チリの風  その946  2021年6月29日―7月4日

最低気温が零度くらいの日が続きますが、日中は太陽が出てポカポカするサンティアゴです。
近くのスーパーマーケットの駐車場に重装備の人が数人ではなく、ずいぶん多く集まっていたのでスキー場に行くのですかと聞くと、スキー場に行きますが、スキーをするのではありませんと回答がありました。今週からスキー場がオープンしたわけですね。昔は子供を連れてスキー場に行きましたが、もう何年もスキーをしたことはありません。
サン・カルロス山岳公園は再オープンしていないので、近くの丘歩きをしています。土曜日はマラソン仲間の友人とカランの丘の遊歩道歩きを楽しみました。
ラソン練習も続けています。日曜日、10キロを走るつもりだったのに途中で気が変わって7キロにしました。
気力の足りなさですが、それでも走れるだけでも嬉しいです。
午後の散歩は近くの公園に行ってオカリナの笛の練習をしています。毎日が日曜日ですから、毎日楽しむ必要があるわけです。

(政治)

1)ピニェラ動向
ドイツのメルケル首相とテレビ会議。コロナ問題やその後の経済復興について話したとか。なぜメルケルがピニェラと話をする必要があるのか分かりませんが。
イマセック(後述)の発表で経済指数が高かったことを受けて、彼は「私たちの政策が成功していることが確認されています。このままチリが推進することは間違いないでしょう」と誇らしげにコメント。
それからモネダ宮殿で東京オリンピックのチリ代表選手団を激励しました。皆さんの活躍でチリの名前を世界の人に知ってもらいたいとか。
政府提案の零細企業援助(100万ペソ)とか一般家庭援助(一人20万ペソ、二人家族29万ペソなど)が実施されています。私の周りでも、すでに受け取った人が出ています。政府も約束を守っていってほしいです。

2)憲法委員会
この日曜日、第1回会議が行われました。これからどのようにこの委員会を運営していくかが当面のカギでしょうね。委員会のメンバーに穏健派は3分の1もいませんから、新憲法が極端な方向に行きそうなのは見えています。つまり、この先、チリ社会の混乱が激増するのは避けられませんね。
新聞に各委員の考え方として、数字が出ましたが、男性の委員の場合、現在の憲法法廷TCをどうしたいかと聞かれると現在のまま残すは2%、改正すると廃棄するが大多数。国会の2議会制については今のままは21%、改定が35%、1院にするが44%でした。つまり現在の制度を大きく変えると言うのが多数を占めています。
テレビの中継を見ていましたが、議長選出の選挙が始まる前にあるグループが叫び始めました。イバ ア カエルです。私はにっこりしました。そのフレーズを最初に聞いたのは40年も前のことですが、国立競技場にサッカーを見に行った時のことです。突然、大観衆がそのフレーズを絶叫しはじめました。意味が分からず、家に戻ってから聞くと、それは物が落ちるとか終わると言う意味だが、チリではピノチェトの軍事政権は終わりが近いと言うことを意味するとか。委員会のそのグループはこの憲法委員会でピノチェットの憲法は終わりだと言いたかったのでしょうね。
さてこの委員会の議長が決まりました。会長はエリサ ロンコンと言うマプチェの女性でした。
明日から会議が始まります。

今日、新憲法を押す新左翼グループが首都圏でデモを起こしました。いつものように大多数のデモ隊は静かに行進しましたが、一部のグループは警察と衝突。警察側は催涙ガス・放水でデモ隊を抑えようとしました。彼らがデモ隊の一部なのか、単にデモに寄り添って破壊行為をしたいのかは分かりません。

3)大統領選挙
候補者の宣伝がテレビで放映され始めました。
なんでも人気のトップは一番左と右で、共産党のハドゥエとUDIのラビンです。
もう50年も前のことになりますが、左のアジェンデと右のピノチェットが権力を握った時と同じような雰囲気。チリ人はその間の混乱・苦悩の歴史を学ばないのかな?ほんの少し前のことを忘れたのかな?
各候補者の昨年の収入・税金が発表されましたが、右も左もほぼ同じ、議員・大臣なら当然ですが。大手企業の重役と言うレベルです。共産党新左翼代表も素晴らしい収入です。よくそれで貧困階級が彼らを応援しますね。
共産主義の国でもトップは金持ちですけれど。

(経済)

1)イマセック指数
チリ中銀が発表するこの経済指数ですが、5月は18.1%の上昇と過去最大の数字でした。しかしここで二つのことを注意する必要があります。
昨年5月はその前年対比で15.1%下がっています。つまり今年の大きな伸びは昨年の落ち目を回復していると言うことになります。それから商工鉱業などの内訳ですが、一番伸びたのは商業です。小売りが爆発的に増えましたが、その理由の一つは厚生年金の引き出しをした市民が今まで買えなかったものを購入したので額が増えたわけです。つまり5月の指数が伸びただけで、チリが正常化しているとは言えません。さぁ、この先どうなるかな?
2)銀行の利益
1ー5月の利益は20億ドルと昨年対比で56%も上昇です。経済回復で投資やローンを組む人が増えたのでしょうね。
3)ガソリン代上昇
 先週に30週連続で価格上昇と書きましたが、今週も上がって31週になりました。ただし価格の変動はわずかで日本円では1円ほどです。
4)銅価格と為替
先週と大きな変動はなく1ポンド4.38ドル、1ドル738ペソでした。

(一般)

1)コロナ問題
 風が変わってきました。例えば木曜日は新規患者数が2677人でした。今まで7000人が普通でしたから大きく減少しています。もっとも検査数が減少していますが。
ただ陽性率が10%だったのが、下がってきて最近は5%ほどです。金曜日は5.2%、土曜日は4.4%でそれは昨年12月以来の低い数字。もう2回ワクチンを接種した人が70%になってきたからでしょうか。
このため自宅待機令が緩み始め、明日の月曜日からレベル1は首都圏で3区だけ、人口でいうと8%だけです。つまり大半の人は週末を除いて週日は自由に行動ができます。
飛行場で国際線の乗客はチラホラですが、国内線はかなりの賑わいです。確かに風が変わってきているのを感じます。
さて先週話題になった新変種の患者の件ですが、政府は彼女に特別の権利を認め、5日間のホテル隔離の代わりに南部の実家で隔離するよう指示しました。彼女はそれを守らず葬儀に参加しただけでなく、その他に知人たちと交流しました。まだ勾留はされていませんが、約束を守らなかったのは確認されました。ただし、葬式に参加させないなら何故ホテルに5日間隔離させなかったのか、政府案も良く理解できません。
それから彼女との濃厚接触者に発病した人がいると言われましたが、それはまだ確認されていません。新変種なので、政府もかなり緊張しているとは思いますが。
秘密パーティが継続しているのはいつもの通りですが、今週の話題としてはイタリア広場の近くのバーやパブでサッカーの試合を見ていた人たちが、試合が終わってから道路で飲み踊り大騒ぎ。チリ代表が勝ったので大騒ぎはいつでもありますが、今回は試合に負けたのに大騒ぎ。とにかく騒ぎたいのでしょうね。

2)移民
72歳のべネスエラ人女性が死亡しました。彼女はボリビアとの国境から不法にチリ側に入り、歩いていたのですが、冷え込んだ天候で容態をおかしくしたらしい。彼女の娘はサンティアゴに住んでいますが、母国では生きていけないと夢を求めてチリに入ったのに残念ですとコメント。もうこれで同じような事故は9人目とか。

(スポーツ)

1)サッカー
 アメリカップですが、チリ側の希望はベスト4に入ることでした。私の予想はそれは無理だろうでした。さて結果は・・・
準々決勝戦でチリはブラジルと対戦しました。前半は圧倒的に押され面目なかったのですが、後半になると互角の勝負、チリが攻め込むことも再三ありました。その理由ですが、ブラジルの選手に退場者が出て人数の有利さがでたからです。試合は1対0で負けましたが、チリのゴールが取り消されたこともありました。オフサイドを取られたのですが、ビデオを見るとどちらとも言えそうでした。
チリ代表チームの次の夢は世界選手権の出場権確保ですが、私の予想では無理でしょう。
黄金の世代と言われるベテランが新世代に代わったら新しい夢がまた出てくると思います。


以上