チリの風  その924  2,021年1月25日―31日

珍しい、今年初めてサンティアゴに雨が降りました。金曜日の夜、かなりの雨量で、私の部屋の前の道を、少し坂になっているので、雨水が川の様になりました。土曜日も午後に雨になり雷もかなりの数でした。西部のマイプ地区では霰が降ったとか。ここは今、夏ですよ。

週末は自宅待機令ですが、早朝は外出が許されるので土曜日、久しぶりに丘に上がると、いつもは見えない街の向こう側の海岸山脈が見えました。
日曜日は朝、晴れていたのでいつものマラソン練習をしました。こうしてスポーツを楽しめるのは幸せです。
そうそう会社員生活の2週目が終わりましたが、そうして仕事が出来るのも幸せです。
家に帰ってきて嫁さんと話していても幸せと感じるし、私は幸せ人間です。運があります。外人の私がチリに住み着いて生活を楽しめるなんて。

(政治)

1)ピニェラ動向
  隣国アルゼンチンのフェルナンデス大統領がチリを訪問してきました。火曜日にモネダ宮殿で面談。しかし不思議ですね、フェルナンデスのチリでの動向がほとんど報道されません。全く無視しているみたい。あいつらは不愉快だが、仕方がないから招待したという雰囲気でしょうか、不思議です。
  新聞の投書欄にチリとアルゼンチンは政治・経済・一般で連携して行かなければいけないのにこの面談でそんな雰囲気はなかった。また南極の領土問題も話が出ていない。それでは何のために彼はチリに来たのかとありました。
  貧困家庭援助の次の作戦が発表されました。前回と同じく、政府機関に依頼を出せば来月末に一人当たり8万から10万ペソの援助金が出ます。これは約5百万人に届くとか。それから中国から来たワクチンを彼は空港で見ました。毎日10万人を目標に北から南まで全国各地で注射するとか。先ずは60歳以上の中高年齢層。強制ではなく各自の自由で、費用は無料とか。
  ピニェラは夏休みに入りますが、その別荘でワクチンを注射するらしい。
  さて今年はピニェラにとって大統領職の最後の年。バケーションから戻ったら、今年の目標を大きく掲げる必要があります。さぁどうなるかな?
2)外交
  チリから出たサクランボがコロナ汚染をしていたと中国が発表し、通関できません。その果物のチリからの輸出先はほとんど中国で(90%以上とか)そこで拒否されたらそれらはどこに向かうのでしょう。なんでも2300コンテナーもあるとか。最近急騰している海上運送費を考えればチリに戻して国内で投げ売りをするのは考えられません。じゃ近くのアジアの市場ですね。日本はどうかな?
  所でチリ側はその果物の汚染はチリから始まったのではないだろうとしています。つまり中国の問題ではないかというわけです。それは二つ可能性があって、入国した果物を調べる段階で汚染したか、先方が嫌がらせをしているかでしょうね。
  例えば、先日、チリは日本と通信関連で契約を結びましたが、それをなぜ中国と手を組まなかったのだと嫌がらせをする(これは私の想像ですが)ということもありますね。しかしチリが中国を怖がらないでちゃんと対応するというのは素晴らしい。まさか、先方がそれならチリの銅は買わないとすると、ペルーから購入するのでしょうか。

(経済)

1)経済成長率
  昨年の数字ですが、1,2月は正常の上昇。ところが3月からマイナス成長になり、10月までそれが継続。しかし11月に少しでしたがプラスに転換されたので、もう明かりは見えたと思われました。ところが12月になって、全般は上向きでしたが、チリの命綱の鉱山関係が大きく落ち込み、総合でマイナスが確定。(4%くらいの落ち込み)このため年間でマイナス6%になりそうとか。まだ最終数字ではありませんが。
  12月に鉱山関係の数字が悪くなったことに関しては、素人の私は銅価格が上がっているのにどうして生産が落ちたのか分かりませんが、プロの人にすれば、「今年の予算は達成した。従って来年1月に計画しているメンテナンスを早めに実施して、生産は来年1月に置いておく」とするかもしれませんね。もちろんこれは銅価格が高めに安定することが条件ですが。
2)失業率
  年の最後、10-12月の数字は10.3%と以前より少しは良くなりましたが、期待されたほどの上昇は無し。7月が最悪の状態でそれ以降毎月少しづつ良くなりました。もっとも仕事が見つかったと言っても契約書にサインする正規の仕事ではなく私的な仕事が大半だったらしい(推定62%)。つまりいつまた失業するかわからないわけです。
3)銅価格と為替
銅価格はポンド当たり3.57ドルと高値安定、為替は1ドル733ペソ。800ペソに近づいていた時と大きな違いです。

(一般)

1)コロナ問題
  高め安定という感じです。全部の項目で1か月前の2倍のレベルです。例えば現在は一日の感染者数は4000
  人を超え、死亡者は100人に近く、PCR検査の陽性者の割合は7%を超えています。(少し前は1500人、
  50人、3.5%という感じ)
  今月の感染者数は11.8万人で、これは昨年6月以来の高い数字。いかに緊迫しているかが分かりますね。クリスマスと年末年始の集まりが、急な増加の原因と言われますが、そのシーズンが終わったのに数字は下がりません。秘密パーティは毎週同じで、今週も逮捕者が出ています。チリ人の考えが分かりません。もっとも欧州などで同じことは起こっていますが。
  今年に入ってコロナ関連で病院を変えた患者は715人ですが、最後の週に76人も病院を移動しています。緊急病棟がいっぱいだったとかいう理由ですが、また各地で病床が足りなくなっているわけです。昨年はサンティアゴの地下鉄の利用者が前年対比約60%減少したそうですが、それは学生がいないのと、自宅勤務の会社が多いからですね。毎日私はメトロを使用していますが、往復とも座席に座っています。乗客が少ないからですが、今年もそんなペースになるでしょう。
  日本のGO TOと似た感じですが、チリの夏休み計画が議論されています。1年間働いてきた労働者がバケーションを取るのは当然、それを受け入れるホテル・レストランの営業も当然と一方では言われますが、その観光客が地方にコロナを持ち込むならそれを抑えようとする動きも当然です。政府はそれを考慮しながら夏休み計画案の維持・または変更を検討する必要があると新聞の社説に出ました。
  南部の観光地プコン、昨年末の皆既日食があった所ですが、その市長の特集記事が出ました。彼は先日、60年間連れ添った奥様をコロナで亡くしました。そして街が完全自宅待機令に入り、ホテル・レストランは運営できません。デモ隊も出るほど反対運動がありますが、彼は何をすべきでしょう。
2)マプチェ問題
  昨年の数字ですが、マプチェ関連の暴力事件が122件と前年対比69%も増えているとか。アラウカニア州とビオビオ州が中心ですが、事件の数と関連の場所の拡大が続いています。つまり問題解決もしくは縮小と全く逆の方向に向かっています。右のピニェラも左のバチェレットも何もできなかったというのははっきりしています。次の大統領もこの件に関しては無力でしょうね。 
  マプチェグループのリーダーが大麻の栽培で調べられていますが、別に不思議なことはないですね、自分でそれを利用しているか、製品を部下に販売させているのでしょう。
  ところでマプチェの青年を殺した警察官が、今週16年の刑が決まりました。いまだに何故その警官が発砲したのか分かりませんがいつかその犯人が白状するでしょうね。
2)大雨
  チリの中央部と南部で大雨が降りました。首都圏では金・土曜日で約40ミリの降雨。近郊のカホン・デル・マイポで濁流が家屋を襲い多くの家に被害が出ました。冬には雨が降るが、夏はほとんど降らないというのが通常ですが、今年は1月から今までと違った動きになりました。サンティアゴの今回の降雨量は1950年以来、過去70年に見られなかった大雨でした。

(スポーツ)

1)サッカー
  首位のカトリカも2位のラ・カレラも負けたので勝ち点差は変わらず3。また下位争いでは、人気のコロコロが勝ったので下から3位を確保です。


以上