(政治)

1) 新政権
バチェレットは政権2年目に入った現在、政権第2期として気持ちを入れ替えて国の経営に当たるとしました。そしてそのスローガンを「すべてをチリのために(todo por Chile)」としました。
しかし漏れてきたのは以前に大統領候補だったフレイの選挙スローガンが「すべてをチリのために」、全く同じですが、その同じ広告会社を雇用して同じフレーズを選ばせ、なんと2千万ペソと多額の費用を支払ったとか。バチェレットとその会社に何か関係があるのでしょうか? 
ボリビアの海問題でローマ法王から援護の印を得たとするモラレス大統領は世界のカトリック信者はボリビアを応援していると、どの会議でも話しますが、チリ側は勝手にしなさいと相手にしていません。
2) 5つの州で州知事が交代になりました。内務大臣がそれを今週発表しました。問題が起きている(起きそうな)州の知事を外し、ほかの人間を任命したのですが、与党側の政党はちゃんとした相談がなかったことをクレームしました。また社会党2名や社会民主党3名は入れ替えがあったのにキリスト教民主党はなかったのは内務大臣が所属している党だからではないかとか。
任命されたうちの一人がたった2日で辞任しましたが、その人間は刑事問題などを抱えていたと言われ、いつもと同じで任命するときの事前調査がきちんと行われていない問題を暴露しました。改善すると言っても全然良くなっていないわけです。          
3) 公約問題
税制・教育・労働の3方面で法の改正を行うと約束しその実現に向けて政府は国会と連動して活動しています。
しかしそのいずれもが予想したような方向に進んでいないことが現政権の落ち込みの要因になっています。
教育問題では大学の無償化について予算の問題から、当面は公立大学を中心に実施していくことになっていますが、私立大学はそれでは来年度の入学希望者が激減するのではないかと疑惑を表明、これに対し公立側の受け入れ学生数を大幅に増やすことはないから心配はいらないと政府はコメントしています。しかしそれらの大学の取り扱いが不明瞭で、識者のコメントですが、「これは教育の無償化ではなく、いくらかの学生の特別扱いだ」と冷たい見方。政府も無策ですね。
教員組合のストは50日になってまだ継続し、いったいどうすればストが終焉するのか組合側も政府側も明確でありません。
労働組合のスト権についても、与党内のDC党は一部の項目にはっきりと反対を表明しており、同じ与党内の共産党と向かい合う様子。両党の亀裂は明白で、与党分裂の瀬戸際まで行くのは時間の問題でしょう。問題がなければ両党は手を握れますが、このように政府公約が危なくなって来れば両方とも意地になって相手を攻撃しますから。
バチェレットにリーダーシップが無く、国民の信頼を失った現在、各政党は生き残りをかけて失敗を他人に擦り付けようとするのは必然。それがチリの政府・与党の実態です。
景気回復が遅れれば、すべての政府案のベースが失われ、援助計画は絵に描いた餅になってしまうわけで、3公約を押し進めれば進めるほど失敗の可能性が高くなる矛盾をはらんでいます。