チリの風  その870 2020年1月13日―20日

先週と同じくサンティアゴは毎日30度以上の日が続いています。さすがに35度にもなると身体を動かすのは厳しいです。
土曜日の登山教室は14名で実施。いつものサン・カルロス公園ではなく隣のラモン公園の川巡りコースを楽しく歩きました。
日曜日のマラソン練習も仲間と楽しく実施しました。
それから17日は私の73回目の誕生日で、家族・友人とパーティ。嫁さんがご馳走を作ってくれました。最後はいろんな歌を歌って盛り上がりました。人生の思い出になるほど最高の誕生日でした。
1月17日と言えば、25年前に阪神地震が起きた日です。その年、3月に息子を連れて訪日しましたが、大被害の様子を目の前
にして震えました。チリでも大地震は経験しましたが、被災した人に罪はないのに悪運ですね。いつどこで何が起こるか分かりません。

(政治)

1) ピニェラ動向
彼は最近、テレビのニュースにほとんど出ませんが、今週は全テレビ局を通じで方針を発表しました。いろんな分野のことを話し始めたので、先のチリの風に書いたように、すべての分野で改善をする約束かと思ったら、そうではなく新年金法の発表でした。もちろん政府案は国会の承認が必要ですが、現行の給料の10%を年金基金にしているのを変更して16%にする由。もちろん掛ける年金の額が上がればもらえる年金が上がるのは自前ですね。即時に変えるのではなく何年かかけて変更するらしい。年金額が最低賃金を下回らないようにするとか。
2) 世論調査
今週発表の結果ではピニェラを支持するは歴史上最低の6%。もうこれ以上落ちられないところに来ました。誰も彼を支持しないと言う感じですね。
しかし問題はそれだけでなく国民は政府・国会・議員と政治を全く信用しないとしています。国会はたった3%が肯定的で後は否定。誰も国会を信用しないわけですね。
これはチリの民主主義の危機と言えます。リーダーシップの欠如、市民の間の不満が高まり安心感の欠乏が進めば暴動騒ぎにつながるのでしょう。政界だけでなく、その他に警察が信用できない、カトリックは怪しいなどとすべての分野で疑問が増えています。
市民の「みんな消え去れ」と言う動きは現状を明確に表しているようです。
政治で言えば、右翼も左翼も同じ、どこも・誰も信用できないと言うわけです。私が普段言っていることを国民のほとんどがそう思っているわけで、これはピニェラに力がないと言うだけでなく、その前のバチェレットも同じと言っているわけです。
じゃ次の大統領は誰がなるのということになりますが、今回の世論調査では1位はラス・コンデス区長のラビン(以前の大統領候補)2位はシャープ(バルパライソの区長をする新左翼)バチェレットも上位に入っています。
左右の混乱は続いていますが、左翼の有力政党の社会党が分裂騒ぎ。バチェレットの時の閣僚だったディアスが離党して新党結成を発表。彼によると現社会党は確固とした左翼政党ではないとか。あやふやと言うわけですね。彼は左翼の新左翼共産党それにPPDなどと組みたいとか。

(経済)

1) 金融の中心地
チリの政財界が世界各地で行うプレゼンテーション「チリデイ」で近年、チリをラテンアメリカの金融の中心地にする動きがありました。それが昨年10月からの暴動騒ぎでゼロになりました。無理もないけど、残念ですね。
2) 銅価格と為替
銅はポンド当たり2.86ドルと2017年以降の最高値。目標の3ドルが近づいています。為替は1ドル771ペソとほとんど先週と同じでした。
3) 新車の販売
昨年のチリの新車の販売数は37万2千台と前年対比10%の減少でした。その中で1位は日本が33%を占め、2位は韓国17%、3位は中国16%。今年は中国製が2位になりそうです。

(一般)

1) 警察署への襲撃事件
暴動グループが警察署への攻撃を継続です。水曜日には同じ日に4カ所の警察署が攻撃されました。彼らが店舗を襲うと言うのは理解できますが、警察を襲うと言うのは本気ですね。彼らが警察署に投石や火炎瓶を投げるなら中から警官も彼らに発砲して防衛すれば良いのではないでしょうか。それで負傷しても人権委員会は警官の悪行として批判するわけにはいかないと思いますが。
2) 大学入試
全く不可解な成り行きが継続です。次の追加テストの日にちは決まっていても、場所がまだ発表されません。迷っているのでしょうね。
先の入試で歴史のテストは取り消しになりましたが、受験生からそれは認められないとする訴訟が出ました。
そして高校生連盟がさらなる抗議行動を続けると発表。政府は何もできないの?
入試を行う大学側もそれをコントロールする教育省も無策です。
これではもうピニェラに先はないですね。
3) 山火事
2019年-2020年の夏の山火事は2万ヘクタールの延焼で昨年対比21%も増えています。その火災の原因が3割が放火とされています。その放火火事は南部のビオビオ州、アラウカリア州に目立っています。政治的放火でしょうか。
4) 麻薬
麻薬問題がチリを窮地に追いやっていると言われますが、確かにその一例として、化学性麻薬剤の摘発された数は10年前の2010年は年間で2304個。3年ほど同じレベルで2014年に32206個に増加。その後は急増で2017年は34万個。2019年は164万個。もう止まるところを知らない勢いですね。チリ人の麻薬患者がいかに増えているかこれだけで分かりますね。
5) 孤独
60歳以上で一人で生活している人は1990年は11万4千人。それが2017年には46万人に急増。割合では8%が13%になりました。ラテンアメリカではトップの数字。最も英国などは30%とけた違いです。

(スポーツ)

1) サッカー
チリカップ戦の準決勝戦が行われました。その一つ、コロコロ対カトリカ戦はテムコで行われました。全くデモ隊、暴動騒ぎはなく通常に実施されました。結果は引き分けに終わり、その後のPK戦でコロコロが勝ち決勝戦に。もう一つのウニオン・エスパニョール対チリ大学戦は、何とウニオンが抗議の意味で試合を拒否。これで決勝はチリの2大人気チームの対戦になりました。

東京オリンピックのサッカー南米予選が始まり、チリは初戦をエクアドルと。楽勝で第2戦に挑みます。
車のEクラス世界レースがサンティアゴでありました。
それからダカールラリーでチリの選手が上位入賞を勝ち取りました。

以上