チリの風 その860 2019年11月4日―10日

アカン、私の読みが外れた。チリの混乱は継続です。もう3週間になっていますが、今週も略奪・放火騒ぎが継続です。今晩もデモ隊と警察の衝突が起きています。        
病院・学校などでもストになり、今週、チリ大学病院に血栓症の血液検査に行くと、病院は開かれていましたが、勤務者が少なくいつもより時間がかかりました。家の近くの幼稚園で平等・発展のため私たちは戦いますと書かれていました。固定資産税の関係で税務所に行くと閉まっていました。その理由はストなのか暴動を恐れてかは分かりません。つまりどこにでも異常があるということになります。                            
今週の土曜日にサンティアゴの気温は35度まで上がり、11月としては50年ぶりの暑さ。完全に夏の雰囲気になっています。日曜日も34度でした。  
久しぶりにM6の地震がありました。コキンボ州(第4州)でしたが、サンティアゴもかなり揺れました。
60分は切れなかったけど10キロを走り、久しぶりにサン・カルロス山岳公園に行ってトレッキング。チリの混乱とは別に私はいつものようにスポーツを楽しんでいます。日曜日のマラソン練習は5名の参加者で実施しました。

(政治)

1)ピニェラ動向
大統領府の発表する彼の動きには目立ったものがありません。彼が何もしないで事務所でくつろいでいるのか、彼の動きを発表する係の能力が低いかのどちらかですね。バチェレットの場合は、毎日、ちゃんと動向が記載されていました。
ピニェラは新聞社のインタビューに答えて、大統領の職を辞するつもりはない。最後の日まで、私に投票してくれた人たちのため全力を尽くすとしています。
彼は国家安全委員会COSENAを招集しました。これは軍事政権時に作られたシステムですが、2005年、ラゴス大統領の時に一部内容が変更されました。国家の安全が脅かされた時召集されるのですが、野党側は多くがこれを否定しています。政府関係者、両議会議長、裁判所長官、監察委員長、軍隊の代表が集まり、この先の国の運営について話し合いました。参加した上院議会の議長は意味のない召集で、話し合いの中身も薄かった、2度と参加するつもりはないと厳しいコメント。
その会議とは別にピニェラは放火・略奪犯人を重罪にするよう法案改正を要求しましたが、新左翼から方向違いと馬鹿にされました。大統領のすることは犯罪者としてデモ隊を刑務所に送ることではなく、デモ隊が街に出る理由を軽減することと言うわけです。
憲法改正についてピニェラは積極的に対応したいとしていますが、軍事政権下で成立した現行憲法をその後の左翼政権は手を付けていません。右翼側のピニェラがそれを改正しようとすれば与党内で最右翼のUDIと衝突するのは自明。与党分裂の可能性がでます。      今週、デモ隊の攻撃でUDI党本部が襲われました。そしてその党首事務所も襲撃されています。つまり単純な商店略奪とは違う面があるわけですね。
ただ政府側と野党側の接触は進み、労働時間法、新税法などで合意に達した様子。国会でどう決議されるかが問題です。労働時間は40時間になりそうだし、新税務法で新しい課税が進みそうです。市民の要求を受け入れれば、資金が必要になるのははっきりしていますからね。
2)ブラジルの元大統領ルラが釈放されました。580日も刑務所に入っていたのに、まるで英雄のように扱われています。ブラジル人って不思議ですね、彼の汚職が認められ有罪になったのにその犯罪者をまた英雄扱いするなんて。ボリビアの大統領も怪しいし、べネスエラはもっとひどいです。アルゼンチンの新大統領はフェルナンデスはウルグアイ、ブラジルなど隣国の元大統領などを招待して新政策の発表をしましたが、その中でチリに関し、わずか1%の人間が32%の富を占めるような状況は嘆かわしい。チリがその改善を図ってほしいとコメント。その席にチリから招待されたオミナミ元社会党議員と彼の義理の息子のマルコ・エンリケ・オミナミMEOがいました。MEOは元大統領候補で選挙運動に飛行機を使いその費用をブラジルの企業に払わさせていました。              
しかし政策の失敗がはっきりした、もしくは汚職で有罪になる可能性のあるクリスチーナK元大統領を副大統領に選んでいますから、アルゼンチンの新大統領は言うこととすることが違うようです。それにくらべるとチリはまだましです。     ここまで書いたらボリビアのモラレス大統領が辞任と言うニュースが入りました。少し前に選挙をやり直すと言っていたのですが、軍から圧力がかかったのでしょうね。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド2.7ドルと7月末以来の価格に上昇。 ほんの少しですが、よくなったわけですね。1ドルは746ペソでした
2)経済成長率
10月の経済成長率は低く、11月も同じ傾向(成長ゼロかマイナス)が続くので、2019年の総合数字は2%を切る可能性が出てきました。  株式市場は10月18日から11月7日までで11.4%もダウン。チリ中が苦しんでいますね。
3)物価上昇率IPC
10月のIPCは08%と10月としては過去5年で最高の数値。過去12か月としては2.5%とそこそこ。11月は恐らく上昇率ゼロになりそうとか。
4)暴動の影響
新車の10月の販売は前年対比25%の減少。ただ、月の後半は50%の減少と言われるから、暴動騒ぎが続くと11月もひどい数字が予想されます。小売業者にとって最大の季節はクリスマスですが、今年は大きな期待はできず、季節的な従業員の雇用もほとんどなくなるのではとみられています。つまり泣く人が続出ですね。
貿易も、大幅に低下で10月の輸出は52億ドルで21%の減少、輸入は20%下がって56億ドル。2015年以来の大きな減少額になりました。

(一般)

1)トラックのデモ
トラックが高速道路の通行料金について反対するデモをしました。 
年金制度(AFP)に反対するグループは「現行システムは不要」とするNO MAS AFPをスローガンにしていますが、それを使ってトラックが通行料金不要NO MAS TAGとしてデモです。時速10キロくらいでトラックが並んで走ると高速道路は交通渋滞が避けられません。料金を下げろと言うだけでなく、今までの未払い金もゼロにせよと叫んでいます。
政府が弱気になっているのが通じるのか、奨学金(CAE)の未払いでもめている元学生がNO MAS CAEとデモ。いやはや。
2)ショッピング・モールへの攻撃
先ずコスタレナセンターへ。そこは南米1高いビルが建っています
その次にロス・ドミニコスのモールへ。そのデモの案内書(デモ決起書とでもいうのかな)には「富裕層は全く何もないかのようにモール歩きを楽しんでいる」と書かれていました。何だか、じゃ俺たちが苦しんでいることを見せてやろうじゃないかと言っているみたい。
そこは私の家の近くにあり、走って5分の距離。マラソン練習コースで、その前を通過します。さてデモ隊が通過するとき、ベランダの椅子に座って見ていましたが、旗が多く振りかざされ、70%はチリの国旗、20%はマプチェの旗、残りの10%はいろんな種類で、例えばコロコロとか、日の丸も1本ありました。
この3週間で首都圏の略奪・放火は400件。ほとんど毎時間起こっているわけですね。サンティアゴばかり注目されますが北から南まで全部の都市で事件は続いています。
今週、サンティアゴの中心部で略奪騒ぎがありテレビやパソコンを取って逃げる人が撮影されていましたが、その人たちの中で14名が近くのビルに入りました。そこのカメラを見ると全部、その住居の住人でした。警察はその14の部屋を捜査し、扉を開けないところはドアを破って中に入り、全員を逮捕しました。10カ所は住居、4カ所は売春宿だったとか。捕まったのはチリ人だけでなくコロンビア、ドミニカ人もいました。

(スポーツ)

1)サッカー
17歳以下の世界大会でチリはブラジルに3対2で敗れ、ベスト8に入れず残念。日本も同じステージでメキシコに敗れましたね
国内リーグ戦は来週から復帰。先ずカトリカがコロコロとホームで対戦。もしその試合に勝つと今シリーズの優勝が決まります。


以上