(政治) 

1) 革命40周年
9月11日はピノチェットの軍事革命40周年でした。毎年、この前夜に大騒動が起こっていましたが、今年は意外と穏やかでした。事件は全国各地でありましたが、規模が小さい。
それともう思想的な争いから、たんなる泥棒集団の暴動になっています。確かに私がチリに来たころは、その夜、軍事政権反対の執念をもった集団が抗議の声を上げていましたが、現在では道路の封鎖、商店への乱入など日ごろの欲求不満の解消行動にしか見えません。グループが学校に侵入して機械・道具を盗むなんてどうしようもないですね。来年から、一層この傾向が強くなるはずです。
軍事革命のあと、国外逃亡を強いられた人たちがニュースにでていましたが、ある日突然、外国に住み始めるのですから簡単なはずがありません。その数は軍事政権によると2万人、人権委員会の見通しでは40万人とか。全然違う数字ですが、大変な数ですね。
チリの軍事革命を良く思わない米国は反政府側に資金の援助。それがキリスト教民主党に来ていたらしい。もちろん逆のほうではソ連キューバがアジェンデ左翼政権側を助けるために擦り寄っていたわけですね。今のシリアの問題でも同じような状況です。アジェンデ政権が倒れたときに、キリスト教民主党が反アジェンデで行動していたという点が論議されていますが、アメリカから資金をもらって反アジェンデで動いたのは事実でしょうね。その後彼らは社会党などと組んでチリで左翼・中道として政権を20年間握ることになりますが。
先週、軍事政権時に過ちを犯したとして政権・司法の一部から自己批判がでましたが、今週は新教エバンへリカ教会の建国記念集会でピニェラや大統領候補者を前に大司教が説教し軍事政権時に私たちの教会も間違いを犯したことを認め、お許しを請いたいと発言しました。
ピニェラの自己批判から始ったこの傾向ですが、テレビの番組に出演したピニェラはこれは自軍の大統領候補マテイに悪影響しないかと聞かれると彼女は私と同じ考えの人で、正しいと信じたことを実行しますと、分かったような答え。88年の軍事政権継続可否の国民投票にピニェラはNO、マテイはYESと投票しています。
2) 大統領選挙
9名の候補者は今週も各地を廻って票の確保に懸命ですが、「9月11日」の前には重要性が少なく、候補者の動きはマスコミにあまり出ませんでした。来週も「9月18日」の前に霞むでしょうね。
ただ第2州の与党側の国会議員候補クルス・コケが候補者資格がないとされ失格にされたのは大きく報道されました。彼は文化大臣をやっていましたが、大臣職を辞めて1年以内は候補者になる資格はないとか。しかしこんな簡単なルールをどうして無視したのかな?
例の与野党が一人ずつ選ばれる選挙制度を改正する討議が国会で進んでいますが、議員は投票の多い候補者が勝つ通常の新制度を認める前に、議会の定員を増やす動きを見せています。そんなの国民の意見を聞いてやってほしいですね。自分たちで議席を増やすとか給料を上げるなんて、手前味噌と言うのではないかな?そういう議員を次の選挙で落としたい。