(政治)

1) 2週間目に入った地下鉱山に生き埋めになった33名を救出するための穴を開ける作業は先週から続いており、この土曜日、作業者がいると見られる地点まで到達しましたが、彼らとの連絡は取れません。このため生き埋めの33名の命はもう絶望的と見られましたが、日曜日、事故発生から17日目に突然、掘削作業をする労働者が地下に閉じ込められた労働者との接触があったと発言し、もしかすると全員救出可能のような雰囲気に変わってきました。
完全に政治問題になったこの事故は、2月27日の大地震のときと同じような報道のされかたです。連日連夜このニュースでもちきりです。
全員無事との報道が流れると、街に国旗を持った車が走り、クラクションを鳴らして祝っていました。まるでサッカーの試合でチリがアルゼンチンに勝ったときのようでした。しかし2週間以上も連絡が取れなかったのに地下で食料も電気もあったとか。しかし奇跡的な気がしますね。もちろんこれで食料などの供給は行なわれそうですが、岩が崩れて通行不能になった道路からその岩を取り除いて、全員救助するには3―4ヶ月ほどかかるかもしれませんね。
しかしこの鉱山は以前、安全性の問題から閉山されていましたが、その問題が完全に克服されていない段階で操業が再開されたようで、誰がその安全性を確認をしたのか、それを最終的に認めたのは誰かなど違った時点から問題が深まり、作業員が救助されたとしても新たな政治問題になることは間違いありません。
しかし地表から700メートル潜ったところで働くのは容易ではありませんね。私のような閉所恐怖症では全く不可能です。以前、世界最大級のコデルコのエル・テニエンテ地下鉱山でタイヤのチェックをしなければならないとき、確かに恐怖感がありました。

2) ワスカルの返還
ワスカルは1864年頃に建造されたペルー海軍の船です。チリとの間の太平洋戦争のとき、イキケの海戦で、チリの旗艦エスメラルダと交戦。チリ側の司令官プラットはこの戦いで死亡しましたが、敵の旗艦ワスカルを捕獲し、戦闘に終止をつけたもの。                            それをペルーに返還してはどうかと言うアイデアをチリの防衛大臣が発表しましたが、これに対し、与党側も野党側からも賛否両論が出ています。

3) バチェレットのモネダ訪問
会談前にテレビカメラに向かったピニェラはバチェレットに「随分優雅なお姿ですね」とか、半年前までここの住人だった彼女に、「ほとんど手は入れていませんが、何か変わった点が目につきますか」などと聞いていました。      しかし二人だけの会談ではバチェレットは「20年ぶりにチリに貧困層が増加したと彼女の政権を批判するとか公務員の大量首切り」などについてピニェラ現政権のやりかたを非難するコメントをしたらしい。もちろんピニェラ側は即反論にでて、ピニェラは1400名の解雇を行ったが、ラゴス元政権は2100名の解雇を実施しており、バチェレットがピニェラ批判をするのは根拠不足と逆批判しました。

4) 政党総裁の選挙
今週、社会党とUDI(最も右翼の政党)の総裁選挙が実施されました。社会党の党首になったアンドラーデは野党連合に共産党を含める発言をしました。これはもちろん同盟党のキリスト教民主党の反論を呼びますね。特に今週チリの共産党とコロンビアのゲリラ組織ファルクの関係が明らかになってきているだけに、野党連合として単に集票力の点から共産党を連合内に入れようとすれば、逆に連合から出て行くグループが出るに違いありません。             それからUDIの方はコロマの再選。現在のチリ大統領は同じ右翼側のRNから出ているので、次回選挙ではUDIから大統領を出したいとしています。