(政治)

1) 日本の大地震
これは完全にチリのトップニュースです。なぜチリで日本の地震がそれほど取り上げられるのか考えましたが
A) 先日、チリ大地震(27/F)の1周年記念が行われ、大地震の恐怖が覚めやらないため他人事とは思えない 。
B) 昨今の電力不足から、水力・火力発電所の建設が進められているが、その計画は水力発電も火力発電も自然保護団体から反対を受けているため、実施できない。そういった状況下で原子力発電所も検討の価値あるとされエネルギー大臣が先日欧州の原発を訪問している。このため福島原発の事故は推進派・反対派にとって目を話せない重要事項となる。
C) 日本はチリにとって貿易(輸出)の重要得意先
したがってこの地震で、チリの日本向け輸出がこの先どうなるかは大問題。
チリの命綱の銅の価格が地震以降10%も低下したが、これは1時期のショックですぐに立ち直るだろう。銅以外の鉱物はもちろん、その他の産物(ワイン・サーモン・果物など)の日本向け輸出は減少することはないだろうと見られる。再建工事が始まれば木材の輸出も増加するだろう。
D) 昨年のチリ地震のときは略奪行為が一般化し、一部の泥棒だけでなく一般市民もそれに巻き込んだのは記憶に新しいが、日本の場合はそれがほとんどない。 テレビカメラの前で倉庫に入って食料品、酒類を盗み出す人たちがニュースにでたが、量・質(?)共にチリの比ではない。何しろ番組のアナウンサーがのどかな略奪ですねとコメントしていたほど。
もっとも泥棒をして逮捕されたのは宮城県だけで地震後146件らしいので、全体ではかなりの数字でしょうね。
E) チリ人で3回大地震にあった例としてベルナルディータさんの記事がありました。彼女は日本人と結婚しており、まず95年に神戸、2010年はバケーションで訪れていたサンティアゴで、そして今年また日本で大地震を3回経験したとか???!!
F) チリの場合、地震の後、大統領が連日ニュースに出たが(最初はバチェレット、次いでピニェラ)日本の場合、菅首相はそれほど前面に出ないですね。
ピニェラ大統領は日本大使館を訪問し犠牲者慰霊の記帳をしました。
2) 次いでオバマアメリカ大統領のチリ訪問
これは来週なのですが、もう今週から、彼の訪問の意味することと中心街の道路封鎖などがニュースになっています。
ラテンアメリカの反米色は確かに薄れていますね。ヤンキーゴーホームと言う雰囲気はまったくありません。最近の10年間、チリは確かに政治的にも経済的にも成長しましたからね。
それに先立って、チリと米国の間で原子力に関する協定が結ばれました。チリがアメリカから教えてもらうわけです。もちろん来週の両大統領の面談時でもこの問題が出ます。(注 チリは既にフランスとも同様の条約を締結している)
新聞の発表では日本の原発事故以来、チリ人で原発建設反対が86%と国民の大多数となっています。チリでは福島原発の事故は政治的にも経済的にも技術的にも原子力発電についてはっきりと「その前とその後」を記したと言われています。
地震の前に前政権関係者が原子力発電所建設の準備がピニェラの場合、遅すぎると批判していたのに、事故の後は危険な原発開発とはいったい政府は何を考えているのかとコメント。テレビのインタビュー番組で解説者がこれをとらえ、この変化はあまりにも破廉恥ではないかと旧与党側のラヂアル党の党首に質問したところ、彼はここの事例では確かに私たちの考え方は辻褄があわないと理解すると苦し紛れでした。
べネスエラのチャべスに対する対応も野党連合の中で大きな争点となっていますが、まだあります。ドイツのキリスト教民主党(CDU)の人間がチリを訪問し与党側の2党(RNとUDI)と面談。その後の野党グループにぞくするチリのキリスト教民主党DCとの話し合いでは、次の地方選挙でDCがチリ共産党と共闘することを批判しました。彼らは右翼も左翼も極端なのは民衆のために良くないとしています。こうしたことでDCが左翼との連帯を止め、中道右翼と合体する可能性がでてきますね。
先週から話題になっているラ・フロリダ区の区長はまだ決まっていません。
まぁいつも私が繰り返している、政治家は右も左も同じようなものの例かな。