(政治)

1) 太平洋同盟会議
今週、チリ南部の観光地プエルト・バラスで会議が開催されました。開催地チリのほかメンバーのメキシコ、コロンビア、ペルーの首脳が集まりました。翌日のスペインの新聞の1面にラテンアメリカの政治傾向の転換と掲載されました。
その記事によると2005年にアルゼンチンで開催されたALCAの会議に参加したのはジョージ・ブッシュに対抗していた左翼連盟でした。キューバを筆頭に、南米でベネスエラ、エクアドルボリビア、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルと多くの国が左翼化したわけです。 そして現在、それが大きく変わり、アルゼンチンのマクリ新大統領は準会員として参加し 太平洋連盟と会話を始めました。ペルーの場合は、次期大統領も特別参加し他国の首脳と会談しました。ブラジルは大統領が職を外されており、暫定大統領は内憂が多すぎて、外に出る余裕はなさそうです。 
スペイン人記者はバチェレットと面談、それによると、
「あなたの支持率は非常に低いし、他国の首脳も同じ。つまりラテンアメリカの大統領は思想の右・左を問わず国民から支持されていませんが、どうしてですか?」
「ラ米だけでなく欧州でも似たような傾向ですね。私は国民に約束した公約を実現するよう働いています」
自由貿易協定は国内の所得格差を広げるものと考えられていますが、チリでも格差の拡大が問題になっています」
「一般にはそう言われますが、チリでは違います。だからこそOECDに加入でできたのです」回答になっているかな。
2) 教育問題
政府案に各大学の学長が反対を表明。教育大臣は、学長は政府案をよく理解していなようだとコメント。なんだか学長と学生代表を同じように扱っています。入学金を規制しようとする政府案を私立大学が反対、私立対国立の問題も再発。
議員の中から改訂案の議会提出を延期したほうが良いのではと言うコメントが出始めています。
そうなればバチェレットの面目丸つぶれですね。それを防ぐため、日曜日の夜にすべてのテレビ局を使って、バチェレットが演説、それによると「明日、国会に新法案を送ります。時間をかけず集中討議をして、もちろん議員・学長・学生と全ての層が議論に参加してより素晴らしい法案にしてほしい」どうなるでしょう? 
他に妊娠中絶法案、労働法案で与野党の諍いは続き、それだけでなく与党内でももめ続けています。
3) 議員裁判
与党の元議員・大臣だったインスンサは検察に呼ばれ5時間も尋問を受けた後、重大なエラーをしたことは認めるが、それは犯罪に当たるものではないと発表。鉱山大臣をしながら、国立(コデルコ)・私立(アントファガスタ・マイニング)の鉱山会社とアドバイサーの関係を持っていたことは許されるかな?
前大統領候補だったゴルボルンのケースは「落ちた右翼の星」と新聞に掲載されました。検察の訊問の後、報道陣に無言を貫きました。
選挙関連事項では、政界は投票の義務化、大統領の2回連続出馬の権利を認めるように方向転換していきたい様子です。


(経済)
1) 失業率
3か月の失業率が前回より上昇し6.8%になりました。2011年以降で最悪の数字です。一番問題の多いのは第2と3州で、これは2,3州に多い鉱山会社が大量に労働者の解雇を実施しているからです。今年度の第四半期は利益が70%も前期より下がり、大半のマインが赤字になりました。
不思議なことに今週の銅の価格は少し上がって2.17?、為替もチリペソは強くなって1ドル680ペソだったのが659ペソになりました。
2) なんだかチリは不況の真っただ中ですが、過去の成長率、つまり30年前、1985年と現在の国民一人当たりの収入を比較するとラテンアメリカの中でチリは断トツで600%アップです。2位はウルグアイ(460%)、3位はアルゼンチン(370%)でした。確かに幸運にも恵まれたのでしょうが、民政移管後、政治・経済ともに着実に成長してきたことがはっきりします。