(政治)

1) 鉱山の落盤事故
先週までの異常なほどの報道はなくなりましたが、それでも今週もトップニュースは落盤事故で生き埋めになっている33名の労働者の安否でした。もうカメラが地表から700メートル下の避難所に集結している彼らの姿を捉え、それがテレビのニュースで報道されました。なんでも世界中にそのビデオが流れたそうです。しかしこの先、数ヶ月、そこにじっとしていなければならない彼らの苦悩は察すればするほど気の毒ですね。
テレトン(身体障害者救済チャリティ番組)にいつも出てくる鉱山経営者で大金持ちのファルカが落盤事故地を訪問し、被害者一人ずつに500万ペソ(約100万円)のカンパをしました。彼によるとこれは彼らが救出されてから1年間の給料に当たり、その1年間で将来の設計を立てなさいというものらしい。
一方、その事故を起こしたサン・ホセ鉱山のオーナーが裁判所に呼ばれ、一人は10時間、もう一人の共同経営者は6時間の尋問を受けました。彼らは自分たちの所有の資産を既に売り払いつつあるようで、差し押さえを受ける前に安全なところに資産を隠すのでしょうね。
またこの鉱山が一時安全面の問題から操業停止処分を受けていたのにそれが復活した際のいきさつについて、国会で討議され、操業再開許可を出した鉱山局の長官代理が国会に呼ばれ尋問を受けました。そのうち問題点が明白になって来るでしょう。
日本のテレビ局から私にメールが入って、来週この件で電話取材したいとありましたが、私は日本にいます。残念でした。

2) 電力発電所の建設中止
第4州に火力発電所の建設が許可されました。石炭を燃料として使う発電所ですが、それが発表されると市民グループが街頭に出てデモを行いました。その場所はペンギンやオットセイなど野生動物の宝庫になっている地区で、高温の排水が海に流出されるとただちに環境破壊につながるとして、許可取り消しを訴えました。私の娘もそのデモに加わりましたが、警察はデモ隊に放水をして規制を図っていました。
グループはピニェラは選挙公約に「環境破壊となる発電所は許可しない」としていたではないかとクレームしていました。
これに対し政府側は、「大統領は公約を変えていない。著しく環境汚染に関連する発電省は許可しない。今回は環境汚染の程度が基準を超えないものとして認可したが、もちろん各行程でそれが厳守されているか調査をする」とコメントし、防衛の立場を見せました。
しかし、数日もしないうちにピニェラはこの許可を取り消すことを明らかにし、発電所の設置については方針を変えないが、場所について再検討をしたいと環境保全グループの主張を全面的に受け入れました。
しかし11州のアイセンで水力発電所の建設にクレームが入り、この4州の火力発電にクレームが入っては、発電所の建設はこの先、非常に困難ですが、それでは太陽熱や風力発電などの新方式でこの先の電気の需要アップに対応できるのでしょうか?また新方式発電を採用した場合、コストが著しく上がりますが、その場合、一般市民の払う電気代もうなぎのぼりになり一般市民の生活に影響してきます。それはどう対処するのでしょう。
野生動物の生態を考えない場所選定に問題があったのなら、環境保全局のエラーだろうし、市民グループのデモがあったから許可を取り消すのはあまりにも政府の責任が軽い。もう少しまじめに対処してもらいたいですね。

3) テレビ局の売却
ピニェラ大統領の所有するチレビションが売りにだされていましたが、やっとタイム・ワーナー社が購入することになったようです。半年遅れましたが、選挙前の公約が実現されそうです。