チリの風  その959  2021年9月27日―10月3日

チリの風に私はいつも幸せですと書いていますね。すると「人生には頻繁に問題が起こりストレスがたまるものですが、藤尾さんの場合はそんなことないのですか?」という質問を受けました。
私は年金生活者ですが、毎日おいしい食事を楽しみ、飛んだり走ったりと運動を実施し、ボケないように文献を調べて頭も使っています。それから今月のサッカー教室・登山教室の案内が父兄に送られました。いつものように楽しく実施できそうです。中学生の特別授業のチリの歴史の講義の準備も始めました。こうして種々のボランティア活動ができるのが本当に幸せで、ストレスはありません。
私の住居は売りに出ていますが、まだ売れていません。売れれば南に移住し、売れなければここに住み続けますが、それもストレスはありません。出来ることをするのが自然ですからね。
今週のスポーツはマラソンが3日、山登りは仲間と今年初めてのビスカチャ山に。22000歩で6時間を歩きました。歩き終わってほっと一息。まだ歩けそうです。その内、アポキンドの滝コース(7時間)に挑戦します。

(政治) 、

1)ピニェラ動向
  南米外遊のピニェラは先週のコロンビアの後、今週はウルグアイパラグアイを訪問。それぞれの大統領と友好関係を深めました。パラグイアでは10万人分のワクチンを寄贈することにしたとか。不思議なのはチリのマスコミにその外遊のニュースが出ないことです???
戻ってきて、失業率が下がっていること、経済成長率が上がっていることを喜び、自分たちの政策がチリのために役立ったのをうれしく思うとコメントしました。
確かにピニェラの言う通り、昨年7月には収入が生活に必要な額にならないとした破綻家族が住民の半分(48.8%)でしたが、今年の7月はそれが24.9%に下がりました。仕事が手に入った・厚生年金を引き出した・政府の援助があったなどが想像できますが、困窮家庭の半分は一歩前進したわけですね。まだ半分残っているのを何とか早く解決してほしいです。
2)厚生年金第4回目引き出し
  下院で可決されました。あとは上院の採決だけ。ところで、引き出し反対を唱える右翼側の候補者シーシェルがなんと、以前それ引き出していたとか。それを隠していたのがバレたわけです。左翼側から嘘つきはダメですねと軽くあしらわれています。
それに関連して、11月の大統領選挙の候補者に関する市民調査で、一番人気はいつもの新左翼ボリッチ(19%)予備選挙で右翼のトップだったシーシェルはこの問題から人気を落とし3位に転落(13%)それを抜いたのは右翼のカスト(14%)そして中道左翼のDC党のプロボステは4位で9%でした。
選挙は来月なのに全く盛り上がりません。国会議員選挙も全く話題になっていません??

新聞の社説にこれ以上の年金引き出しはチリ経済に悪影響するから上院で否決してほしいと書かれました。また年金を全部引き出せば、厚生年金会社・それを運用する年金運用会社の経営に影響が出るのは当然で社会混乱になりそうです。

3)妊娠中絶法案
 14週までの場合、中絶可能と言うことになりました。まだ大きな話題にはなっていませんが。
4)移民問題
  先週、イキケで反移民のデモ隊が移民の持ち物のテントや衣服を燃やした件は大問題になり、現在の様子は一週間前と別の方向になっています。議論になっているのは、その時、デモ隊を警察はどうして統制しなかったのかと言うことです。
そのテント部隊はほとんどべネスエラ人でした。そこのマドゥロ大統領はチリを批判するコメントをだしました。同国の大使が現場を訪問し、自国民にべネスエラ帰還を呼びかけました。彼らは自分たちはここで苦しんでいるが、それでも国に戻るよりましと冷たい反応でした。
物価上昇率が1000倍とか言われますから、1000ドルの給料だった人が、同じ額を受け取っても次の年にはドル換算では1ドルの値打ちしかないと言うことですね。
チリ政府は、方針を大きく変えて、この北の街イキケからサンティアゴまでバスを用意し、テント移民の中で家族がすでにサンティアゴに住んでいる人を無料で移動させました。
それからテントでなく簡易宿泊所を用意すると言うコメントが出ています。先週の迫害の後、急に風が変わったのですね。これからどうなるのかな?
この影響でサンティアゴで移民援助と排斥の二つのグループが独自にデモをし、揉めました。

これは私の案ですが、政府が移民に厳しく・柔らかい政策を取りたいなら、次の案を提案したいです。
先ず不法移民は拒絶です。現在の進んだ機械を使えば不法移民がどこから侵入しているかわかるはずだから、そこへ兵隊を置き、入ってきた移民に「不法入国は認められません。この道を通って隣国に戻ってください。そうでなければ不法入国で逮捕します」と伝えます。確かに父親が逮捕になれば残された母親と子供の苦しみは大きいですね。これがいきわたると不法入国者は激減するでしょう。逆のケースですが、その不法移民の母国のチリ大使館で彼らに移民申請をさせます。そうすればチリ側はあらかじめチェックができるので、申請家族の内の何家族かは移民許可がもらえるはず。するとこうした不法移民問題が減少するのではないでしょうか。

(経済)

1)最低賃金
  OECDの発表で、チリは時給3.3ドルで27位でした。ラテンアメリカではコスタリカに次いで2番目とか、日本は14位で9.2ドルですね。
2)経済成長率
  政府機関 の発表で8月は19.1%でした。そして今年の1-8月合計では11.5%になり、今年1年間の数字が二けたになるのは殆ど間違いがないと言われています。 予想が当たっているわけですね。
3)銅価格と為替
1ポンド4.13ドルと少し下がりました。為替は1ドル811ペソとそれほど動いていません。

(一般)

1)コロナ問題
 規制法案の終了
 正常化が進んでいると毎週書いていますが、とうとう木曜日の夜は560日ぶりに夜間外出禁止令が解除され、パブで朝まで飲んでいる人がいました。公共運送のバスも夜中から翌朝まで、サービスが戻りました。
私の所に旅行代理店からメールが入り、現状調査として細かいデータの問い合わせがありました。もうすぐ国境がオープンになり外人観光客が入ってくるのでその準備をしているのですね。
感染者数は千人に近いところで、また陽性率は1%を少し超えた段階が継続です。
チリのコロナは大きな波が2回ありました。そのピークは20年の6月と21年の6月です。死亡者数ですが、第1ピークは月4640人、第2ピークは3244人でした。ところで、先月の9月は531人でコロナ問題が始まった2020年4月以来の低い数字でした。

2)マプチェ問題
 第8州と9州でほとんど同じ時間に襲撃事件が起き、多くの重機・トラックが焼かれ3人のドライバーが負傷しました。それを受け運転手組合が道路際で抗議行動を起こしました。どうして政府は何もしないのか、どうして同僚が負傷させられるのか。事故の現場にマプチェのパンフレットが置かれ、それには勾留されているわれらの仲間を即時釈放せよとなっています。
私はチリの警察も情報機関もレベルが低いと思いませんが、連日のように放火事件が起こり、全く逮捕者が出ないなんて不可解ですね。本気でやっていないと言うほかないでしょう。
麻薬組織がマプチェグループの支援をしているのは間違いないでしょうが。政府は何を考えているのかな?

チリ全国の殺人事件は1日に2.5人と年々増加しています。ところで麻薬組織のほかに金の密輸出をしていたグループが見つかりました。金塊を中近東に輸出していたとか。密輸は麻薬だけではないのですね。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦
 今週は2試合行われました。最初の試合で首位のコロコロが弱いチームに負けたので、上位が混戦状態になりましたが、2試合目は勝ったので。この日曜日、22試合を終わった段階でコロコロ、続いてカトリカそしてラ・カレラです。チリ大学はずっと下の5位でした。
 ワールドカップ南米予選
 来週からまた3試合がありますが、チリのホームゲームはサン・カルロス競技場で
行われます。なんでも70%まで座席を売ることが認められたので観客の数は1万人を超えるとか。正常化ですね。


以上