チリの風  その872  2020年1月27日―2月1日


暑い日が続きます。今週の話題は土曜日の日本人学校PTAの大夏祭り。毎年参加していますが、バザーでの買い物、子供の和太鼓・剣道などを楽しみました。たこ焼きはおいしかったです。
2回目の大学入試が月曜日と火曜日にありましたが、それが私に影響しました。月曜日に仕事で事務所に向かって歩いていると道が封鎖されています。受験会場になったところが封鎖され受験生しか歩けません。もちろん回り道をしました。火曜日、セントロに行くため地下鉄に乗っていると突然、ロス・レオネス駅で降ろされました。反入試のグループが横断幕を掲げて封鎖していました。そこにいたおばちゃんに「皆さんが入試反対を叫ぶ権利はあるけど、地下鉄を止めるのは止めてほしい」とコメントすると、「もう100日も反政府運動を続けているけどピニェラは反応しないのよ。だからこうして行動を継続するの」まだまだ続きますね。いやはや。
日曜日のマラソン練習はいつものように仲間と楽しく走りました。
もちろんトレッキングも実施。今年も何時ものように毎週1度の山歩きを楽しんでいます。

(政治)

1) ピニェラ動向
これで2回目の大統領職ですが、彼が今回ほど苦戦したことはないようです。問題は山積み、解決案は希少と良くなる雰囲気はありません。
新聞に「ピニェラにとって最も暗く孤独な夜」と言うタイトルの記事が出ました。それは国内経営者会議に出席し、約40分のスピーチをしましたが、個人的なコメントが多く、自分は苦しんでいると言う雰囲気に終始したようです。「誰か助けて」と言いたいのに「それを言ってはおしまいよ」となるのでしょうね。やっぱり辞任しか道はないのかな?
新聞に市民調査の結果として政府を信頼するとしたのは23%。もう完全にそっぽを向かれていますね。
2) 検察の内紛
オヒギンス州の検察官だったアリアスは長官のアボットににらまれて9か月も職を外されていましたが最高裁判所の判決で、それが否定されました。元の職場に戻るとか。 長官の面子丸つぶれです。アリアスが漁業関連の裁判で企業批判に突っ込みすぎたと言うコメントもありますが、検察・裁判関係でもそうした人間関係はあるのですね。

(経済)

1) 経済成長率
IMFの今年のチリの成長率の予想は3%でしたが、今回、それをはるかに下回る0.9%に下方修正。もちろん昨年末からの暴動騒ぎで今年は厳しいと言うのは誰でも知っていましたから、それほど驚きませんが、この年末に「やっぱり駄目だったね」と言うのでしょうか、それとも「意外に良くなったね、最終数字は1.2%だった」とか。大した差はないかな?
その0.9%と言う数字は2009年のリーマンショック以来の最低の数字。ラテンアメリカの中でチリより低いのはわずか2か国、アルゼンチンとべネスエラです。
先週のサン・ペドロ・デ・アタカマの旅行記の中に、その観光地を訪問していたのはほとんど外人でチリ人は少しだけと書きました。今週の新聞の風刺マンガで市場で買い物する一人が仲間に「今年のバケーションはカンクン(メキシコ)にするつもりだったけどコンコン(チリ)に変えたの。でも最終的にはどこも行かないみたい」とコメント。チリの現状ですね。

2) 銅価格と為替
チリの命綱の銅価格は2.53ドルと1か月で9.5%も落ち込みました。これに反応してチリペソも落ち込み1ドル799ペソと1か月で47ペソも下がりました。2020年は厳しいと見せつけられたようです。
失業率が増えているのは当然ですが、その就業者の中で正規雇用者から臨時雇いに変わっています。
非正規労働者は30%も増加し合計260万人です。

(一般)

1) 大学入試
2回目の試験が終わって公式コメントは「ほとんどうまくいった、今回受験できなかった学生には第3回目のチャンスを与える」とか。何それ? 入試試験って1回で終わるのが当たり前なのに3回もやらざるを得ないって誰の責任なの?
そしてその受験場が事前に知らされていなかったので多くの学生が泣きました。例えば東部に住む学生が西部の区にある学校で受験となすると地下鉄とバスを乗り継いでいきますが、もし2時間もかかれば泣きますね。
新聞に「ある学生は一人で受験した」と報道されましたが、それはその受験場に呼ばれたのは彼一人だったのです。誰がそんな無駄な会場を使うよう指示したの?
教育省・大学連盟もう限界ですね。

2) 暴動騒ぎ
昨年の11月には略奪・放火事件が頻発に置きました。それが最近、ゼロにはなりませんが、収まってきていたのに、今週は元に戻って荒れ放題です。
スーパーマーケットが略奪され、その後放火されましたが、そこで死者1名重傷2名が出ました。その3名が事故に巻き込まれたのか略奪犯のメンバーだったのか分かりませんが、11月の混乱が戻ってきたようです。
この騒ぎの発端になったのはサッカーファンが警察のトラックにひき殺されたことです。南米最南端の町プンタ・アレナスでも商店の略奪放火事件がありました。もうチリ中どこでもですね。
3) 自然災害
水害と火災です。
チリ北部はほとんど雨が降らない砂漠が続いていますが、今週第3州(アタカマ)で大水害になりました。わずか10数ミリの雨が合流し下の町に流れ込みました。2年に一度くらいずつ起こる水害ですが、死亡者が出ました。チリ各地で雨が降らずに農業が困っていますが、この地方ではこの大雨で収穫物がほとんど失われたとか。運が悪いですね。山火事もチリ南部で継続中です。
日本では新型肺炎のニュースでもちきりのようですが、チリでもその報道は続いています。南米最南端の町プンタ・アレナスで今週中国人観光客が症状を出したので第1号かと思われましたが、結果は陰性でした。厚生大臣はチリはその病気に対応する用意はできていると話しています。

(スポーツ)

1) サッカー
国内リーグ戦は人気3チームの成績は第2戦を終えた段階でカトリカは2勝、コロコロとチリ大学は2勝1敗です。
ところでその3チームのファンが問題を起こしています。コロコロがホームで勝利をおさめた後、球場の外で警察と衝突。警察のトラックが投石をあび、逃げようとしたときファンの一人をひき、彼は死亡。チリ大学は国立競技場の内外で警察と衝突。一番問題の少ないと言われるカトリカもファンが警察と衝突し駐車場に止まっていた車に乱暴狼藉。まるで実況中継のようにテレビのニュースに出ました。服も顔もわかっているなら何故警察が球場内に逃げた彼らを逮捕できないのでしょう。多くのファンが試合を見ずに外に出ました。そして「彼らはカトリカのユニフォームを着ているが只の犯罪者だ」とコメント。私のいつも言っていることですね。
23歳歳以下の南米大会で予選を勝ち抜くためには最終戦の対コロンビアに勝利をおさめる必要がありましたが、残念引き分け。予選敗退で東京オリンピックには行けません。

以上