(政治)

1) 大統領の人気
今年初めての世論調査の結果が発表になりました。ピニェラの人気は先月より1%下がり33%、一方彼の仕事を認めないとする反対票は57%と半数以上。歴代の左翼・中道政権の4代大統領と比較して、ピニェラの仕事レベルが低いとは思えませんが、人気のないのは歴然ですね。左翼の人間が右翼を嫌うというのは分かりますが、ピニェラの場合、不人気の理由は個人的なものでしょうね。付き合いが悪い、笑っていても「見かけだけ」がすぐに分かります。
彼はランコ湖の別荘で休暇に入りました。馬に乗ってその辺を散歩しているようです。チリ南部の夏を楽しんでください。休暇中も時々仕事も入っているようですが。
野党側のほうで次の大統領選挙に立候補したい人間が続々と現われ、今のところ6名。前大統領のバチェレットは選挙に出るかどうかはっきり態度を示していませんが、野党の候補者難はありません。もっともその6名が野党側の候補者になるかどうかは分かりません。とにかくバチェレット以外では野党連合をまとめられないと、ほとんどの政党が認識しているようです。

2) 与党内部の対立
先の選挙制度で与党内のRNと野党側のDCが合意案を発表したことから与党側のUDIとRNが激しく対立しています。これが継続・悪化すると与党連合の崩壊につながります。社会党の党首が、ピニェラを拒否する国民は半数以上、それでは大統領の職は勤まらない。また政府を支える与党の2党が対立しているのに大統領は何もできない、これで大統領の職が勤まるのだろうかとコメント。もっとも国民の声では半数以上が大統領を支持しないと言いながら、野党連合も支持しないとしており、国民の政治離れが明白。えらそうに政府にいちゃもんをつける社会党の委員長にも責任あり。

3) 外国(ペルー、アルゼンチン)とのいさかい
ペルーがチリを領海問題で国際法廷に訴えていますが、その判決が近づいてきたのか、今週、チリ人を二人違った場所でスパイ罪で逮捕しました。何でも軍事施設を写真撮影しようとしたらしい。私は公平な立場ではなく、チリ側なので、ペルーの新聞が「チリ人はスパイ罪を認めた」と書いているのを見ても、でっち上げとの印象を受けます。路上に絵を描いて生活を立てる旅行者が基地の写真を撮って何か値打ちがあるのでしょうか。基地の中の秘密施設に入り込んだというのなら分かりますが・・・。彼は釈放されましたが、もう一人は依然、拘留されています。でもそんなスパイ罪で、ハーグ法廷がチリに悪印象を持ち、ペルーに有利な判定を出すとはとても思えませんが。
しかしアルゼンチンとの問題はこの先深刻化しそうです。フォークランド戦争から30年ですが、イギリスが皇族ウィリアムをその島に送ってヘリコプターのパイロット訓練をするなどアルゼンチン嫌がらせ作戦を取っています。30年前にサッチャーピノチェットが組んだ共同作戦が公けになってきています。現在のピニェラとフェルナンデス政権はそれをどう評価するか迫られます。
つまりチリにとってアルゼンチンは依然として敵国だからイギリスを支援するとするのか、他の南米の国のようにアルゼンチンの側に立ってイギリスと対決するかです。ピニェラの苦しい決断ですね。
その島にはイギリス人以外ではチリ人グループが約300名在住して外人としては最大グループ。それから週に1度、ランチリ航空が便を飛ばしています。そのサービスを止めるようアルゼンチンは圧力をかけてきています。