(政治)

1) 今まで20年も継続したチリ中道・左翼政権が今年から右翼政権に変わりましたが、その変化は思われたほど社会に影響せず、逆にほとんど目立たないと言うくらいでした。前政権側はどう攻めればよいか道を見つけられず、逆に仲たがいを起こし自滅の様相です。このため右翼政権の1年目は順調に終りそうです。
そこで、あの大地震で始まり、33名の生き埋め労働者の救助、81名の死者を出した刑務所の火事と話題の多かったたチリの2010年を振り返ってみると経済成長は約7%と極めて順調(上出来ですよね)
従って極貧者層の数は2009年に15%が記録されているがこれは一桁に収縮されそう。同じように失業者の数字は減少中。今年中に20万人の新規就業者を見込んでいたが、それは31万にまで上昇し史上最高の数字。
地震の被害者の内10万人は今年中に新しい住居に入れそうと極めて順調。

2) しかしその最後の点について国会でマッテ住宅大臣が召還され、質疑討論がありました。例の大地震のあとの復興計画についてですが、野党側は政府の言う10万軒の援助は全くの虚偽の数字だと言うのが論争点でした。
しかし当の女性建設大臣が相手の野党議員に、「それほど大きな声でおっしゃらなくても聞こえます」と応答したのが光った。何ぼ自分が正しいと思てもどなったらあかんで、おっちゃん。
その日のツイッターのコメントの69%は彼女の側に立ち、反対の意見を述べたのは23%だった由。つまり彼女を嘘つきとしたDCのラトレ議員は逆に信用を失ったわけですね。第3者の機関が住宅10万軒と言う数字の信憑性を確認します。

3) 政府の提案した新教育法が国会で可決されました。これも政府に反対するはずの野党の一部が政府案に賛成したから可決されたわけで、野党の結束のなさが問題になっています。新しい法案を作らないとチリ教育の現行問題が軽減しないと多くの与野党議員が認識していたのですが。

4) 水関係の公社4社の民間払い下げ
水道と下水道関係の公営会社を民間に払い下げる案が政府で検討されていますが、それが実施されるとチリの下水はほとんど100%処理をされてから河川に放流されることになるらしい。進歩ですね。
もちろん野党側は大反対の声を上げています。政府は来年度予算の財源をすべて確保しているのに何故更なる財源をさがす必要があるのかと言うわけです。
もちろんピニェラ政権がここで30億ドルの財源を手に入れそれを国民の機嫌を取るような政策に使えば彼の人気がいやがうえに上がりますからね。
ところでこのアイデアは新しいものではなく95年にフレイ政権のとき、また2003年にラゴス政権もこれを提出し失敗しています。自分たちのときに提出した案件を反対側が提出したときに反対するのはどうでしょうか?
このほか国営石油会社への民間会社の参加も検討されています。この会社は現在40億ドルの負債を抱えています。

5) 政府は与野党の党首を招待し、チリが現在抱える外交問題について意見の交換をしました。ペルーとの領海問題、ボリビアの海問題、パレスチナ承認問題などが話し合われたそうです。ところでスペイン前大統領はモネダ宮殿を訪問しピニェラにパレスチーナの承認をしないよう薦めたらしい。

6) 手紙爆弾
イタリアのチリ大使館に手紙爆弾がつき職員1名が負傷しました。09年にサンティアゴで死亡したチリ人アナーキー(爆弾事件の犯人)の仕返し事件と見られているらしい。

7) ピニェラは3月の大統領就任前に自分が持っている株を売り払うとしましたが、公約を守らず大統領に就任。あちこちで問題を起こしていましたが、ランチリ株を売りに出し、チレビジョン株ほかを売り、最後に残っていたサッカーチームのコロコロの株を今週売りました。売値は何でも7百万ドルほどだったとかで、これは彼の資産の数パーセントに当たるとか。しかし彼は大きな資産を持っていますね。