(政治)

1) バチェレットの辞任の噂
バチェレットは外人記者を招待して朝食会を実施。その席で私が大統領職を辞任するという噂があるが、そんなことは考えたこともありませんときっぱり否定。でもなぜチリ人の記者の前で話さず外人の前でそれを話題にしたのでしょう。
ニューヨーク・タイムス紙にラテンアメリカの中でチリが一番汚職の問題が少ないと言う記事が掲載されました。先週、チリに問題はあるが他国よりましと書きましたが、同じことをNYタイムスが1週間後に確認したわけです。私がチリファンクラブに入っているからチリは隣国よりましと書いているわけではありません。モーガン・スタンレイ社もチリ国内の将来を憂慮する動きはやや過剰と言えるとのコメントを発表しています。日本ではラテンアメリカと言えばノー天気と思われますが、そうでもないわけですね。逆に世界で1番借金の多い日本でこうした悲観論が聞かれないのはどうしてかな?私がいたころの日本と今では日本人の考え方に大きな変化がありますね。とりあえず、がんばれチリ。
しかし面白いことは連日続きます。
国家監査委員会(政府とは独立の組織)のトップが、8年間の任期を終えましたが、最後に「チリに汚職の問題があることに目をつぶることはできない」と発表。
これを受け内務大臣は、「政府としてこの問題に注目しなければならないことは認識している」と対応しました。
もっとも共産党の議員が、「何かおかしい。銀行や鉱山会社の不正支出問題は今年始まったのではなく過去数年続いている。それを過去には問題視せず今になってコメントするのはほかの視点があるのではないか。バチェレットが税制改革、労働法案作成など実行中なので、それらに反対する経営者がバチェレット降しのため作戦を立てたのでは」見方を変えると途端に正邪が逆転するわけですね。いやはや。
ピニェラ前大統領が現在チリには政治・経済ともに問題があり、これを解決しようとしなければ将来に禍根を残すと発表。状況を利用しての宣伝でしょうか。
彼女の息子夫婦が問題になっていますが、その嫁のほうが検察所に出頭し、なんと9時間の質疑応答があった由。まるで拷問ですね。彼女はバチェレットさんに迷惑をかけて申し訳ないと謝罪しています。自分は無罪ですともコメント。
新聞にその様子が詳しく報道されましたが、驚いたのは土地の売買で上がった利益の半分を二人のUDI党関係者が持っていくことになっていたとか。彼らはその土地の売買で多額の利益が生じることを知り、誰かを利用してそれを実現させようとしたことになりそうです。バチェレットと敵対する党の関係者ですよ。まさかUDI関係者がバチェレットを痛めるためこの事件を作り上げたということはないでしょうね。
それから息子夫婦の会社に働いていた人間がチリ銀行から資金を借り入れするときにバチェレットもかんでいたとコメント。さらにひどいのはそのチリ銀行(ルクシック・グループ)関係者が現在の内閣に4名も入っているということです。鉱山大臣は以前ルクシックグループのアントファガスタ港の重役をしていたとか、大蔵大臣の名も挙がっています。
この先どうなるかな?
2) 第7回アメリカサミット
今週、パナマで米州首脳会議が開催されました。アメリカとキューバの和解が話題になりました。半世紀ももめていた両国が明快な理由もなくまた握手をしたのが不思議。つまり今までの敵対関係が意味がないものだったということですね。カストロ議長の演説をテレビの生中継で見ましたが、帝国主義などと言う言葉がすぐに出てきて、昔の学生運動の頃を思いだしました。さらにベネスエラの援護、アルゼンチンのフォークランド問題を取り出したので、次はボリビアの海かと思いましたが、それはなし。しかし年はとっているのに厭きないで同じことを続けるのは大したもの。
バチェレットは出席予定でしたが、国内情勢を見て急きょキャンセル。世界が注目するその会議に目立ちたがりの彼女がいかなかったのは不可解です。先日はわけのわからぬ外遊をしています。水害の時は北部に2度も訪問したのに、国外のパナマに行くとその間に何が起こるかわからないと先読みしたのでしょうか。それは何だったのかな?どこかでその理由がばれると思います。
現行の政治問題を解決するため、少なくとも軽減するため、与野党が集まりましたが、最終的に合意事項は出ませんでした。誰の目にもそれって問題もみ消しのための怪しい動きに見えますよね。
それでも少なくとも合意に達したのは、問題解決のために大統領が先頭に立ち活動していくことが必要と言うことらしい。第1次政権の時からバチェレットにリーダーシップはありません。彼女は周りのバランスの上に立ち、愛想のよいおばさんと言う雰囲気で市民の票を集めたわけですね。
今回の政治危機に何をすべきかまだ彼女は明確なビジョンを持っていないので、国民の前に立たないのでしょう。不正は認めないという方針を明確にし与党野党の別なく厳正に処理するとし、民間会社の場合は法にのっとて処分を加えるとすればそれだけで明確になります。銀行関係者が刑務所に入っていますが、議員は誰もそこに入っていません。
それを実施するだけの力が彼女にあるかな?リーダーシップって彼女がそれを実行するのではありません。方向を明確にして部下に実行させるわけです。それがリーダーの仕事です。
3) カセリの解雇
チリのスペイン大使館でスポーツ担当の顧問をしていた元チリ代表のサッカー選手のカセリは「同国の政党がベネスエラから寄金を受けていたことをどうしたものか」とコメントしたので解雇されました。チリ政府がスペインに気を使ったのでしょうね。別に彼がそのコメントをでっち上げたわけではないのでしょうが。先日、チリのウルグアイ大使がチリ政府を批判したとき、注意は受けましたが解雇されなかったのは、彼が共産党員だったからでしょうか。