(政治)

1) 内閣改造
とうとう内閣改造が実施されました。大臣8名という大幅入れ替えでした。
与党内最右翼のUDIから2名の大物が議員バッチをはずし閣内入り。ピニェラはこんなうるさいやつが入ればこのあとの政府内会議でなにをされるかわからないと本気で拒否権を出したのでしょうが、UDIから切るよう圧力がかかっていた彼の懐刀、ヒンスピテル内相を守るためにはやむを得ない取引だったのでしょうね。しかし内閣官房になったチャドウィックは閣内のコミュニケーションを職務の一つにすると始めから揺さぶりを掛け、経済大臣になったロンゲイラは大臣は官僚ではないし、技術者でもない、大臣は政治家だとピニェラ大統領と関係なく自分の場所を確保。今までの経済大臣は大蔵大臣の補佐の感じでしたが、彼は始めから独自色を出しています。この仕事に成功すればロンゲイラがUDIの次期大統領候補になるらしい。
まだ任期の半分も終わってないピニェラですが、このままでは大統領が政府をリードするのかUDIが主役なのかわからなくなりますね。
教育問題で揺れるラビン教育大臣もあっさりはずされましたが、計画省大臣に横滑り、その教育大臣には法務大臣がまわりました。
ある野党の党首が同じ人間を横滑りにするだけの大臣交替なんて何の意味があるのかと批判。また増加する犯罪に全く手を打てないこの政府なら、犯罪者に「大丈夫ですよ、あなた方の世はこれからも続きます」と言えるのではと苦言。
おまけに何と就任して3日目で一人が辞任しました。エネルギー大臣のエチェベリです。なんでもエナップなどエネルギー関連の会社のダイレクター・オーナーなどをしており、それを例え辞任したとしてもエネルギー大臣の資格に問題あるとされたもの。もちろん、そんな簡単な彼の履歴を事前に調べなかったピニェラに問題があるわけですね。ますます彼の人気が下がるのが見えるようです。三日大臣の代わりがこれまたUDIの人間で、政権がUDIに乗っ取られた感じがします。この風潮にRN党のピニェラが抵抗すれば、UDI対RNの最終戦争になり、与党連合の終焉が考えられます。そうなればRNがDC(キリスト教民主党)と結びつき、チリの政党グル−プは左翼(社会党共産党など)中道(RNとDC)、右翼(UDI)になります。政界再編成の大地震ですね。もちろんそのほうが一般市民にとっては理解しやすい色分けです。

2) 教育問題
何と学生のハンガーストが始まりました。マプチェの囚人が刑務所内でハンストに入るのはチリでは良くありますが、学生までも。どこまでやるのかな?
今週、政府への反対デモでドラゴンボールのシンボルの大きなボールが使われました。
ピニェラは南部8州に学校の開校式に行きましたが、そこで教育は消費に関連すると発言。何を言ってはいけないか良く理解していないのでしょうね。学生側は反政府運動を継続しており問題の解決はまだ遠いです。

3) アジェンデ元大統領の死因
1973年9月11日にモネダ大統領官邸で時のアジェンデ大統領は死にましたが、その死因について自殺か他殺か意見が分かれていました。その日から30数年たった今、もう一度彼の死体を墓地から取り出し検死医が調べたところ、彼がキューバカストロ大統領からプレゼントされた銃で自殺をしたことが分かりました。もっともこれもその銃を軍が取り上げ、それをつかって殺していれば・・・、そういう可能性はありますね。これがもし軍隊の銃弾で死んでいれば、遺族は政府を相手に慰謝料を要求することになっていたと言われます。
次はノーベル賞を取ったネルーダの死因探しでしょうか。共産党だった彼も軍事クーデターのすぐ後に死亡しています。

4) 電話の盗聴
イギリスで大問題になっていますが、電話の盗聴なんて世界中でありふれた問題ですよね。簡単な装置で盗聴は出来ますから。
チリでは合法・非合法で盗聴は行なわれています。合法とは警察機関が裁判所の許可を得てから行なうもので、非合法は許可なしのもの。
今回、チリで問題になっているのは国会議員の電話盗聴ですが、ちゃんと調べればイギリス並みの大スキャンダルになるはずです。もしかしたらピニェラの電話も盗聴されていたりして・・・

5) ディチャトの騒ぎ
第8州のディチャトは昨年の地震・ツナミで大きな被害を受けたところですが、今週地域住民が道路を封鎖し警察と大衝突。その理由は政府が約束した被災者向けの住居が完成しない不満からです。しかしピニェラも約束を守らない政治家ですね。人気が落ちていくのは無理もない。最も住民の要求項目の中に全員の就業条件があり、それはどう見ても実現不可能ですね。