チリの風  その849  2019年8月19日―25日

最高気温が27度の日の次が13度と、夏と冬の日が入れ替わった不思議な日が続いたサンティアゴですが,週末は温暖な日になりました。
私は旅の疲れも薄れ、今週は通常通りの毎日を送りました。
土曜日のサッカー教室は20名の参加者。大人と子供が一緒に練習試合を楽しみました。日曜日はマラソン練習、4名で実施。道路わきのシルエラ(梅)の白や桃色の花が満開。それが数本でなく何十本もあって。見事でした。
さて先週のペルーの旅の続きです。クスコ・マチュピチュは日本人ならだれでも知っているでしょうが、今回、私が行ったチャチャポヤス王国・クエラップ城は誰も知らないのではないでしょうか。ところが、そこも同じような素晴らしいところとすれば・・・。                                      
チャチャポヤスの町から小型バスに乗ってクエラップ遺跡に向かうツァーに入りました。チャチャポヤスはインカに侵略されたわけですね。遺跡近くのところに立派な建物があり、そこが公園の入口。遺跡に入る交通手段がまさかのロープウェイ。断崖絶壁の上を約20分。この景色が最高でした。マチュピチュの当時の住民よりはるかに数の多い人がクエラップに住んでいた由。寺院と呼ばれる建築物もあり石組に囲まれた町です。そこは3000メートル以上の高地なので最初、軽い高山病になりましたが、ガイドの人が草を渡してくれ、その匂いを嗅ぐと気持ちが良くなりました。その草の名前を聞くと「死者を甦えらせる」とか。小雨だったので合羽を使って、私の好きな石組みを調べながら歩きました。プロメリアの蘭など野生の花もきれいで遺跡の中を隅まで楽しく歩きました。この町と遺跡の素晴らしさが上手に宣伝されたら、いつか日本人観光客が多く訪れる観光地になるでしょう。

(政治)

1) ピニェラ動向
まず国内でニュブレ州に行き、チヤンの街で首都との鉄道サービスの拡充を約束し、その南のラ・アラウカニア州で、州知事などと地方行政の在り方を議論。その州はマプチェ族の問題が多いところです。そして週末、フランスに飛びG7会議に特別招待国として参加。日本、イギリス、ドイツの首脳と個別面談をしました。
2) 政府と社会党の衝突
社会党が教育大臣を批判し、憲法法廷に持ち出そうとしたので、内閣府の長官が、社会党は麻薬組織との関連が疑わしいとコメント。
社会党は、その長官が公式に陳謝するまで、政府との関係を一切切ると宣言。
政府側は、別に新しいことを言っているのではなく、先日、社会党内部の選挙で不正があり、麻薬関係の怪しい党員が党から追放されたのは
誰でも知っていること。ラテンアメリカ諸国で社会党が麻薬組織と組んでいるのは良く報道されていると冷たいコメント。このさきどうなるかな?

(経済)

1) 税制法案改正
下院で法案が成立しました。大蔵大臣はこの法案は金持ち向け(大企業援護)とか言われるがそれは全くの過ちで
チリ経済の発展を目標としたもので一般市民が大事にされる(例えば就職の機会が増えるなど)ことになるとしました。
上院で認められれば年内にも新法案が発効します。
ここで追加の情報ですが。その法案が成立したのは与党だけでなく、野党側のキリスト教民主党DCが賛成票を
投じたからで、野党内では大騒ぎ。次回の地方選挙で、DCを同胞としてグループに入れるか、全く切り離すか決断を迫られています。
DCは政府の提案にはすべて反対と言うスタイルより、是々非々で、時には反対、時には賛成が野党のあるべき姿ではないかとしています。
同党のソト議員は、これではDCにとどまる意味はないと脱党を発表しました。
野党内の混乱は、以前からですが、継続・拡大が見立ちこの先どう立ち上げていくのかよく見えません。野党側に魅力的なリーダーがいないので
またかと言われるバチェレットの名が出るわけです。
2) 銅価格と為替
変わりませんね。ポンド2.57ドル、1ドル716ペソでした。このままでは下半期の経済成長も低め停滞が続きますね。
3) 水不足が鉱山事業を圧迫
アントファガスタ鉱業の社長が、このまま水不足が続けば、チリの銅鉱山は深刻な事態を迎えると警告を出しました。
彼らはすでに水の有効利用を考え実行中とか。もちろんその外に海水に手を加え、淡水化する方法も既に使われていますね。さぁどうなるかな?

(一般)

1) ラミロの強制送還
もうずいぶん昔のことですが、1996年に特別監獄からヘリコプターを使って脱獄した囚人がいます。彼はラミレス司令官と呼ばれた左翼ゲリラです。最右翼のUDI党の創始者を殺害したことで逮捕され有罪になりました。脱獄後ブラジルに渡り、同じような犯罪を繰り返しそこで刑務所に入れられました。今回、ブラジルとチリの間で彼のチリ送還が決まり、さっそく実行されました。この強制送還は両国政府間の取り決めで、法的には
違法だと言うコメントもあります。
彼がチリの刑務所に入っていたときの刑を使うのか、今まで刑務所で服役していた分は目引きするのか、大した差はないでしょうが、検討中です。しかし脱獄した刑務所に20数年ぶりに戻ってくるって彼にしても不思議な感じでしょうね。彼のような重要犯罪者が刑務所から脱獄することが可能だったわけでチリの刑務所のシステムに大きな穴が開いていたわけですね。
2) バルパライソの危機
バルパライソ世界文化遺産になっている街ですが、毎年、山火事や家屋の崩壊が起き、多数の死傷者を出しています。坂の多い地区で、崖の上に建てられた家屋は、いつ崩れ落ちるかわからないので市役所から取り壊しの指示が出ていても、住民がそれを無視して住み続けているわけです。
その地区で火事が起きたら、消防車が近づけないということも先年起こっています。
新聞報道ではその家屋(レストランも含めて)の数は749とか。ブラジルでのアマゾン大火事が問題になっていますが、バルパライソの火事がまた繰り返されないのを願うばかりです。
3) カトリック神父の醜聞
毎週同じような出来事が続き、書くのが嫌でしたが、今週はちょっと書いてみます。容疑者はベルナルディーノ・ピニェラで現大統領の叔父。何と103歳でラ・セレーナの教会で働いているとか。神父をしているのか助手かわかりませんが、現役としては世界最年長とか。
その彼が50年ほど前に青少年に性的暴行を加えていたとかでバチカンは訴えを受け付け調査を開始
ピニェラ大統領は、50年前のことを取り上げるのはいかがなものかとコメント。
もちろん、昨年でも50年前でも悪事を働いて入れば処分を受けるのは当然ですね。どうなるかな、この事件。
4) サンティアゴ空港
全般ではサンティアゴ空港は良い評価を受けていますが、駐車場に関しては、価格・サービス的に世界レベルでは下の方らしい
最高7点評価、標準3.5そしてサンティアゴは3点以下。
5) 木材伐採
チリ南部の最大の島チロエでこの数年、1万ヘクタールの森が伐採されました。ほとんどが原生林。もちろん不法伐採ではないのでしょうが、自然林を伐採してしまうのを防ぐ手はないのでしょうか。
ブラジルと並んでアマゾンの森林が燃えているボリビアの焼けた森林は100万ヘクタール。桁が違いますね。

(スポーツ)

1) サッカー
首位のカトリカは下位のチリ大学と対戦。これはチリではクラシックと呼ばれる伝統の試合。予想と異なり引き分け。
2位のコロコロもまた引き分けで、勝ち点の差は10と変わらず。もう優勝争いには誰も興奮しないでしょう。

以上