チリの風 その859 2019年10月28日―11月3日


そうですね、もう11月になりました。つまりしばらくすると今年も終わりですねと書くことになります。今のサンティアゴは朝7時ころ明るくなり夕方8時ころ暗くなります。
チリは大騒ぎが続き、その影響で多くの人が苦しんでいます。もちろん、国の問題を国民が声を上げるのは当然だと言うのも理解できます。しかしそれのやり方が理想とは遠いのかもしれません。
今週は木・金曜日と祝日が続いたので4連休。多くの市民が郊外に出るはずでしたが、今週は今までと違い、ごくわずか。テレビのニュースでバルパライソのレストランのオーナーがお客さんが来ないと嘆いていました。今のチリはバケーションと言う雰囲気ではないです。
月曜日、サン・ラモン山岳公園に行くとオープンしていました。ほかの人はまだ閉鎖と思ったのか、歩いていて誰にも会いませんでした。土曜日はサッカー教室。小さな子供も入れて24名で楽しく練習。気温は28度まで上がりましたが、けがをしないで汗をかきました。日曜日は仲間とマラソン練習。こうして通常の日常生活を実施できるのがうれしいです。

(政治)

1)      内閣改造
大幅改造を実施しました。120万人のデモは政府を揺るがしたわけです。なんと内務大臣、大蔵大臣、経済大臣、内務省長官とか計8名。最重要大臣が総入れ替えされました。ピニェラにとって一番痛いのは腹心の内務大臣でしょう。以前のマプチェ青年殺人事件で、その殺された青年を車両盗難事件の犯人と扱いましたが、全くの間違いで、警察官がふざけて殺したようです。もちろん彼はそういう情報を全部自分の手に入れていなかったので警察からの虚偽の情報を発表したわけですが、警察トップを更迭する必要があったわけです。
しかしその夜、再度、暴動騒ぎ・放火略奪が起きました。軍隊を道路に置いた非常事態宣言をやめたらすぐにこの騒ぎ。ピニェラの作戦のエラー(事態の読み間違い)か、それらを読み取っていた外からグループを操る組織の勝利でしょうか。

改造された内閣は、すぐに野党側とコンタクトし、会議を持ちました。相手側の見解を聞きたいと言うわけです。共産党以外の党はモネダ宮殿を訪問し大臣と面談。まだ政府は国民の真の声を理解していないときついコメントをしました。
2)      国際会議の中止
そして暴動騒ぎを受けて、なんとピニェラは2大国際会議のチリ開催を中止しました。自然保護のCOP25はマドリッドで開催されるとか。APECはまだ変更された場所の決定はされていません。これはチリにとって大きな影響を与えますね。国際信用の問題です。
内閣改造を発表した月曜日に暴動がありましたが、その次の日から騒動の規模は縮小しています。つまりピニェラに圧力をかける作戦に出て、それが成功したと言うわけです。これは暴動グループの後ろに影の姿があるということでしょう。
明日の月曜日からほとんどの学校で授業が始まるようですが、チリの社会情勢が落ち着いてきたのなら、国際会議の中止決定は早すぎたと言えないこともありません。、

3)      ロシアの影響
驚いたことにアメリカ政府はチリの混乱の背後にロシアがいるとコメント。トランプはピニェラと電話で話し合い、チリ政府を応援すると確認したとか。しかしロシアがチリを二分する策略を実施していると言うのは信じられるかな?


4)国会
議員選挙は以前は義務制でしたが、2012年から自由制になりました。それが再度、義務制に戻そうと国会で議論されるとか。不愉快ですね。義務制を自由制に変えようとした議員の自己批判をさせてから討論してほしい。ほかに議論することあるだろうと言いたいです。
新税法、労働時間、給料から強制的に提出させる年金基礎の積み立て金を増額する件、最低賃金、厚生問題、新憲法世論調査で国民の80%が改正に賛成しているとか)などが懸案事項が山積ですね。

       

(経済)

1)      銅価格と為替
1ポンド2.67ドルとこの1か月ほとんど変わりません。 チリペソは1ドル739ペソと2003年以来の最低の数字になりました。誰もチリのペソを信用していないということでしょうか。チリ株式市場も大きく落ち込みました。

(一般)

大学入試
今月18,19日に予定されていた大学入試が来月2,3日に延期されました。社会の安定が政府・学生の両方に必要です。
 2)デモ
先週の金曜日120万人と言われるデモ隊が歩いたルートを1週間後のこの金曜日に歩いてみました。
地下鉄の駅が大変です。1番利用者が多い1号線で中央部のロス・エロエス、サン・クリストバル、バケダーノ駅が閉鎖されていました。
それから信号機が半分くらい壊れていて、警官が交通整理をしていました。なんでも都内で101カ所の信号が稼働していないとか。
建物で壊されたところは、シャッターなど、修理作業中でした。
全部の建物に落書きがされ、以前の西欧風の町の雰囲気はなし。
書かれてあるのは「ピニェラ辞めろ、警官は人殺し、革命が必要なら革命はある、TPPは不要、マスコミは嘘ばかり、タダ乗りするぞ」とか政治スローガンがほとんど。共産党支持者かな?
ピニェラとピノチェットをかけてピネチェット不要と言うのもありました。
1万人に一人、つまり100人くらいが立小便をしたので、大通りなのに臭い匂いがあちこちから。
国家遺産の建物も30カ所で傷つけられています。
午前中だったのでイタリア広場にはほとんど人はいませんでしたが、黒服を着て白い花を持った女性グループがデモを始まるところでした。女性お悔やみデモと呼ばれ、広場からモネダ宮殿まで歩くとか。
その日も夜になってイタリア広場にデモ隊が集まりましたが、わずか2万人でした。
今回のデモの中心はイタリア広場です。私も昔、その近くに住んでいたころがあります。同地区の住民はデモ騒ぎに疲れ果て、早く他のところに引越ししたいと嘆いています。

ところで地下鉄はこの週末朝8時に操業を開始し、夜8時まで運転しました。正常に運営されている駅は約半分ほどとか。それほど痛められたわけですね。いったいいつになれば全線が正常化するのかまだよくわかっていません。
土曜日、ニューヨークで大量の学生が地下鉄の無賃乗車をしましたが、チリと同じですね。

日曜日、私の家の前を1000人ほどのデモ隊が行進。珍しいのは全員自転車に乗っていました。彼らはイタリア広場からピニェラの自宅を向けてデモしました。ほかにオートバイのデモもありました。

ところで今週初めて地下鉄の駅を破壊した犯人が逮捕されました。ニュースに何度も出ているのですぐに逮捕されると思いましたが、意外と時間がかかりました。一人だけではないです、何十人も逮捕する必要があります。それからスーパーマーケットで略奪行為をした8人組が逮捕されました。そのうち5人は既に同じような犯罪で逮捕されているとか。店から奪った商品を自動車に積み込むところがニュースに出るのでナンバープレートを見ればすぐに犯人逮捕と思いました。それが報道されれば同じような犯罪は激減するはず。ところがチリの警察はじっくり調べて2週間もかかりました。さらに1組だけ。どうして連日、犯人が逮捕されないのかな?

来週からチリの正常化が進むと思いますが、私の推定はどうかな?

以上