(政治)

1) ピニェラの外遊
ボリビアのモラレス大統領と会談しました。ブラジルのイグアスの滝で行われたメルコスールの集まりに出席したピニェラはそれを利用してボリビアのモラレス大統領と1時間40分にわたって面談。もちろんボリビアの海問題をどう取り扱うかが中心テーマでしょうね。
チリに戻ってからコロンビアのウリべ前大統領の訪問を受けました。彼は市民の安全はどの政府にとっても一大課題。この課題の前には右翼も左翼も無いとコメントしています。
ところでラテンアメリカ各国の大統領の月給が発表されましたが、トップはチリのピニェラ、一番下はボリビアのモラレスでした。それぞれ15645ドル1900ドルでした。かなりの差ですね。もちろん正式の給料以外にどんな役得があるのか知りませんが。例のチャべスは公式には8500ドルです。ホンマかな?

2) 公務員ストの終結
与野党の間で交渉が進み、月曜日、一応の結論が出ました。政府の最終乙波は先週までの3.7%を上回る4.2%でした。火曜日、野党側はそれを労働組合代表と議論。その数字ではまだ組合員は納得できないとする意見とこれ以上の進展は期待できないのでこれで合意して年内に昇給分を組合員が手にすることが出来るように早急に合意事項を実施するという意見に分かれたようです。翌、水曜日、下院で政府案の賛否を問う表決があり、44対43で政府案が可決されました。野党側の代表として政府とネゴした一人はバチェレット政権時の労働大臣だったアンドラーデ社会党党首ですが、彼は何とその投票に参加しませんでした。野党側から裏切り者との声が上がる中、彼は労働組合と話をした結果と釈明しています。長かった公務員のストもこれで終わり正常業務に戻ります。同じようにサンティアゴのメトロ乗務員組合のストも終結しました。
大蔵大臣のララインは今年の昇給は2.2%、前政権時代の平均は1.2%、これをはるかに飛躍した4.2%を恥知らずな数字とコメントする野党議員の考えが理解できない。前労働大臣のアンドラーデは自分の経験を通してピニェラ政権の努力を評価したものと考えるとコメント。(実際の賃上げはこの数字に物価上昇率を加えたもの。もし今年の物価上昇が3%なら来年の給料は7.2%アップになる)

3) 堕胎罪
チリは如何なる理由でも胎児の堕胎を認めていませんが、与野党の議員が、これに対し正当な理由があればチリでも堕胎を認めるべきと提案しました。それによると母親の胎内の子どもがすでに正常な成長を止めた場合、また明らかに異常な状態であることが確認できた場合、そのまま放置すると母体に影響する。これらの場合の堕胎は犯罪行為に当たらないとしています。医者の間でもこれを支持する層と何が何でも認められないとする層に分かれています。右翼側のマテイ議員からこれが提案されたので、彼女の所属するUDI党内で彼女を批判する声が出ています。しかし右翼の議員と左翼の議員の共同提案は珍しいですね。

4) 新大司教の任命
バチカンはチリ・カトリックの代表としてエラスリスに替えてエサチを任命しました。彼はイタリア人で若い頃チリに来ています。早速刑務諸問題につき発言し恩赦を出して囚人であふれる刑務所を正常化したいとしています。この恩赦が正しいかどうか政府は検討する必要がありますね。

5) アジェンデ元大統領の孫が自殺
アジェンデの娘イサベル・アジェンデは現在社会党の国会議員ですが、彼女の息子が今週自殺しました。詳しいことは発表されていませんが精神的に落ち込んでいたらしい。アジェンデの家系はその元大統領が自殺、妹のラウラ・アジェンデも自殺。彼の娘のベアツリスも自殺。そして今回は孫が自殺です。

6) 警察・刑務関係者のスキャンダル
5名の刑務官が逮捕されました。彼らは金を取って囚人の刑を軽くするとか、環境の良い刑務所に移動する処置を図るとか、携帯電話やアルコールなどを販売していたとかの罪に問われています。もちろん5名と言うのは現在分かっているだけで、どんどんその数は増えるでしょうね。さらに多数の焼死者が出たサン・ミゲルの刑務所はこの2年ほど消火システムが稼動しておらず、それを直す予算が組まれたのにその5千万ペソが行方不明。もちろんその頃の刑務所関係者の罪が問われることになります。まだまだこの手の不正は出るでしょうね。来週、私はこの刑務所を訪問する予定。もちろん取材のためです。今週、書き始めた小説の中にこの刑務所の火事がでてきます。
さて警察も刑務官にまけずスキャンダルを起こしています。その一つは何かの容疑者をパトカーに乗せると野球のバットとピストルを使い、殺してやるかと言いながら一曲歌えとか狭い車内で踊ってみろと脅しています。それが撮影されテレビで放映されたため、関係の警察官は解雇され、管轄警察署長が更迭されました。まだあってレンカの警察官が麻薬を取り扱っていました。すぐに除名処分になりましたが、警察長官が言うように単に一部の警官の不祥事ですまされるのか、警察組織自体が腐敗しているのかチェックが必要でしょう。外部の機関を入れて調べればはっきりしますよ。