(政治)

1) 学生運動
今週の木曜日、再度、大規模な反政府デモがありました。北のアリカから南のプンタ・アレナスまでの各地で多数の学生が町に出ました。サンティアゴではデモ隊の数は10万人。
デモの理由の一つ、学費が高すぎるは確かに彼らの言うことはリーゾナブルです。なんでもOECD加盟国の中でチリほど父兄の負担する割合の高い国は無いらしい。私立の大学など、大学経費の約80%は父兄負担とか.それはひどすぎますね。政府は、貧しい家庭の子女でもやる気のある子供は全員大学で勉強できるよう奨学金を準備するといっていますが、学生代表は冷たく突き放し、政府は銀行の手先になったのかとか。つまり政府の言う奨学金は銀行からの借り入れで、大学での勉強が終わったときには大きな借金が残り、学士号と言う財産とは別に、負の財産を背負って就職活動になる由。私立の学校では借入額総額が2500万ペソにもなるらしい。今では私立学生の約40%がこの手の奨学金に頼って勉強している由。
バチェレット政権時にも大規模な学生運動がありましたが、政府が変わっても本質的な改革はされていないということでしょう。政府と学生間の対立だけでなく、大学側も政府と交渉していますが、この話し合いも進展なし。おまけに大学側の中でもチリの大学で双璧をなすチリ大学とカトリカ大学の間で話が出来ないとか。いやはや、教育と言うのはちゃんと話し合いができることを教えるのではないのかな?
ラビン教育大臣はムダに費やす時間は無いとし、学校閉鎖になっているところは即時冬休みに入るよう指示しましたが、自分の辞任に関してはそのつもりは全く無いとしています。しかし・・・いずれ罷免されるでしょう。
今週もデモのあと、いつものように一部の集団が近くの商店や銀行を襲撃し狼藉の限りをつくしました。
もっともデモ隊も頭を使い、最近は、ただ旗を振って行進するだけでなく、色を付けています。先週のマイケル・ジャクソン風ダンスのデモとか、今週はジョギング・デモもありました。それはモネダ宮殿の周りを学生のデモ隊が走るわけです。トレーニングになりますね。
チリに大規模なデモの風習が根付いたようです。学生デモはまだ継続する模様だし、コデルコ銅公社の労働者がスト突入を宣言、そのためのデモも各地で起こるでしょうね。

2) ボリビア問題
ボリビアの前麻薬対策最高責任者のサナブリア大将がチリのPDIの作戦で逮捕されアメリカで裁判になっています。当初無罪を主張していましたが、そのまま有罪になると終身刑になるが、司法当局に協力すると刑は軽くなる言われ、彼は方針を変更し、有罪を認めました。
この件に関し、モラレス大統領はチリに対し、カンカンに怒っています。ボリビア政府に全く知らせず、チリとアメリカが組んでボリビア警察の大将を捕捉するなんてと言うわけです。ボリビアはべネスエラのグループに入ってから、もうかなり以前からですが、アメリカ政府と正常な関係はなし。
チリがアメリカと組んでボリビアに敵対するのを許しがたいとするわけでしょう。現在のコカイン生産国は世界1位がペルー、ついでコロンビア、そしてボリビアになります。モラレス政権になってからボリビアのコカイン生産はかなり増産されているようですね。