チリの風  その888 2020年5月18日―24日

水曜日、久しぶりにサンティアゴに雨が降りました。ほんの3.5ミリだけですが、地面が濡れました。
今週の最低気温は0度になり、私の所も電気ストーブを使い始めました。
週に2回しか外に出られないので、時間はたっぷり、日本の歴史を調べています。近い将来南部に移住したらその地区の学校で日本の歴史・文化について講義をさせてもらう予定です。準備が整ったら友だちを呼んで予行演習をします。いつになるか楽しみです。
外に出て走ることはできませんが、ビル内マラソンは毎日続けています。
問題はいろいろありますが、私は幸せです??!!。

政治

1)ピニェラ動向
テレビ会議で南米プロスール参加の各国大統領と面談しコロナウィルスの現状と対策について話し合いました。
21日(木)はイキケ海戦の日の祝日でした。通常なら現地で大統領が演説するのですが、今年は彼はモネダ宮殿でスピーチ。
 バルパライソの海軍パレードも例年は道路に人が溢れますが、今年はほとんど誰もいませんでした。
今週の最大の話題の貧民層への食料品供給について、ピニェラは食品を250万個の段ボールの箱に詰めるその現場を訪れ、私たちは最大の努力をしていますと アピールしました。
また貧民層への政府援助を6月から450万人に実施するとしています。65000ペソとなっていますが、実際に届けられるか心配ですね。税務署と区役所が組んで、どの人にそれを供給するのか決定し、それを通知すれば問題は軽くなると思いますが、どうかな。
この貧困問題は各州によって大きく異なり、貧困層の一番少ないのは最南端のマゼラン州で2.1%、一番ひどいのがラ・アラウカニア州で17.2%。この数字が近い将来また大きく変わっていくわけですね。
今週、首都圏のボスケ区で区民が食料が来ないとデモをし、警察と衝突しました。そしてその2段目ではデモ隊が発砲し警官が一人怪我をしました。
この週末から住居にそれを届ける作業が始まりましたが、あちこちの区長が、国からその食料などが入った段ボールが何個、いつ着くか連絡されないのでどのように区民に説明すればよいのか分からないと心配する声が上がっています。
2万個でも大変なのに250万箱なんか供給体制がいつ完成するか分かりませんね。食品でなく現金を配ればそんな問題はないとする声もあります。
前大統領のバチェレットは、貧民援助に現政権は力不足とコメントしましたが、大蔵大臣はもう少し優しい気持ちで見守っていただきたいと軽く無視しました。
バチェレット政権時に火事や地震があった時、彼女は被災者の皆さんを全力で援助しますと言いましたが実際は違いました。
そのバチェレットは国連人権委員会のトップですが、いつまでも外にいないでチリに戻りたいとしています。
 野党側は次期の大統領候補がいないので彼女にもう一度立候補してほしいと要請していますが、彼女はもう十分やりました。
 3度目はありませんとしています。
彼女の2度の立候補の時、私は彼女に投票しましたが、次回はもし彼女が出ても、他の候補者に投票します。
 右翼が選挙に勝ったのはピニェラが2度ですが、私はその2回とも、彼に投票しました。
つまり私が投票した候補者が勝っているわけです。それは私と似た考えの人が多いと言うことになります。さぁ次回はどうなるかな?
べネスエラ大使館の前に同国人がテントを張っています。3週間前は300人だったのが今は600人とか。
 雨が降り、0度になる寒さで老若男女が耐えています。チリ外務省は同国が承認すれば彼らを空軍機で同国に送ると発表。
 どうなるかな?今日の午後、その一部の人が地区の学校を仮宿舎にできることになりバスでそこに移動しました。

経済

1)チリのGDP
ゴールドマンサックスの見解ですが、今年のチリの経済成長率はマイナス4.4%。ラテンアメリカの他の国
よりはましな数字とか。そしてさらに、来年2021年はほとんどの国がマイナス成長が続くのにチリは
プラスに戻る可能性があるとの予想。もちろん、中国が経済回復したらと言う条件が付くのでしょうね。  
2)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド当たり2.39ドル、先週とほとんど変わりませんが、週の中でかなり大きな上下がありました。
つまりそれほど落ち着いていないということですね。為替はなんと1ドル806ペソで、ペソが強くなっています。
もっとも1年前の5月は1ドル600ペソでしたから、この1年でチリペソが極端に落ちたことが分かります。

一般

1)コロナウィルス
勢いが衰えません。いや先週より患者数・死者は急増です。新規患者は土曜日一日で3709人増加、
  死者は45人(合計で718名)となっています。
そのため、首都圏自宅待機令は1か月にもなりそうとか。
今週も中国からチリ空軍機が人工呼吸器やマスク・病院で使う衣服など大量に運んできました。
それでも連日、新規患者が増加していますからもう病室の使用率は90%を超え、いつ受け入れ不可能になるか
分かりません。今日ピニェラは病院施設は限界に来ていると確認しました。つまりこのまま増えると来週
 入院してきた患者を受け入れるベッドがなくなるわけですね。
 しかし週末の休みもなく、患者数が増え続ける状態で良く病院のシステム・医者・看護士が
耐え続けられるものだと感心しています。
ところでこのまま自宅待機令が継続すると日雇いの人は収入がゼロで生活費は必要ですから破綻は明白。
OECDの見解は事態の正常化がされなければ非正規雇用者は給料がもらえず、それが3か月続けばチリ国民の53%が
貧民層になるだろうとのことでした。1990年には68%が貧困層だったのに昨年は8.6%まで縮小しています。
1990年は軍事政権が終わって民政化したころで懐かしく思い出します。
それがまた元に戻るだろうとされるわけです。
土曜日に中央駅区にある小さな敷地に30もの家族が住んでいる家がありましたが、一部屋に一家族とか、
 そこが火事で全焼。配電などに問題があったのでしょうね。100何十人が行き場をうしないました。その中に
 コロナウィルスに感染していた人も数人いたとか。どうなるのでしょうね。彼らのほとんどは移民でした。
 契約書のない移民は家・部屋を正規に借りることはできないからです。
 そうそう国会議員で感染したのは4名です。
 来週はもっと厳しくなりますね。


以上