(政治)

1) バチェレットの息子問題
今週はこの話題ばかりでした。バチェレットは湖の一番奥の別荘でマスコミとまったくコンタクトしませんが、これくらい重苦しい休暇は今までなかったでしょうね。一日も休めず、情報収集と分析に時間を取られ、大統領官邸にいる時よりコーヒを飲んだという感じ。(見てきたような嘘をつき)
新聞の報道で、彼とその妻はいくつもの会社を持ち、その内の一つが問題になっています。資本金6百万ペソの会社がチリ銀行から65億ペソ(1千万ドル)の貸し出しを受け、農地を買って、その農地が家屋の建築ができるような用途変更の許可が出れば売りに出して大儲けをするというストーリーです。夫婦でチリ銀行のオーナーと面談し、融資が受けられることになったらしいが、そんな小会社が大銀行のオーナーに会ってもらえるわけがない。つまりこれはバチェレットの息子というタイトルで仕事をしていると野党側が批判しているわけです。  
確かにチリ銀行から融資を受ける前に、他の3つの銀行は要請を断っていたらしい。チリ銀行から融資を受けたのは2013年12月13日。母親が大統領になると決まった2日後のことです。他の銀行は冷静に考えて融資を断ったのにチリ銀行は政治的に考えて融資を決定したわけでしょうね。
その土地の用途変更が決まれば10倍の値段で売れたらしいが、彼らはその前に無理をしないで95億ペソで売り切り、銀行には借りた金と金利の5億ペソを返し、自分たちの懐に25億ペソが残るらしい。1年間で5億円ほどの利益ですよ。
野党の要請で、そのダバロ(息子の名字、セバスチャン・ダバロ・バチェレット)は財産を発表しましたが、36歳で一軒家、別荘、空き地(家の建っていない土地)を所有し、株も持っているし、車も何台も所有。よほど才能があるのでしょう。銀行からの借入金があるにせよかなりの資産家。ただし銀行口座の額は公表なし。
野党側から、「ピノチェットが大統領だったころ、彼の息子が同じように金もうけに走って、野党(今の与党)はその批判を繰り返していましたね」と軽いジャブ。つまり私が日ごろ言っているように政治家は右も左も同じです。
で、結果は・・・・子供を連れて夫婦で、彼の母親の別荘に行っていたその息子は一人でサンティアゴに戻り、モネダ宮殿(大統領官邸)で短いメッセージを読み上げました。そこで文化担当部門の理事として働いているのを辞任すると発表しました。「私は全く犯罪を犯したわけでもないし、法にのっとって行動してきたが、昨今の大統領・政府批判の動きを見るにつけ、自分の進退をはっきりさせたいと考える」と結びました。しかし政府官僚として働きながら、3つの会社に顔をだしているのは通常では認められないはず。普通の私営企業の管理職でも許されません。これからどうなるかな?
その息子はバチェレットが東独に亡命していた時に生まれていますが、彼らがチリに戻ってきたのは1979年。私がチリに入国したのと同じ年です。 
政府側はバチェレットはこの件をまったく知らされていなかったと援護・保護しています。
「お母さん、たった1年で5億円も稼いだよ」「そう、私より商売うまいわね」「やっぱりお母さんのおかげだよ」「そんなことないと思うけどね」(見てきたような嘘をつき。あっ、2回目か)