(政治)

1) 教育問題
チリ大学などの伝統大学の84%は授業を開始しました。私の娘も登録をすませました。通常なら12月始めに今学期を終えますが、今年は来年3月まで勉強とか。ストのなかったカトリカ大学だけは通常どうり12月に今年度を終了らしい。
さて問題になっている、勉強に金がかかりすぎるという点ですが、私立大学の今年の入学金は歯学部で平均5百万ペソ、医学部で4.7百万ペソ、建築で3百万ペソ。しかしこの金額はチリの通常の家庭では払えませんね。
国会で来年度予算を巡り与野党の争いが続いています。政府は追加予算として3億5千万ドルを用意とか。野党はそれでは不足で少なくとも10億ドルの追加が必要としている。それを引き出してくる増税案も討議する必要がありますね。

2) 政府と司法の対立
この問題も続いています。内務大臣のハンスピーテルは検察幹部のチャウアンを モネダ宮殿に呼び談合。警察が逮捕した凶悪犯罪人を検察が釈放するとか、裁判所が安易に釈放し回転ドアといわれる状態が一向に改善されないが、これは何が問題なのかと詰問。
これに対し、検察・最高裁判所などは三権分立の原理を政府は理解していないと強い抗議を表明。なんでも麻薬関連で逮捕されながら、一度釈放された犯人を政府の指示?で再逮捕した例もある由。また8月のデモのとき、警察がデモ隊に発砲し、その弾が見学していた人間に当たり即死した事件がありましたが、その警官が釈放になりました。ピニェラは明確に内務大臣を指示する声明を出しました。
これとは直接の関係はありませんが、かなり前から問題になっていたカトリック神父カラディマの裁判で判決が出ました。彼が1960年代から数名の少年に強制的に性的行為を行なっていた事実を認めながら、つまり有罪になったのに、刑務所送りにせず結審にしました。彼はバチカンから有罪判決を受け、教会の施設の中で蟄居しています。

3) 旧軍事政権時代、秘密警察DINAと言うと泣く子も黙る存在でした。その中核のクラスノフは73年9月11日の軍事革命の日、アジェンデの自宅を襲う任務を受けていましたが、その後も共産党員の拉致・殺害に手を染めましたが、最後は人権問題の裁判で144年の懲役刑を受けています。その彼を応援する運動をプロビデンシア区のラベ区長が計画し、ピニェラもそれに参加するやに発表されました。
そうか教育問題で、野党側(左翼)が政府にたてつくので、政府は極右の彼を応援すると言うことで左翼との対立を明確にするのかと思いました。
ところが、世論がそれに反発し始めると大統領は参加を拒否し、右翼のUDI党さえも区長の越権行為を批判。はしごをはずしてしまいました。
ここは大人しくしておこうと右翼側は波風立てないことにした様子。もう選挙が近いから、左右ともいろんなことがありますね。