(政治)

1) 今週のトップニュースは貧困層の増大問題です。過去20年間一貫して縮小してきた貧困層がここに来て逆に増大と言う結果が出ました。じゃ前期のバチェレット政権は何をしていたのだと批判の声が上がっています。今回の大統領候補だったフレイはそれに対し、「世界経済危機があったので、08年、09年と政府があらゆる手をつくしても貧困層が増加していったことは誰にも分かっていたはず。それを声を大きくしてバチェレットの失政とするピニェラ政権の品性を疑う」と逆に攻撃をかけていますが、一般大衆はどっちの声を聞くかな?
ピニェラがこのテーマで全マスコミを通じて演説しました。普通夜9時の定時ニュースの前に行われます。これはチリではよくあることで、バチェレットも何回もやっています。しかしその後、この話題は急にニュースにならなくなりました。私の想像では与野党とも「騒ぐだけ世間に嫌われる」と見たからですが、どうかな?
数字からするとバチェレット政権の06年とy09年の比較で貧困層は13.7%だったのが15.1%に、経済成長率は4.6%だったのがマイナス1.5%に、失業率は7.8%だったのが9.7%に上昇です。
話は逆のようですが、金持ち層と貧困層の差は逆に縮まったとされています。それによると2008年、12.2倍あった差が、09年には11.6倍になったと言うもの。09年のケースでは富裕層は198万ペソの所得があり、貧困層は17万ペソの月収だったらしい。

2) 前政権の問題点は毎週のように発見された新聞をにぎわしていますが、今週は政府の健康保険フォナサのインフォメーション・システムに(不必要な)大量の資金が費やされたのでその責任者を訴えるらしい。また厚生大臣はバチェレット政権時、厚生省職員の3193回の海外出張が記録されており、あまりにもその数が多いとしてその正当性をチェックしたいとしています。派手に騒いだのでしょうね、どうせ自分たちが次の政権もとるのだから少々のことは誰も分からないと言うことでしょうか?バチェレットは以前、厚生大臣をしています。

3) べネスエラの訪問
9月にチリの国会議員が同国を訪問することになっていますが、今週、同国の大統領チャべスが一部のチリの国会議員の入国を歓迎しないと発表しもめています。彼は南米の左翼運動のリーダー役をキープしたいのでチリの中道・右翼系議員を締め出したいわけですね。彼と隣国コロンビアは臨戦態勢ですし、国内でも反政府運動の抑圧に休む暇がなく、毎日大変と思われますが、その割にはストレスもないようです。根っからの派手好きなのでしょうか?

4) カトリック教会要請による恩赦
内閣官房ヒンスピーテルはカトリック教会による刑事犯の恩赦に関し、教会が関連すべき事項とは思えないとその動きを批判しました。カトリックのチリのトップのエラスリス大司教は「カトリックは貧しい人々の味方で、現在の刑務所は人道的な見地から十分な施設とは考えられない。またチリ建国200周年を記念する立場から老齢者や長期間既に刑務所に入っている受刑者の恩赦要請をカトリック教会が要請するのを内閣官房が否定するのはいかがなものか」と逆襲。

5) ピニェラの公約だった彼の所有するテレビ局チレビジョンの売却は未だに実施されていませんが、何でも新しい相手先とネゴが開始されたとか。規模は小さいですが、スポーツ担当局のチレ・デポルテの次官ルイス・タグレは前コロコロ社長ですが、未だにその株を手放しません。野党側は彼にその職を辞するか、株を売却するよう要求しています。
しかし野党側議員が要求するようにすべての政府関係者が一切の取引から手を引く必要があるのか、今までもそうしていたのか、疑問は残ります。