チリの風 その864  2019年12月2日―8日

南部の湖州(第10州)に行ってきました。そこは先週はほとんど毎日、雨だったのでどうなるか心配しましたが、今週は一日だけで、あとは曇り時々晴れ、よかった。                               
不思議だったのはプエルト・モンへの往復の便がほとんど満席だったこと。 その南部最大の街はサンティアゴと同じく暴動騒ぎが蔓延して、教会がまるで防御壁に囲まれているようだったし、ラタム航空の事務所は略奪騒ぎが起こった後、閉鎖されたままでした。
その後、フルティジャールでカバーニャ(1軒家のホテル)に泊まりましたが、空室はなく、旅行客が多いことが分かりました。まだ夏休みシーズンが始まってないのに満室とは。ビーニャでホテルが空室で泣いているのと大違い。ちゃんとジャンキウエ湖の側を走りました。
土曜日の夜、サンティアゴに戻ってきました。

(政治)

1)ピニェラ動向
もうどうしようもないですね。世論調査で、彼を支持するは史上最悪の10%、支持をしないは82%。もう右翼も左翼も彼を見くびっています。そして反政府運動について67%がデモ隊を応援するとしています。ただ、デモ隊の暴力行為については認めるが25%、反対が72%と常識的な数字です。
少し前に、ピニェラとその家族が外国に亡命するかもという噂が出ました。その時は何の冗談?とされました。しかし今週、彼とその家族が外国に5億ドル以上の金を動かしたと言うニュースがマスコミに出ました。やはり噂には少しは基礎があるのですね。野党議員がそういう人間がチリの大統領職についているのは認めがたいとコメント。 前内務大臣が国会で弾劾されていますが、下院では成立、来週上院で投票です、その後、ピニェラが同様の弾劾審議を受けることになりそうです。
来週、彼は新大統領の就任式に参加のためアルゼンチンに飛びます。先日メキシコに亡命したボリビアのモラレス前大統領は、そこからキューバにわたり、最終的に左翼が政権を取ったアルゼンチンに逃げ込む予定とか。
国会議員の削減をピニェラは提案していますが、野党側は、国民が望んでいるのは年金や健康問題の改善で議員の数の増減ではないと嘲笑しています。私はそういう議員を辞めさせたいです。
2)政府と検察のヒッチ
内務省は50日を超えた今回の反政府運動は12月に入って落ち着いた雰囲気になってきたと発表しました。10月の最悪の数字は1日で350カ所で暴動騒ぎが起き、11月はそれが189に、12月は(始まったばかりですが)最高16です。
とは言っても今週もグループが警察署を襲い、100発以上の銃弾を撃ち込み、警官と市民合わせて8名の負傷者が出ています。
内務省は検察がその犯罪の関係者を適切に訴える仕事をしていないので犯罪行為が少なくならないとクレーム。もちろん検察側は政府のコメントに強く反発しています。検察庁や裁判所が暴動騒ぎの原因ではないと。しかしこの50日で約18000名が逮捕されており、全員が拘留されているわけではありませんが、近い将来、検察も裁判所もマヒするでしょうね。
暴力行為と直接関係なくても、各種の学校・大学が正規の授業数を終えないうちに学年特別終了を実施したのは将来、大きな問題となりそうです。
3)ジニ係数
過去27年で最低のレベルになりそうとか。高所得層と低所得層の差を表す指数ですが、チリは近年これがかなり改善してきたのは事実です。それが差別はいけない、平等を目指せとする今回の運動で逆の方向に向かいました。寂しいですね。
4)年金問題
最低年金を50%アップすると言う政府提案は国会を通り、多分、今月から実施されそうですが、現在、年金生活を送っている人は1980年代の経済危機を経験していると言う記事が出ました。1980年に失業率は23.7%まで上がり就職するのが非常な困難な時期でした。その年、現行の年金制度が始まりました。自分の積み立てた基金を民間会社が運営して、それが将来の自分の年金になると言う仕組みです。統計によると30年間働いた男性の平均年金は45万ペソ、35年の人は72万ぺソと現在の最低賃金を大きく上回っています。

5)高速道路の使用料金
政府と高速道路運営会社の間で、トラック業界から出ている使用料金の支払いについて8項目で合意に達しました。例えば、未払いで罰金がついている過去の数字に対し、罰金を80% 
減額するとか。これに対し、自分は無理して使用料金を払ってきたわけで、それを行わなかった不正ユーザーを援助するのはいかがなものかと言うクレームも出ています。                
新聞の論調でこの合意事項は大声を出して脅しに来るトラック業界に押し切られたわけで通常のネゴではないと批判しています。

(経済)

1)銅価格と為替
今週は1ポンド2.66ドル、1ドル779ペソと落ち着いた数字になっています。どうしたのかな?チリペソが強くなってきたのが不可解ですが。
2)経済成長率
もう毎週のように予想数字が下がるので、誰も本気にしませんが、今週の中銀発表では昨年は4%の成長。今年は1%、来年は0.5%-1.5%の予想。これは南米で最悪の数字になるとか。2021年は2.5-3.5%らしい。
3)失業率
来年、すぐに現行の7%が10%、もしくはそれ以上に上がりそうだとコメントされています。中・大型企業の半数が従業員の解雇を計画していると答えているらしい。

(一般)

1)COP25
今週からマドリッドでCOP25の世界大会が始まりました。チリで行われるはずだったので寂しい・悲しい気もしますが、チリの現状を見ると辞退して良かったと感じます。
2)12月8日はカトリックの祝日ですが、サンティアゴから約100キロ、バルパライソ近郊のロ・バスケス教会に巡礼の波が押し寄せました。予想では100万人でしたが、やはり昨今の様子から、そこまで行くのが困難になり、80万人とか。
教会入り口から、寝そべって前に進むとか膝をつけて前進するとか、身体の苦痛を感じながら教会に入り、昨年の祈りの結果をマリア像の前で報告するのが巡礼の常です。
もうすぐクリスマスですが、今年はジングルベルのメロディで街が浮かれていると言う雰囲気は全くありません。

(スポーツ)

1)サッカー
先週、チリのサッカー協会は今年は2部リーグからの1部昇格はないと発表しましたが、今週はそれを変えて2部の首位だったワンダラーズを1部に上げると変更。どういう組織なのでしょうか?
あまりにもずさんですね

以上