(政治)

1) 内憂外患
バチェレットには頭の痛い毎日が続いています。彼女の政権の2大課題は教育問題と新税法ですが、その両方に黄色の信号が点灯しています。                 
教育関連では学生連盟が明確に反政府を打ち出し、木曜日に大規模なデモが行われました。バチェレットの前の政権の時に学生運動を処理できず社会問題になりましたが、また同じことが起こるかも。そのデモで先の選挙で選出された元学生運動家の国会議員ボリスが警察権力に対する違法行為を行ったとして逮捕されました。「私は学生時代何度もデモに出たが、逮捕されたことなどなかった。学生デモを見守っているだけで逮捕されるなんて、どういうことか。それから警官から暴力行為を受けたのは容認できない」とコメント。
学生側は「政府は腰を据えて将来を見ること。新税法の時と同じように安易に右翼の野党とおかしな交渉をするな」     
学生が校舎を占拠する問題で、占拠により正規の授業が出きなくなると父兄から出された排除要請を受理し、審議の結果、裁判所は占拠を違法としました。サンティアゴ区の前区長はすぐに警察を導入して占拠を排除しましたが、現区長(社会党系)は学生の権利を警察に渡す訳にはいかないと占拠を容認するコメントを出していますが、裁判所に学生の占拠権を認めるよう再審議を要請しました。訴えた側の父兄はこれには空いた口が塞がらないとしました。学生はさらに教育省のビルに押し掛け占拠。彼らもやる気十分です。 
まだあってUDI党からチリ共産党がべネスエラから多額の資金を受け入れて、ある大学を実質的に支配し、それを利益目的の商売にしていたと言う訴えが出ました。大学の理事を共産党党員が占めているなどは調べればすぐにわかることで、もしUDIの訴えが正しければ、教育を利益の対象にするなと街頭に立って扇動している共産党がその大学でやっている行動は支離滅裂と言うか、わからなければ何でもやるかのどちらかでしょうね。
さてもう一つの問題ですが、新税法関連では野党側から「景気後退は誰の目にも明らかで、現在政府がするべきことは景気回復のための政府投資もしくは投資援助なのに、この新税法で増税をアパールしていることから、民間の新規投資欲を壊滅的なものにしている」と激しい抗議。
前大統領のピニェラがこれに口を出して、「新税法のおかげで、まだ始まっていないが、チリ経済に大きな損失を犯してしまった」と攻撃。ついでに「バチェレットの人気は個人的なもので彼女の政策は失敗続き」と厳しい批判。     
政府側から内務大臣が、「次の選挙の大統領候補になりたいのだろうが、もう少し世間の様子を見ながら発言すればよいのに」と軽くバカにされていました。これに反撃してピニェラの娘が「内務大臣は次の選挙に出たいので、私の父を過小評価するのだ」と批判。どっちもどっちですね。
木曜日、政府は特別閣僚会議を開き、現状の認識とその改革をどうするか話し合った模様。その後の記者会見で大蔵大臣は「景気後退は2012年末から始まっており、私たちの政府のもとで始まったのではない(責任逃れかな?)。私たちは公共投資を積極的に行っており、今年の上半期のそれは前政権の2013年の同時期よりはるかに多い額になっている。つまり問題に対する対処の仕方は前政権より積極果敢であることが証明されている。心配しないでも2015年にチリは良くなる」こんな説教?で国民を説得できるかな。
外憂の方はペルーが新しい地図としてチリとの国境の紛争地点を自分たちのものとして発表しました。今までの地図にはそこはチリ領になっていました。あのハーグ法廷の裁判では領海が審議されただけでこの領土問題には踏み込まれていませんでした。チリはどうでるのかな?
2) イスラム国軍のジャーナリスト殺人が問題になっていますね。日本人も一人捕獲されているようですが、ガザ、シリア、イラクとか中東に住むのは大変な苦行ですね。       
ところで中国の周主席がモンゴル訪問しました。エネルギー関連の商売でしょうね。最近、中国の大気汚染が騒がれなくなりましたが、モンゴルから輸入している石炭にウランが入っていることが分かりました。既に中国で使用された石炭に含有されていたウランは50万トンを超えるだろうと推定されています。石炭を発電や暖房に使う中国人はPM2.5の大気汚染の他に原子力汚染も身に降りかかっているわけです。その灰は風に乗って日本に来るし、モンゴル石炭の輸出先に日本も入っています。  
もっとも福島原発の事故は3年も立った今でも、まだ何をすればよいのか分からない壊滅的な様子で、この先、汚染水を海に流せば、世界の目は日本に厳しいものになるでしょうね。