(政治)

1) バチェットの動き
カリブ海でのラテンアメリカ・サミット会議に出席を予定していましたが、火事が大きくなる一方なので、それをキャンセルして、火曜日第6州に見舞いに行きました。いつものようにニコニコして市民に近づくとあなたの反応が遅いから火事がこんなに大きくなってしまったと厳しいクレームが出ました。翌、水曜日は第7州訪問でした。
今回の火事はチリの史上最大の規模になっています。
予想・予防、準備はどうだったか、政府の打った手は適切だったかどうかが問題になっています。
火事が大きくなってすぐに非常事態宣言を出せば、消火に軍隊を投入出来たが、それが遅れました。それは2010年の大地震津波のときに軍隊を出し遅れたので商店の略奪行為が広まってしまったのと同じ現象。つまりバチェレットは有事の際に反応が遅れることがはっきりしています。
野党から反対の声が上がると彼女は選挙が近いからと言ってこの惨事を選挙運動に使うとはもっての外と拒否。
いつもの世論調査で今週は彼女を支持するは今までで最低の18%、支持しないは最高の75%になっています。それを質問されるとそんなことより一人でも多くの人を救うのが私たちの責任と回答しました。
(自然発火か、失火・放火などの人間によるものか)
アボット検察長官はデマが飛び交っているが、それを捜査し、デマを流している人間は裁判にかけられるだろうとコメント。それはコロンビアの反政府ゲリラのファルクがマプチェと組んでチリ中に放火を仕掛けていると言うもの。新聞にマプチェが軍事訓練として銃の発砲練習をしている写真が出ました。今の所、放火の疑いで逮捕されているのは全員チリ人とか。しかし何と43人も逮捕されました。チリの警察は良く働きますね。
(外国政府の援助)
世界各国から援助の手が差し伸べられています。今までのところ10か国。アジアの日本、韓国、中国からコンタクトはあるが、援助の物資・人材はまだ到着していません。
(復興手配)
簡易テントの中で医師団が被災者の健康をチェックしていますが、何と獣医もいて火傷をしたイヌやネコの手当てをしています。PDI私服警察は火災で身分証明書などをなくした人たちに特別な手当てをし、市町村に復興援助を要請する時の書類を出しています。来週結婚する予定だったカップルは延期やむなしとつらい表情でした。                  
(失業問題)
この火事で職を失った人をどうするかも大きな問題で労働大臣は企業とのネゴを呼び掛けています。森林伐採の職場では森林が消滅すれば仕事は無くなります。その数は数千人とか。もっと小さな商店や事務所でも新家屋の建設が終わるまで事務員も店員も不要になってしまいます。その期間、政府が援助を出すことになるでしょう。大蔵大臣は一定の機関、税の支払いを要求しないことをコメントしています。
(消火の実態)
火事の数が多すぎていくら消してもまた新しい火事が増えているようです。日曜日の新聞では第4州から第9州まで122カ所で火災が起き50カ所はコントロールしたが62は延焼中、残りは鎮火とか。日曜日の夜のニュースでまだ赤々と燃えあがる森林の様子が映し出されています。
約40万へクタールが火災になりましたが、現在南米で起こっている火事の48%、つまりほとんど半分はチリとか。もっとも2009年に豪州で起きた火災は45万へクタールを焼き尽くしたらしい。
外人の助っ人を入れて約7千人が消火活動に当たっていますが、まだまだ消えそうにありません。消防夫、警官、一般市民を含め11名が死亡しています。
ある家族の例ですが、家屋が火に覆われたとき庭に掘られた井戸に入り、家が全焼しても家族全員が無事だったとか。すごいアイデアですね。
しかし、この火事で家を失った人、負傷した人に何の責任があるのでしょう。不運としか言えません。この大火事は私の人生にも影響しそうです。
さて山火事に対する一番有力な消火方法は空から水を撒くことでアメリカから来たスーパータンカーと呼ばれる飛行機は74トンの水を運ぶことが出来るとか。サンティアゴの空港で注水し、それを山火事現場で上から撒きます。その飛行機はアメリカに住むチリ人の個人援助です。その契約が終わったら、さらにもう1週間、チリに残ってサービスしますが、その費用はルクシック・グループが支払うとか。金持ちは100万ドルを軽く寄付できますね。ロシアからも同じような大型機がプーチンの援助として送られてきます。明日の朝チリに到着するらしい。他に、小型飛行機、ヘリコプターも多数、消火作業に使用されています。
2) TPP
チリの外相はアメリカがTPP組織撤退の報告をしたのでチリも同じく同組織から離れることにする。しかしそれを受けて新たな仕組みを作る為、3月に各国の外相レベルを招待してチリで会議を開きたいと呼びかけている。
それに関しANNのニュースにはムニョス外相が話しているビデオが出ていますが、そのフィルムは先週日本から外務副大臣が来た時のもので、それをTPPのニュースに引用しています。せこいな、やることが。
3) 汚職ランキング
チリは毎回少しづつランキングを落としています。何でかな?今回は24位で、ラテンアメリカではウルグアイの21位の後塵を拝しました。いつものようにラテンアメリカでは首位に立ってほしいのに。
コロンビアのテレビ番組を見ました。45分の番組でコロンビアとチリは似ているような国なのにどうしてチリでは汚職が少ないかを報告しています。政界、警察、一般人、学校を訪問し、正直に生きると言うのを小さなころから身につけると言うのが結論でした。続いてほしい習慣ですね。
日本はウルグアイの上の20位でした。日本もチリと同じレベルですね。