(政治)

1) エイルウィンの死去97歳
今週はほとんどこの話題でもちきりでした。テレビも朝から晩までこれに関連したニュースばかり。
そんなに彼のことを褒めまくるなら、死ぬ前にそれを言ったほうが良かったのではないでしょうか。なんだか死んだ人を褒める形で政治運動をしているような気がしました。
彼は17年間続いた軍事政権の後、チリが民主化してからの初代大統領です。キリスト教民主党DC代表で選挙に入り、右翼代表を破ったわけですね。
チリの政治の歴史の話になりますが、アジェンデは投票で選ばれた世界で最初の左翼大統領と言われます。他の国では第1次選挙で過半数を取らないと上位2人が決選投票になります。しかしチリはそれがありませんでした。1970年のその大統領選挙で左翼のアジェンデが36%、右翼のアレッサンドリが35%、中道のトミッチが28%でした。トミッチはDC党員。決選投票があれば中道・右翼が合同しますから、アジェンデは勝っていません。
DCは軍事政権と共産党政権はどちらも嫌いだが、もしどちらかを選べと言われれば軍事政権を選ぶとしていました。  
私はソ連、中国、キューバとか共産・社会主義の国に住みたいとは思いません。もちろんピノチェットなどの南米諸国の軍事政権下や戦前の日本にも住みたいと思いません。
現在のチリはアジェンデ、ピノチェットの時代より格段に良くなりました。
アジェンデの娘は現在の社会党の党首ですが、私の父の政権時、DCが過酷な対決をしてきたとコメント。過去は憎しみ合った左翼と中道グループが大合併してチリの現在の民主政権を握ったわけです。
従って、エイルウィンの死を悼むとしてもDCの人間と社会・共産党系の人間では感じ方が異なるのは当然ですね。
DCの嫌いな私ですが、エイルウィンは馴染めました。ピノチェットと対決するのを避けながら、軍の圧力には屈しないとう姿勢が見えました。私はエイルウィンに投票しました。
それから今週死ぬまで、何十年間も同じ家に住んでいたと言うのが良いですね。大統領になると急に収入が増えて(正規の給料か賄賂か知りませんが)バチェレットも別荘をあちこちに持つとかしていますが、エイルウィンは地味に生きました。ウルグアイの前大統領と似ています。
彼は軍事政権下の人権問題を明らかにするため委員会を作りその報告書を受領しました。そしてそれを発表する時に公衆の前で涙を流し、チリで起きたこの人権侵害問題を大統領として謝罪したいとしました。                そのエイルウィンの葬儀でDC現党首が、今チリで起きている反政治家運動は、議員・政党が、公職についている人間としてふさわしくないことを実行していることが原因で、すべての政党・政治家は自分たちのふさわしくない行動を謝罪すべきとしました。もちろん、議員からそのコメントが葬儀の席にふさわしいものかどうか問題視されています。
2) 次は地方選挙ですが、焦点の一つ、プロビデンシア区の区長選挙で、長い間その区長をしていたラべが復帰を狙って立候補しますが、彼が所属している最右翼のUDI党は他の候補者を担ぐ見込み。彼は自分がピノチェット政権を支えていたのを嫌がり、右翼色を薄める動きを強めていると批判。右も左も同じということですね。
チリではこんなニュースがちゃんと報道されます。日本なら無理でしょうね。なんでも日本の報道の自由度は世界で72番だとか。アカンな。
3) 学生運動
エイルウィンの葬式のあった日に学生は街に出て反政府デモをしました。政府は教育の無償化を大きく打ち出したのに、結局はほんの14%の学生がこの援助を受けることが出来たとか。それでは公約違反だろうとクレームするわけです。