はその委員会に識者を入れるのに反対しています。
さて新左翼は新憲法成立は政府の責任だとしているが、9月の投票で惨敗したのを理解していないとあります。
つまり社会騒乱のころ、軍事政権の時の憲法を俺たちが変えるんだと燃え上がったのですが、今年9月の惨敗で熱が冷め、必要なら改正すればよいという風に変わったわけです。投票が義務ならともかく、自由になれば過半数が投票しないだろうとみられます。
それなら現行憲法の改正を図るのが正常でしょうね。以前、それをラゴス元大統領が実施していますが。

(経済)

1)銅価格と為替
 経済の一般ニュースでパッとしたものはありません。来年は今年より厳しいというものばかりです。TPP11参入を政府は正式に発表しました。
 60日後、つまり来年2月から正式加盟になるとか。

 さて銅価格は1ポンド3.77ドルと先週とほとんど同じ。為替は1ドル867ペソとこれも先週とほぼ同じです。
 11月の航空機の利用客は180万人でした。それはコロナの前の2019年より7%下です。

(一般)

1)マプチェ問題
 木材の盗伐で、マプチェグループのメンバーが逮捕されました。
 そのほかのマプチェグループCAMは過去25年、反政府運動を繰り広げてきましたが、今年はそのリーダーのジャイツルは逮捕され、彼の二人の息子も逮捕されました。グループが崩壊するのか、彼らの逮捕を抗議してさらに過激な行動をするのか。
木材の盗伐を問われるとマプチェは「ここは私たちの土地です。チリ人が私たちの土地に入り込み勝手に使用しています」と回答します。


2)山火事
 先週の予想通りで、山火事が今週の話題の中心です。金曜日の夜のテレビニュースは最初から最後までほとんど全部この火事の話題でした。
 新聞の1面に火事が津波のように同地区を襲ったと書かれました。
 観光地で有名なビーニャ・デル・マルで、街の後ろの山で火事が起こり、そのため約300件の家が延焼しました。

 消防車が行けない地区は飛行機・ヘリコプターが空から消火作業をしています。
 もっとも山火事で延焼するのは海岸地区の立派な家屋ではなく、山の中の住居の建築にふさわしくない地区の家です。もしかすると多くが不法建設だったりして。政府がその動きをコントロールできないと言う証拠でしょうね。
 火事が始まったのは放火によると言う噂もあります。
 チリは地震津波とか天災が多いですが、今回は火事。被害者は大変です。ただいつものように被害者を救済しようとする動きが始まり、全国各地から義援金・物資が届けられています。
 先ず被災地の燃えた家の崩れ落ちた屋根や壁のゴミを取り出し、残った部分を壊して整地しています。その後、また新しい家の建築が始まるのですね。そこへ水・食品・衣類とかが届けられました。サンタクロースが来て子供にプレゼントも渡していました。
 その地区の火事は鎮火しましたが、全国でほかに38の火事が継続中なので、多分、すぐに他の地区で大騒ぎが始まるでしょう。
3)コロナ問題
 毎日4000人ほどの患者ですが、陽性率が上がっています。金曜日16%、土曜日18%、日曜日16%です。さぁどうなるかな?


以上