チリの風 その881 2020年3月30日-4月5日

秋の穏やかな気候が続くサンティアゴです。部屋の窓から外を見ると歩く人はほとんどなく車の流れも減っています。その向こうの公園の芝生は水をまかないのでほとんど枯れています。

自宅待機令が各地で継続しています。私の住むラス コンデス区ももう1週間継続されます。さて週に2回、外に出るのが認められます。ネットで警察に申請を出します。簡易外出理由は病院、薬局、スーパーマーケットのどれかです。許可が出たら、私は散歩を兼ねて買い物に行きます。
もちろん自宅待機中はギターを弾いて 古い雑誌を読んで 旅行記を書いて楽しんでいます。嘘や。早く元に戻って欲しいです。今までは日曜日から土曜日まで予定が毎日ありましたが,今は行くところもないし来る人もいません。人生で初めての経験です。

(政治)

1) ピニェラ動向
最低賃金を労働者に保証する、新型肺炎ボーナスとして貧しい家庭に5万ペソを渡すと貧民層援助方策を打ち出しています。
運転免許証問題
3月31日、チリでは長い列ができます。免許証の書き換えです。2月から手続きをする事ができるのですがチリ人気質として何でも最後の日にします。列に並ぶ人がいつまで待たせるのかとクレームしているのは(笑)。私の嫁さんは2月の末に済ませています。
これに関して ピニェラが市民援助として支払い期限を6月まで延期させようとしました。その支払われた額の一部は市町村の手に入ります。このため区長はこれは区にとって最重要財源で新型肺炎の区民を助ける為の費用になっているとクレーム。事前の話し合いが足りないです。
更に彼が考える高齢囚人の特別保釈については, その中に軍事政権時に左翼を殺人拷問した犯人が入っているので与党の中で揉めているようです
ところで、彼は金曜日の午後、仕事を終えて自宅に戻る途中、イタリア広場を通りました。そこは先月までデモ隊が溢れていた場所です。新型肺炎で誰もいなくなったその広場で車を降り記念写真を撮りました。観光客気分ですね。野党側から反政府運動を制圧したと言いたいのかと批判されています。外出禁止令を守れと言う批判も出ました。深く考えないでつい車を降りたのでしょう。

(経済)

1) 経済成長率
中銀の発表では今年はマイナス2.5%程度です
しかし来年は4%の上昇と大きくV字回復するらしい。
この予想は世界の変化を考慮していないように思われるのですが, 私と同じ考えの記者がその総裁と面談しました。日曜日特集記事の中でそれを聞かれると当然それは考慮しその上で打つ手を考えていますとコメントしました。
2021年の回復を願いたいですね。
近年でチリの経済が10%以上落ち込んだのは1975年と 1982年でした。
1975年は軍事革命の混乱期でした。82年は、私はチリで働いていましたが地方銀行が潰れて輸入代金の支払いに混乱が起きたのを思い出します
今年はそこまで行かないでしょうね。
2) 銅価格と為替
為替レートはペソが弱くなり1ドル862ペソでした。
銅の価格は変わらず2.2ドル。チリの銅山に投資した会社は泣いているでしょうね。
3)失業率
最近の3か月は7.8%と前年比0.8%の上昇。但し組織を外れ自営業を始めた人が多いので実質の数字は更に上だろうと言われています。
銀行も顧客を助けるため家屋ローンの支払いを何回か延期することを認めたようです。

(一般)

1)新型肺炎
今日現在で患者数は4471名、死者は34名です。毎日ドンドン増えています。
現在, 発生した患者が目立つのは首都圏のラス コンデス区と南部のテムコ市となっています。その理由として貧富の差の両極端ではないかとされています。ラス コンデスの場合はイタリアやスペインに旅行した区民が多いこと,
テムコの場合は貧困層が28%とチリの最悪の数字になっています。
医療施設関連では人工呼吸器は1200台ほどあり、その内80%が使用されています。しかし先日オーダーされた製品が着くと3315台になり問題は起きないと見られるとか。
2)首都圏の公共交通機関の利用者数は80%の減少、高速道路は60%のマイナスです。
こ れらの数字は東京とかなり違いますね。
この為, 大気汚染が急激に良くなっているらしい
同じく夜間の騒音も75%も少なくなったらしい。
大手のバス会社ツルブスが国内の全サービスを止めました。
乗客と乗務員の安全のためにとか。
チリの旅は空も陸も不便になっています
3) 4年前日本人女子大学生殺人事件
2016年にフランスで日本人学生が行方不明になった事件で容疑者のチリ人セペダをフラン スに渡す判決を最高裁判所は決定しました。しかしその黒崎さんの遺体は見つかりませんね
4) 時間の変更
この日曜日から夏時間が冬時間になりました。
自然時間に戻ったわけです。朝は7時前に明るくなり夕方は7時前に暗くなります。
5) テレトン
もう40年も前に始まった障害者援助のチャリティーイベントですが、今年は今まで のお 祭り騒ぎはなくひっそり実施されました。それでも集まった金額は予想を上回わり2018年の額を超えて347億ペソでした。


以上