(政治)

1) 与党内の動揺
先週、突然に内閣官房長官(チリでは大臣と呼ばれます)が自己批判しましたが、その影響で、国会で厚生大臣を呼んで医療の現状を問い合わせることになりました。この議事について与党は大臣招集を拒否しましたが、キリスト教民主党の一部が賛成したため実現します。もちろん左翼系議員は政府内の意見の不一致を批判しています。
なんでも公約としている新病院の建設が大幅に遅れていることと医師の不足が目立ち、バチェレット政府にとって大きな問題になりそうです。
さて何度も右翼側の大統領候補になったホアキン・ラビンの娘が不渡り小切手問題で有罪になりました。彼は私の娘でも司法の前では一人の市民ですとコメントしました。親父が金持ちなら娘の借金を肩代わりしても良いのではと思いますが、彼は動かず有罪が決定。 
実はこれは大きな意味があるのです。欧州の新聞に、バチェレットの息子夫婦が農地不法売買で有罪になればバチェレットは大統領職を辞任することになるだろうとでました。
息子は大統領府の仕事を辞めるとき、自分のPCの記録を消すように指示しましたが、その消した記録を何とか取り戻すことが出来そうとか。そうなって彼の不正が明白になれば、バチェレットへの風当たりは現行程度ではすみません。
農地売買に関し、権力の使用(大統領の息子夫婦として)、賄賂、税法違反などいろいろの罪に問われそうです。
Eメールの問題は他にもあります。カトリック教のチリのトップの大司教と彼の前任の大司教の間のメールが漏れました。どこから出たのか分かりませんが、二人は神父の年少児の性的いたずら事件を真摯に考えていないし(被害者をカトリック教会にダメージを与えるとまでしています)、各地の神父の動向などに関してかなり程度の低いやり取りをしていた由。
毎年、9月18日の建国記念日に行われる大聖堂ミサには政財界のトップが出席しますが、キリスト教民主党議員から今年は参加したくないとか、この大司教は辞めさせた方が良いとの意見も出ています。もちろんプライベートのメールをあれこれ言うべきではないとのコメントあります。
しかし一般市民の前で「神の愛を・・・」とか言う人が、誰もいないところでは、何を言っても良いと言うのはどうでしょう。最後はローマ法王の決断ですね。
カトリックに先立ってこの日曜日にプロテスタントのミサがあり、バチェレットをはじめ政界の主要メンバーが参加しました。そのミサでチリの現行問題として、まず汚職の削減・軽減が図られるべきとされていました。
2) 今週の一般市民の意見調査で、数社が個別に調査をおこなっているのですが、バチェレットの人気が下がっているのが確認されました。政府のスポークスマンは私たちにとって望ましい状況ではありませんと本音を出しました。バチェレットは顔を出しません。
外交問題では9月24日にオランダのハーグ国際法廷でボリビアの海問題の第1判決が出ることになりました。これでボリビア要求は根拠がないとなればチリの勝利ですが、そんなうまくはいかないでしょうね。国内では相変わらずマプチェ問題です。テムコのインデイヘナ事務所を21日も占拠していたマプチェをとうとう排除しました。彼らは政府は私たちと面と向かって話をしないとしていますが、政府は何度話し合いを呼び掛けても回答がなかったと反論。いやはや。それにしても先日のトラックデモから政府のマプチェに対する態度が明らかに変わりましたね。
3) 国会
大筋は決まっている教育法改正案で、退職金について与党側から追加案が提案されました。これが通過すると政府にとってまた大きな負荷になります。しかし自分たちの財布の中身も考えないで大盤振る舞いとは、考えられないレベルの議員がいますね。いやこれは現行バチェレット政権をこっそり倒そうとする味方の企みかな?