(政治)

1) 労働組合のスト
水曜日と木曜日にCUT組合の全国ストが実施されました。
2日間のデモでチリの現実が明らかになりました。将来性に乏しいということです。問題があると言うのがわかったならそれをどうするか考える必要がありますが、現状は問題があるのははっきりしているがそれをどうするかについて見通しがありません。バチェレット政権時の大蔵大臣で、次の大統領候補になっているべラスコは、自分が大臣をしているときに起こった労組のストに「国にダメージを与えるだけの反社会行動」と決め付けましたが、今回は「彼らの側に立って政府に抗議したい」とコメントしています。        今回の労組のストは盛り上がっている学生運動の助けを借りたものだとする批判もありますが、それでも全国で多数の公共事業・役所・病院などの職員が参加していました。
しかしそれだけの動員ができるということは国民から支持を受けているのかと見ると、そうではない感じがします。  つまり国民が二極化し、デモに参加したり、夜に鍋をたたいて政府の政策に反対の姿勢を明らかにするグループと、毎日仕事に行くのにデモで交通がストップするのは大きな迷惑だとするグループに分裂しているわけですね。
テレビのニュースはこれらのデモ、商店の略奪事件、銃弾による死亡事故などを大々的に取り上げていますが、もう同じようなニュースは見たくないとする見方もあるらしい。

さて現在のチリの問題の基本は教育問題です。既にチリの風で書かれていますが、過去20年の野党側政権時代に教育問題は大きな改善がなかったことは明白で、彼らが現政権を批判しても迫力に欠けます。つまり与野党ともに問題を解決できる力がないことを証明しており、この先どうすればよいのか、何ができるのかについて明快な指針が出ていません。
社会党の党首アンドラーデなど党の規律委員会から党首としての資格を疑問視されているとか。党首としてどう党を運営しているか党員に適切な説明がないかららしい。それではアカン。
来週の火曜日、学生代表がピニェラと面談することになりました。学生側はとうとうピニェラも自分たちの力を認識したのかとコメントしていますが、あまり思い上がるのはどうかな?ピニェラははっきり彼らに出きる事・出来ないことを伝え、その結果、多くの学生が留年してもそれは君たちの責任だと伝えるべきでしょうね。
ピノチェットが軍事革命を起こしたとき、大学などは社会主義者の巣窟とし弾圧を加えました。民主化してから大学などの教育は利益の出る事業とする認識に変わり、私営企業が大学などに投資を始めました。それを現在、教育は投資の対象とすべきではないと学生がクレームしているわけですね。しかし軍事革命が終了後20年間、与野党とも、同じ顔ですが、同じ問題を討議してきて、ほとんど進展がなかったのは歴史的事実。次の大統領選挙でバチェレットが再選されれば今度は右翼側が、今と同じ学生運動を後ろからあやつって社会問題化させるでしょうね。いやはや。
学生のハンストが終了しました。しかし厚生大臣は彼らのうち本当にハンストしていたのは一人だけで他の学生は隠れて食糧を口にしていたと発表し、学生側ともめています。大臣がそれを発表したのは30日もハンストして大半の学生は体重が減少していなかったからです。野党側はこんな発言があれば次回からのハンストは学生が死ぬまで続けなければならないと反発しています。          

2) 健康保険  
年金を受領するとき、現在では自動的に7%の健康保険費用が差し引かれます。これが今年11月から年金受給額の低い人は7%を払わなくてもよいことになりました。懐にその7%が入るわけで多くの年金生活者は大喜びです。ピニェラの人気が上がるかな?