チリの風 その921 2021年1月4日―10日

日本はあちこちで大雪のニュースがありますね。
夏のサンティアゴは毎日30度の暑い日が続いています。南の方で山火事のため市民が自宅から避難する地区が出ています。
さて今年最初の山歩きはラ・プラサ山岳公園に行きました。山登りというより麓歩きでしたが、歩いていると中高年の登山者に会いました。元気に歩いていますねと言うと「私 スペイン語 わからない」と回答あり、英語で話し始めました。彼はリタイヤ―で家でのんびりしていたが、奥さんが仕事でチリに来たのでついてきたとか。彼女はここの大使館で働らいている由。北欧の人でした。私がここに40年以上いますと言うと、ピノチェットの時代だねとすぐに反応しました。長い立ち話でしたが、年を取っても山歩きを楽しみましょうと言って別れました。マラソン練習も一人で走っています。

(政治)

1)ピニェラ動向
  320万の家族に(約780万人)最高10万ペソの援助を与えると発表。大盤振る舞いとは言えませんが、こつこつ貧しい家族の援護をしています。
  マプチェとの問題で、犯罪グループを摘発するのは当然だが、それはマプチェ全体との敵対ではないとコメント。そして新憲法設定委員に立候補するとまた大臣が二人辞任しましたので、ピニェラはその後任を選びました。もう誰がやっても同じという雰囲気。ピニェラが辞任しても同じかな?
2)選挙
  今年は選挙の年です。
  4月に地方選挙(知事・市長など)と新憲法設立委員を選び、10月に大統領と国会議員選挙があります。
  いつも同じことを書いていますが、右も左もバラバラで相手と戦うのか味方とぶつかるのかわかりません。野党側は新左翼共産党グループと社会党などの旧左翼グループに分かれ、与党側は最右翼UDIと中道右翼に分かれそう。
  UDI党で大統領候補になりそうなラビンは今までと同じような敵対性を止め、私が大統領になれば相手側の意見も聞くとUDI党の政策はとらないとコメント???
  知事や市長の選挙でもどこで、誰が勝つかわからない状況です。新憲法委員の候補者受付の締め切りは明日です。

(経済)

1)物価上昇率IPC
  先月のIPCは0.3%。そして昨年の年間物価上昇率は3%でした。その中で目立つのは食料品で8.1%も上昇。失業者などの人には厳しい状況ですね。
2)銅価格と為替
  銅の値段はポンド当たり3.64ドルと高値安定。お得意様の中国は今年の経済成長率は7%と予想され、銅の高値は全く問題なく続くと言われますが、本当でしょうか。このため為替は1ドル710ペソとなりました。一時600ペソ台にまでドルは落ちています。ドルが弱いのかチリペソが強いのかわかりませんが極端な状況という雰囲気です。 

2)新車の販売
  2020年は2010年以来の低い数字でした。昨年の売り上げは前年対比31%減の25.9万台。生産国ランキングは1位中国、2位韓国、3位インドそして4位日本でした。

(一般)

1)コロナ問題
 半年前のピークに近づいています。8日は4201人の感染者数でしたが、それは6月29日以来の高い数字。患者総数も11,12月は1万人ほどでしたが、今週2万人を超えました。それからPCR検査で陽性率が3とか4%だったのが、また7,8,9%に上昇してきました。それが患者数の急激な上昇の原因ですね。
 そこで問題になるのは毎週同じですが、今週も全国各地で不法なパーティが行われ多数の人が逮捕されています。サンティアゴだけでなく北のカラマ、隣州の海岸地区、南部の街とかいろいろです。その一つで捕まった二人の青年が、国会議員の息子でした。同議員は「全く話になりません、申し訳ありません」とコメント。そのパーティの参加者に20名の陽性患者が見つかっています。しかし派手な騒音で騒いでいれば近くの人が警察に連絡するのは当然で捕まったら厳しい目にあうとか考えないのでしょうかね。欧州でも頻繁に起きていますが、私には全く理解できない考え方です。
 このまま患者数が増えると病院のベッドが不足し始め、対応として緊急以外の手術は延期と言われています。首都圏でも患者数の多い区はレベル1に落ちて週に7日間自宅待機になるかもしれません。私の頭の中に昨年のその嫌な思い出がまだ残っていますが・・・
2)マプチェ問題
 毎週のように問題が出ますが、そのアラウカニア州で二つの殺人事件がありました。その距離は20キロと近いところでした。一つは麻薬組織を調べていた私服警官が相手の銃弾に当たり死亡。彼の葬式はサンティアゴで行われピニェラも参列しましたもう一つは農園でその管理人が銃撃され死亡。彼は昨年、乗っていた車が襲われています。その農園を占拠しようとするグループがいるわけで、彼は狙われていたわけです。その人はUDI党員で同地の市会議員を目指していました。
 内務大臣がこの二つの殺人事件を重視してテムコに飛びました。そして、その殺害された人の農園に追悼を捧げようと行った時、中に入るのを止められ、「お前らは口では何でも言うが、全く無実の人間が殺されることを防ごうとはしない。ここに来るな、どこへでも行け」とののしられました。
 いつも思うように組織は高度化していますが、その費用を麻薬を扱って賄うのでしょう。ここで政府が失敗すればメキシコやコロンビアの様に麻薬組織が地下で国を支配するということになりかねません。ピニェラが言うようにマプチェがすべて麻薬組織に入っているわけではありませんが、その組織を摘発できなければ遅かれ早かれ組織が地域を庇護(?)する形で支配下に入れるでしょう。
 それから2年前にマプチェの青年が警官に殺された事件がありましたが、今週、その元警官は有罪判決を受け近日中に刑期が確認されます。私はまだなぜその警官が彼に発砲したのか理解できません。その事故のあったのは今回の事件と同じ地区です。
3)外人旅行者
 2020年は110万人と前年より75%マイナス。1900年代のような低い数字でした。過去最高だったのは2017年で645万人。そこから毎年数字が小さくなっています。今年も昨年より10%ほど下がりそうとか。もちろん外人観光客だけでなく国内線も大幅減少で昨年は1250万人。これは2370万人だった一昨年の47%減とほとんど半減でした。今のところ、夏休み許可を政府が認めたので、市民はあちこちへ旅を始めた様子です。私の友人夫婦もラ・セレナに訪問中です。
 4)大学入試
 2グループに分けて、2日づつの試験がありました。13.1万と13.8万人でした。初日、一部の学生が文部省の建物の入り口を塞ぐデモをしましたが、入試は大きな問題なく終わりました。コロナ問題で今回入試を受けられなかった学生のため22,23日に最終入試があります。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦
 一番試合数の多いチームは29試合、少ないの25試合と、大きな差があるので順位はこの先変わることは当然ですが、首位はカトリカで2位はカレラと変わりません。一方、最下位争いの方は最下位18位だったコロコロが勝って16位に進出。しかしその下の2チームは試合数が少ないので、彼らが次の試合に勝つとまたコロコロが最下位に戻ります。
 南米カップ
 準決勝に残ったコキンボの試合が今週、本拠地のコキンボであるはずでしたが、南米サッカー協会の指示でサンティアゴに変更され、その後、さらにチリではできないとパラグアイで実施すると再変更。コロナ問題で選手の出入国をするのにチリは問題が多すぎると政治問題化??しています。これからどうなるのかな。


以上