(政治)

1) バチェレット
もう野党だけでなく、与党側からも見放されたように見えます。何て言うのかな、レームダックでしょうか。誰からも頼られない見かけの大統領。あと1年半も任期はあるのですが。
息子夫婦のカバル社問題は、最近、マスコミに報道されていませんでしたが、今週は話題の中心、バチェレットに とどめを刺すと言うことになりかねません。 農地だった地所が宅地に替わると言う情報をその地区の役所から抜いて、チリ銀行から巨額の金を借り出して、それをもとに土地を買収、高値で売りぬいて商売を成功させたわけです。その役場の人間は贈収賄で起訴されています。
ところで同社の半分の権利を持つ息子の嫁はニュースに出ますが、息子は出ません。テレビ会社も遠慮しているのでしょうか。これが進むと息子夫婦の離婚になるかもしれませんね。
軍隊のスキャンダルも継続ですが、バチェレットは全く外に出てきません。
前陸軍長官のフエンテ・アルバが不正関連で取り調べられていますが、彼の妻が大掛かりな不正をおこなっていた疑いが浮上。彼女は以前、陸軍女性の会の会長でしたが、政府から譲り受けた地所・家屋を販売し、その代金の一部を自分の懐に入れた可能性があるとか。
コデルコ銅公社の売り上げの10%を軍に渡し、彼らの年金を極端な高額なものにし、こうして政府を騙すような不正が出ても見ぬふりをするバチェレット政府には開いた口がふさがりません。まだあと1年半も彼女はチリの大統領なのですか?
憲法改正、労働法改正、教育の無償化などの重要案件はほとんど進んでいませんが、妊娠中絶の合法化(強姦されて妊娠とか、妊婦の生命に関するとかの3条件の場合)に関しては5か月間の審査の後、上院の国会委員会で通過し、成立に一歩近づきました。キリスト教民主党内部やカトリック教会からのクレームが大きくなっています。
地方選挙が近づいていますが、ほとんど話題になりません。なんでも以前は国民の半数が自分の政治色を明確にしていたのですが(例えば、左翼、右翼、中道)現在ではそれはわずか20%にまで落ちたとか。私ももう支持する政党なんてなくなりました。右も、左もみんな薄汚いですから。
大統領選挙に関しては、候補者が出始め、社会党内では党首のアジェンデ、ボリビア関連の国際法廷チリ参与のインスルサなどが手を上げていますが、与党内で一番人気が高いのは元テレビキャスターのギジェーとか。
2) 労働者連合CUTの代表選挙
先週からの話題ですが、投票で一番投票を得た社会党マルチネスが勝ったはずなのに2位だった前職の共産党フィゲロアが3位のキリスト教民主党の人間と手を組み、私たちの投票合計は1位を上回ると言いがかりをつけ、再選挙を要求。
外から見ていて、よくこんなアホなことを公式に発表するものだと驚きます。 問題は今回勝ったマルチネスは以前その労働者連合の代表を務めた経験があり、ほとんど目立たないほどの低能力だったこと、共産党フィゲロアと違い政府との連携が薄いことです。
しかしなぜバチェレットは共産党をそれほど応援するのかな?いつまでたってもうまくまとまらない例の労働法改正では、まるでCUTにストライキ権を与えるのが目標のようです。800万のチリの労働者の中でCUTの組合員はわずか9%の70万人です。ねっ、なにかおかしいでしょ。
フィゲロアが外れそうになると年金騒動が急に収まってしまいました。私の予想した通り、共産党系のCUTがデモを組織していたのですね。
3) 9月11日
アメリカでもニューヨークで航空機ビル衝突があったこの日を追悼記念しますが、チリでは軍事革命の記念日です。
1973年のことですから、もう40年以上前のことですが、チリではやはり鮮明に人々の記憶に残っているようです。私はその6年後の1979年にチリに入りましたが、まだ夜間外出禁止令がありました。12時になると一般人は外を歩けません。チリの会社で働いて、同僚や部下のチリ人からその日のことをたくさん聞きました。アジェンデが失敗していることはほぼ全員が認識していたようですが、軍事革命がおこると見ていた人はほとんどいませんでした。軍事革命は、当時のチリ人には、意外な出来事だったのですね。
そのうちの一人のコメントですが、自分はその時20歳の前半だったが、軍隊に入っており、銃を渡され地区の警備にあたった。アジェンデ派のデモや抗議行動があれば発砲するつもりだったと。
今日、モネダ宮殿で記念式典が行われ、バチェレットやラゴスは出席、ピニェラとフレイは欠席しました。社会党の党首のイサベル・アジェンデはその自殺した大統領の娘です。バチェレットも父親を殺されています。
彼が自殺した部屋に飾りが置かれ、その前にバチェレットやアジェンデがバラの花を置きました。
そしてサンティアゴの一般墓地周辺でも抗議行動が行われました。43年たってもまだ行方不明の人間がいるわけです。その平和な行進に覆面部隊が浸入し、警察と衝突。いつものような終わり方になりました。
バチェレットはモネダ宮殿の式典の後、福音派の教会での儀式に出席しました。来週はカトリックの式典に参列します。