(政治)

1) バチェレットの年間教書
先週のチリの風でバチェレットに後ろから指示または示唆をしたのは誰かと書きましたが、それをずっと考えていました。もちろん、それは個人かグループの可能性があります。またチリ在住か外国かもしれません。バチェレットは選挙資金集めにアメリカで活動をしていますし、そこの国連機関で活動していましたから、そこのチリ人・アメリカ人とのコンタクトは豊富です。例えばある政治評論家が彼女の現在のチリのケースはxx国と類似ており、その時は内閣の大改造をして切り抜けたというプランを出したことは考えられます。
しかしそれより可能性が高いと考えられるのはチリでのケースです。彼女の仲間レベルなら、最近、社会党の党首になったアジェンデ(彼女は軍事政権に倒された元アジェンデ大統領の娘)なども考えられますが、私の考えたのは元の大統領(彼女の先輩)です。民主化してから現在は6代目ですが、彼女は2回目ですから、ほかには4人の元大統領。その一人は右派ですから、それを除くと3人。最初の大統領エイルワインは90歳を超えた老齢、あとの二人はDCのフレイと社会党ラゴス。そこで私は老練ラゴスがバチェレットに作戦を授けたと考えました。私個人の想像ですが。
彼がバチェレットに電話をかけます。   
¬「ねっ、言ったとおりでしょ。内閣大改造をして良かったね」         
「今のところ、そのようですね」

さて本題に戻りますが、めまぐるしい政界異変は実は今週も継続。もう小説の世界を超えています。
でもその前に5月21日の国会での教書発表について考えます。彼女は貧富の差の縮小を大統領選挙の候補者の時に訴えましたが、事実は全く逆の方向へ向かっています。OECDの発表で加盟国の中で最も貧富の差が大きいのはチリとなりました。所得上位の10%層は下位の10%の26倍の収入があるらしい。2000年頃は、つまり15年ほど前は、ラテンアメリカの中でチリより貧富の差があった国はいくつもあったのに、ここにきてチリが最悪になっています。近年、チリは確かに少しは裕福な国になったのですが、格差の是正は全く起こらず、逆の方向に向かったわけです。
大統領教書は年に一度、国会でこの日(イキケ海戦の日)に発表されます。しかし長すぎた。私の最初の印象がそれです。1時間45分、彼女の演説は続きましたが、参列の大臣や議員もうつらうつら、または携帯で誰かとチャットしているのもいました。
内容は一般的には攻撃的なことはなく、行事は何とか無事に終えたとされますが、経団連などは不況脱出の方法が全くないとクレームしています。目立ったのは大学教育の無償化で学生の60%がこの恩恵を受けるらしい。もっとも公立大学だけで私立大学は蚊帳の外とか、それから財源が表明されていないので実現可能かどうか不明朗とか言われています。
電気代の格差がひどいとか。住民の多い首都圏と田舎を比べると同じ電力量使用で3倍もの差になるらしい。これを最大10%の差に抑えるとしました。政府が差額を払うのではなく、サンティアゴの電気代を少し値上げし、その分を地方の値下げ使うということらしい。 
また年金生活者の医療保険代は年金の5%が自動的に徴収されていますが、貧困家庭の場合その5%を免除するらしい。来年の教書発表の前にこれらがどう実行されたか発表してもらいたいもの。
バチェレットの家族はいつもの通り式に参加していましたが、例の息子夫婦は人前に出るのを避けました。無理もないですね。式に行けば、母親より注目されてしまいますから。
2) 税務局の長官更迭
彼が怪しい、危ないとかなり以前から噂されていましたが、バチェレットが彼を保護する発言をし、先週も新大蔵大臣が更迭はないとコメントしました。
にも拘らず、今週、政府から突然、彼に任意辞任をするよう依頼が出ました。彼は自分にはやましいことはないから辞任はしないと拒否。政府は仕方なく強制的に辞めさせました。なんでも新大蔵大臣は君がそこを辞めれば大蔵省に君の席を用意すると飴も用意したのですが、彼も意地を見せました。
そして、ここが大ニュースなのですが、辞めたばかりの彼は政府に攻撃を開始しました。最初、ペンタ銀行関連で政治寄金(選挙資金)の問題が出たとき、対象はほとんど野党側の議員でしたが、ソキミチ鉱山関連の場合は与党側にその風向きが変わりました。その時、内務省が彼にソキミチ問題はあまり触らないように指示を出したというのです。
もちろんこれは大問題になりますね。その内務大臣は先日、首になっています。その元内務大臣も、この元税務局長官も近日中に検察の調べを受けますが、彼らが協力していた集金係りのマルテリももちろん検察に呼ばれています。
バチェレットは「もちろんマルテリを知っているが、彼が私の選挙運動の時、どんな役割をしていたか記憶にない」と逃げていますが、もちろんそれは嘘でしょうね。嘘はばれますよ、もう少しで。マルテリの組織の全容が明らかになってくれば、それこそバチェレットさんは落ち着いて眠れなくなりますね。

3) 中国首相の訪問
李首相が南米訪問中ですが、彼がチリに到着する前からマスコミをにぎわしています。この10年間で中国が実施した南米投資の中でチリは3番目ですが、ペリーはチリの4倍、ブラジルには8倍も投資をしています。今回の南米訪問でもブラジル・ペルー間に大陸横断鉄道の建設を始めると合意したそうですね。
チリ政府としてはどうしてチリともっとネゴをしないのか問い合わせるため彼の到着を今か今かと待っているわけですね。少し前に日本と韓国の首脳が来たときほとんどマスコミに報道されなかったのと大きな差があります。
そうそう先日、日本から西銘総務副大臣がチリ訪問をしたそうですが、全く報道されませんでした。